ララバイまたは百年の子守唄
〜「ハッシャ・バイ」より〜

(2月7日19時 紀伊國屋サザンシアター1階6列6番にて観劇)


『ハッシャ・バイより』っていうより、ハッシャ・バイじゃん。っていうのが素直な私の感想です。劇中劇が8割以上しめているような・・・。だから、ハッシャバイ分からない人には難しいのでは?っていうのが素直な感想なのよー。私はハッシャバイは戯曲読んでいるから知っているから楽しめましたが。ハッシャバイでない、芝居上の現実のシーンはそんなに重要?うーん。だったら、単純にハッシャバイを再演した方が良かったんじゃないかしら、とも思う。否定的な意味では決してないのだけれど、芝居上の現実のシーンが、劇中劇に負けていたとしか思えなくてね。

負けていたと思えてしまう要因は簡単。石田ゆりこの座長だ。初芝居だからしょうがないのかなぁ。セリフをかんでかんでかみまくっていたのは、まだいい。筧さんもかんでいた(笑)。でも、ねぇ。存在感はあるんだ。でも、存在感だけで終わっている。その存在感を生かしきれていない。その点、同じ初舞台でも佐藤アツヒロは存在感を生かしきっていたように思う。セリフも棒読みだし、(舞台)素人くさい演技2人とも全開だが、佐藤アツヒロの演技には心を奪われてしまった。当たり役だったのかもしれない。でも、今後が楽しみになった。だからもっと、頑張ってくれ。

役者評か(笑)。

時折はっとするシーンやセリフがあるんだよね。私はハッシャバイの『世界は10分に1度、祈る事を許されている』というセリフが大好きで。祈るのは許されていて当然なんでしょうが、何だか敢えてそういう言い方されると心にぐっと来るのです。本当はそう言ってほしかったんだって・・・。

『行かなかった』男と、『行けなかった』女。理由はどうあれ『行かなかった』事で、他人には決して理解されない悩みを抱えた2人。その2人が出会う事で、ハッシャバイのシーンがより際立ってくるように思えた。絶望のカーニバルを迎える事ができるのは、2人が『行かない』という行為によって絶望を見たからではないか、って。だからこそ、だからこそ、だからこそ、頑張ってくれ、石田ゆりこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!

筧さんが演じた男の抱える『絶望』が、今の私を猛烈に支配しているような気がする。本当に演劇を愛し、本当に努力しようとした彼を、一人の女性の『愛情』がつぶす。そして、その女性を心底愛していた男が、彼をさらにつぶす。だから、流れの主演俳優。(主演俳優っていうあたり、自信はあるんだろう)彼がこれからどこまで同じ事を繰り返すのだろう。そして、どう変わって行くのか。あのラストシーン、そしてカーテンコールで筧さんが見せた笑顔が気になる。猛烈に気になる。筧さんはカーテンコールの最後まで筧さんではなかった。あくまでも、劇中の彼だった。(筧さんに限らず、全員そうだったのだけれど)だから、あの笑顔は彼のもので、流れの彼が何か見つけた証だったのかもしれないな、って思うのだ。その後の彼らの話はまた別の話になるのだろう。そして、その話をどうしても見たくなるのだ。って思うと、劇中劇に負けてないのかもしれない(笑)。

ちなみに、石田ゆりこが演じた『奈美』は『リレイヤーV』で長野里美が演じた役名だし、『劇団空飛ぶクジラ』は同じく『リレイヤーV』の劇中劇団の名前だった。って思うと、気になるの、リレイヤーVとの関連が。ないでしょうけど。あ、あと、ハッシャバイのシーンでの旗島伸子が石田ゆりこを抱きしめるシーンで流れた音楽は、『天使は瞳を閉じて』の時に聞いたような気がするのよ。ドキュメント番組で、だったかな。どっちにしても、何だか『あ、これ懐かしい』って思うことの連続の芝居でした。

もう1度行くので、そのときもう1度reportを書こうと思います。今は、筧さんの魅力にやられたって感じ(笑)。


(2月18日19時 紀伊國屋サザンシアター1階9列15番にて観劇)

<さてさて。2度目のララバイを観てきました。いやぁ、おもしろかったです。佐藤さんの独壇場とも言える(あ、座長の方です)インド人やおばあちゃんに扮するシーンはアドリブ?前回見たときと全然違った。だから、すっごい新鮮な笑いでした。あっはっは。

だけどだけどだけどだけどだけどぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!!!
石田ゆりこーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!

良くなってはいたけど、だけど全然ダメだね。もったいないや、あんな良い役なのに・・・。表情が全然変わらないし、動きもないし。時折素のしぐさが出ちゃうし。場面転換の度に髪をかきあげるのはどうかと思うよ。自分を完全に捨てきれないから、見ているこっちが恥ずかしい場面は多いし。

彼女はラストの方では、完全に旗島伸子さんに食われておりましたね。私は旗島さんは大好きです、ちなみに。彼女の声っていいですよね。「私はあなたを許す事ができない!!」とか、一気に変わるので思わずうぉっと惹きこまれてしまいます。さらに、「アキレス腱は伸ばしましたか?」っていいですね、このセリフ。第三舞台のハッシャバイでは長野里美さんが演じていた役ですが、里美さんのオリジナルを知らないだけにすんなりと彼女の役を受け止める事ができました。この人かわいい。すっごい好きです。

ちなみに最後旗島さんが石田ゆり子さんをぐいっと抱きしめます。そのシーン、好きです。その瞬間の石田さんのはっとした顔は結構良いものでした。

佐藤アツヒロはいいじゃないですかっ!!前回もちっと頑張ってねって書いたけど、すっごく良くなっていたぁぁぁぁっ!!いい。彼は良い。この先舞台の人として頑張っていくべきだっ!!うん、絶対にそう思う。石田さんは・・・。TVで頑張って。

筧さんはとっても素敵。かなり素敵。筧さんが登場した瞬間、拍手は起きるし、「お待たせ致しました!」って叫んだ瞬間本当に「待ってたよ」とつぶやきたくなった。何て素敵なんだろう・・・。それに感情を表現するのが本当に上手。コミカルな演技も本当に上手だけど、私は彼が「僕はセリフを覚えていたのです」と告白するシーンが本当に好き。あのときの筧さんというか、舞台上の金田一さんは本当に純粋でした。純粋に演劇を愛し、純粋に演劇だけを考えていたからです。だからこそ、その後彼を襲った絶望がどれほどのものだったのか。筧さんはたった一言でそれを表現してしまいます。何かから逃げ、何かから逃げつつも捨てきれないそんな思いを、筧さんは苦しそうにでもできるだけ感情を押さえて喋ります。感情的でないからこそ、心動かされるときもあるのだと、筧さんはそう教えてくれるような気がしました。あのシーンは本当に大好き。時間がたった今、とにかく好きだ、あれ。

ハッシャバイの、私は精神病院での家族ゲームみたいなやりとりが見たかった。順番に父親と息子と母親をやって、「女2」が母親になって「モリヤマユキオ」が息子になったとき、父親と息子が母親を殺そうとする。そして、「女2」がこう言うの。「助けて、殺される。」

このセリフが猛烈に聞きたかったのにぃぃぃぃぃっ!!!!って思ったら、いろいろと不満はあった。ハッシャバイのシーンが中途半端に長かったから。うーん。でも、それでもいいのかなぁーなんて最近になって思ってきた。ああいう形で見ても、それでも私はあの芝居が好きなわけだし。うーん。見た直後って私の中ではかなり不満たらたらだったんですけどね。それも、限定石田ゆり子さんに対して。

まぁ、この芝居はこれでよいのです。うん。絶対に。だって考えてみたらこの芝居を2度と上演しなかったら、私は私の大好きな「僕はセリフを覚えていたのです」とか、マクちゃんがパンツかぶって踊るシーンとか見れないじゃないですかっ!!なんで私はそんなことに気づかなかったのだろう。よっぽど不満だったんだろうな、石田ゆり子の演技。だから、この芝居はこれでOK。そして、それとは別に「ハッシャ・バイ」の再演を見たいな。やっぱり。

旗島さん、いいなぁー。長野里美さん以外で初めて心底応援したい女優さんですな。

BACK