ある時、エジプトの王エウエルゲーテスは、アッシリアへの遠征に出発しました。后のベレニケは、美と愛の女神アフロディーテの神殿に行き「もし、夫に勝利をお授けくだされば、私の命にも代えがたい髪の毛をお礼にささげます」と祈りました。
やがてエジプト軍が大勝利を得たという知らせがとどきました。そこでベレニケは、少しもためらわずに美しい髪を切って、女神の祭壇にささげました。凱旋してきた王は、后の姿を見ると、ひどく失望しました。
あくる日、女神の祭壇から、王妃の髪の毛が消え失せたとの知らせがはいり、王は激しく怒りましたが、その夜、王に仕える天文博士のコノンは「大神が、王妃のブロンドの髪の毛の美しさをめでて、永く星の間に飾られました」といって、天を指しました。それを見て王も始めて満足したと伝えられています。