トップ > 神話の杜 > ギリシア神話「うそつきカラス(1)」

うそつきカラス(1)

音楽と弓そして太陽の神として知られるアポロンは、輝く銀の羽を持ち、人間の言葉を自由に話すカラスを飼っていました。

ある時、アポロンはテッサリア王プレギュアスの娘コロニスを妻にして、アスクレピオスという子も産まれていましたが、パルナッソスの山の神託所デルフォイに帰らなくなってしまいました。デルフォイに帰ってからは毎日のようにカラスを使って妻と子の様子を聞いていました。

ある朝、使いから帰ったカラスは道草をくって遅くなった言い訳にコロニスが夫の留守の間に他の男に心を移してしまったと口から出まかせを言ったのです。これを聞いて激しく怒ったアポロンは急いで山を下り、我が家の近くで見掛けた人影をその男と思い一矢で射殺してしまいました。しかし、近寄ってみると、それは自分を迎えに出ていた貞節な妻だったのです。

アポロンはひどく嘆き悲しみ、うそをついたカラスから人の言葉を奪い取り、銀色の羽も真っ黒な醜い姿に変え、うそつきの見せしめのために星座にしてさらしたといわれています。