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『星座』の語源

ここでは、『星座』の語源につてのお話しです。
まず“星座”の“座”というのはイスのことで、いまでも、「大臣の椅子に座る」というと、大臣の職に就くという意味でとらわれるように、席とか地位の意味を持っています。すなわち、“星座”とは星の地位あるいは位を意味するもので文字どうり一つ一つの星に対してつけられています。もちろん人間世界と同じように役職に就けるのはほんの一握りの星々で、大半の星には“座”はありません。
では、どのような星に“座”が与えられているのかというと、それはひときわ明るい星、そして、特別な場所にある星です。『明るい』というのはすぐ分かると思います、空を見上げてよく光っている、目立つ星のことです。『特別な場所』というのは天の北極や太陽の通り道(黄道)にある星のことです。
さて、ここまで話してきて『あれ・・・学校で習った“星座”とは大分違うぞ?』と思っている方が多いと思います。実は現在、学校(理科の授業)で習う星座は、星と星をつなぎあわせて動物や道具、神話に出てくる英雄、怪物などを表すもので古代ギリシアあるいは古代バビロニアの時代に起源を持つものです。今まで話してきたのは“星座”という漢字の語源で、英語では“Constellation”といいます。この語源はラテン語の“Constellatio”で、『星の集まり』という意味です。
日本語の“星座”の語源は中国語ですが、残念ながら我が国では組織的に星空を分割したものはありませんでした。一部の星に独特の名前がついたものがあるだけです。日本における星座は中国のものをそのまま踏襲したものでした。
中国の星座の特徴としては、とにかく数が多いの一言です。
“星座”という言葉が初めて現れるのは司馬遷の歴史書『史記』の中の『天官書』ですが、その名の通り、全天を朝廷に見立てて、『天帝』を中心に官職や役職名を配置したもので、およそ100近くの星座が収録されています。
星座はその後、急激にその数を増し、紀元後3世紀にまとめられた陳卓の星図には約300近い星座が載せられています。この数はその後も変動し、これらの星座の中には官職や、役職のほかにも、施設名やそれに付属する設備、器具など、必要と思われるものはことごとくそろっています。中には道路や商店、トイレなどもありました。
これらは、その星図の書かれた時代により変化し、結局、中国では星宿28宿などの変わらないものもあるものの、これが決定版という星座はついに登場しませんでした。