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惑星の運動1(天動説)

 毎日のように夜空を観察していると月や太陽以外に天球上をふらふらとうろついている天体が観測されます。これが『惑星』です(もしそれが、ものすごいスピードで動いていたり、目に見えて動くものがあれば飛行機か、人工衛星です。)。これに対し、毎日の観測でその相対位置の変化しない星を『恒星』と呼びます。古代の人々は、地球を中心とした巨大な天球がありそこにすべての星が張り付いていて、この天球が回ることにより星が動くと考えられていました。しかし一つの天球ですべての星の動きを説明するのは無理があるのでいくつかの天球を作り惑星をこの新たな天球上に配置するという考え方が示されました。この考え方を『同心球説』といいます。

 この同心球説を唱えた初めての人はユウドクソスで、彼の考えによると、地球を中心とする天球が全部で24あり、もっとも外側の天球には恒星が、そのすぐ内より順に土星、木星、火星、太陽、金星、水星、月が個々の天球上にある。これ以外の天球は惑星等の天体の動きを助ける補助的な役割があり、これにより惑星は複雑な運動を行うとされています。

 この考え方は後にアリストテレスによって56の体系に拡大され、惑星の運動の多くの部分を説明することに成功しました。しかし、日食に皆既日食と金環食の二つがあることなど説明のできない現象がまだまだありました。

 この同心球説に変わって考え出されたのがアポロニウスの惑星の軌道すなわち、惑星はある一定の道の上を運行しているという考え方です。この考え方は、ヒッパルコスらの研究を経て、プトレマイオスの大著『アルマゲスト』に『周転円説』として大成されました。

 周転円説によると、惑星は『周転円』と呼ばれる小さな円の上を回りこの周転円の中心は地球を中心とする『誘導円』の上を回っているとされています。(図を参照)

周転円の図

 この周転円説は、同心球説では説明できないさまざまなことを説明しました。また、この周転円を次々と追加することにより惑星の細部の動きまで説明したのです。この結果周転円説は恐ろしく複雑なものになりました。しかし、この周転円説の載せられた『アルマゲスト』は、天文学の聖典としてあがめられその後1500年の長きにわたり珍重されつづけたのです。

 この周転円説以前にもすでに地動説が考えられていたのですが、プトレマイオスによって退けられてしまたっため、その再登場は1543年のコペルニクスを待つ必要がありました。無論プトレマイオスが地動説を退けたのには、当時の地動説では天体の運行を正しく表現できなかったという問題もありました。