|
第三舞台20周年記念&10年間封印公演 [
ファントム・ペイン ] 第三舞台
何を書いても「第三舞台」に対する思いを書いてしまうような気がするので、それを極力押さえて芝居についてだけ書こうと思います。それでもこの芝居について書きたいこと山ほどあるので相当長いと思います。ご容赦のほどを。っていうか、書かせてくれ。
私はこの芝居、合計5回見させていただきました。見過ぎって声も聞こえてきそうです。うー、ごめんなさい。5回中泣かなかったのは初日の1回だけ。後は全部泣いたのですが、1番泣くのは大楽だと思ってましたがところがどっこい、1番号泣して大変だったのは東京楽でした。多分座席の位置だと思う。この芝居、本当に照明がキレイなんですよ!全体的な位置関係とか照明の使い方とか本当にきれいで、それは前過ぎるとよくわからないんだよね。で、本当に後ろの方で見た東京楽が1番感動したというわけです。 照明の使い方で最も「うおー(感動の意味)」と思ったのは3箇所(主に東京楽)。オープニングの平成の氷川サキと山室が客席から登場する時の照明。客席に2本の光の道ができるんですよね。あれ、後ろから見てて息を飲むほどかっこよかったです。あと、スナフキンの手紙の再現シーン。スナフキンの手紙とは何かを山室が寺田に説明するシーン、あの照明がきれいすぎてもう涙ボロボロ流しまくりました。元々あのスナフキンのシーン好きなんです。「本当はなぜ旅に出ようと思ったのか、本当はなぜ沈没してもいいと思ったのか、本当は・・・」って所とかもうもうもうもうもう(涙)。あと、深町が初めてテンコのネックレスをサイコメトリーする時の照明ですね。スナフキンの時の音声が流れるのですが、その際照明がスナフキンのラストの人の動きにあわせて動いてるんですよね。で、ちゃんと声にあわせてそこに当時の皆がいるような錯覚になる。あれは本当すごいと思った。
役者さんについての一言感想 大高洋夫さん...さすがだな、と。第三舞台のセリフにはやさしさが込められているって、大高さんのセリフを聞くたびに再認識します。 長野里美さん...かわいいー!オウム最高。そして今回の衣装もかわいかった。でも、この人の声には魔力があるとしか思えません。言い切っても、呟いても、胸に直接響きます。 小須田康人さん...びっくり。一瞬小須田さんかどうか迷ったほどでした。かっこよくてかわいかったです。今回いろんな意味で最も私の心をつかんだ方でした。 山下裕子さん...女優さんの中では今回1番でした。泣けた。とにかく泣けた。せつなかった。愛しかった。 京晋佑さん...金髪にびっくり。しかしかっこいいね、この人。しみじみ。スナフキンの時より今回のジャーマネの方が好きです。 筒井真理子さん・・・かわいかった。その「かわいい」がいじらしくてせつないほどにかわいかった。 池田成志さん...あなたは最高。山本耕史さん...深町という役のイメージにぴったりだった。マジックお上手、びっくり。 旗島伸子さん...この人やっぱり好きだなぁと思うんだけど、どうも今一歩伸びない気が。とにかく今回5回見て5回とも早口の所が聞き取れずちょっと不満あり。 高橋拓自さん...すごい上手になってる!身体能力すごいし! 宮下今日子さん...あんまり表情変わらない人だよね。印象特にないのよねん・・・。 横塚進之介さん...横顔?が佐藤アツヒロに似てると思うのは私だけですか。 とりあえず旗島さんはじめとする4人って特別いてもいなくてもどーでも良かったんじゃないかと正直思ってしまうのだ。もちろんいるから良い部分もあるんだけど、何かそんなに印象に残ってないんだよねー。でも拓自さんの最後「できれば僕はこっちしか使いたくない」と銃を構える時の声は好きです。とりあえず他のメンバーがすごすぎたと、そういうことかも。
その他心に残った点。芝居の流れ無視して箇条書き ■ラストのサキのモノローグ。大恵の氷川サキが「たいしたことじゃない、大丈夫」と言ったというセリフを聞いた時、本当にもう1人氷川サキが見えるような気がした。きっとやさしく微笑みながらあの人は言ったに違いない、となぜかそう思った。 ■キャンディー生田良子のテンコのネックレスに関する霊視当たってるんだよね。最後の方も思い切り当たってるし。あの人の力は本当なの?金額によって反応するんじゃなくて、物に込められた思いの強さによって反応するのかなーとふと思ってみたりした。(その場合グラサンがひっかかるのだが) ■太郎(恵太)の目的が最後までわからんかった。本当に大恵に戻りたかったんでしょうけど、それにしてはイマイチわかりにくかったというかわかってない。 ■2人の太郎は互いに出会ったから生き延びたわけではない・・・。なら、太郎(恵太)も平成の世界では生き延びていくことができないと思っていたのだろうか。その理由に、テンコの記憶喪失が関係するのだとしたら悲しい気がする。 ■最初のサキと山室のモノローグ。山室が「特別な、真実の」と言ってるのに対しサキは「平凡な、誤解の」と正反対のことを交互に言い切ってるのが印象的だった。 ■「テンコです、テンコと呼んでください」って「天使は瞳を閉じて」にもあったセリフのような気が。でも天使と違って何か悲しげに聞こえた、今回。 ■「生きるってのはそういうことでね」と言った瞬間の後藤田、マジ惚れるくらいかっこよかった。深いセリフだ。 ■「ため息の気泡」、たら茶屋もため息の気泡の集まりなのかもしれないと一瞬思った。 ■電車を降りるか降りないかで「あなた」の世界が分裂するのなら、「彼」の世界も分裂することもあるんだなぁと思った。「あなた」が降りてきた世界と、降りてこなかった世界と。 ■「愛があれば本物も偽者も...」のセリフはあの最後に聞くセリフとして、すごい素敵なセリフだと思った。 ■「人間に絶望してなきゃ深町が力を失う」のが本当だとしたら、本当の仲間に出会っても力を失わなければいいと強く思った。絶望し続けていなきゃいけないなんて、悲しすぎる。 ■「目に見えない戦いに溢れた日本」と、「目に見える戦いに溢れた日本」。・・・どっちがいいんだろう。 ■山室や太郎が大恵に戻ったことが「平成の世界」からの逃げだとしたら、本当に逃げたのは山室たちではなく深町・寺田・絵美の3人のような気がする。 ■プロパガンダ・デイドリーム(多分もう1つ別のパラレルワールド)でも山室は最後目に見える戦いをしていた。平成の戦いが「生きていくこと」だとしたら、それは山室には退屈すぎたのだろうか。大恵の彼らにとって、「目に見える」戦いであることが大事? ■テンコの「さようなら、太郎ちゃん」はすごく泣けたけど、でもその前の「もう1つの世界なんてないの!世界はここにしかないの!」にはもう号泣だった。もう1つの世界があると信じた平成の3人は、もう1つの世界から来たテンコのその言葉を聞いてどう思ったんだろう。 ■「もう1つの世界のない世界へ行くんだ」って山室は言うけど、平成という世界があることを知ってしまった以上その言葉も嘘だと思う。 ■「スナフキンの手紙」のオチはあれか。山室じゃないけどそんなの認めん。この世界のスナフキンの手紙は本当に何なんだろう。
まとめ この芝居、好きだ。すごい好きかも。10年待てるって気になるほど好きだわん。私にとって「えー、この芝居の後で10年も待たなくちゃいけないの(不満)!?」という芝居じゃなくて良かった。やっぱり第三舞台の芝居は何だかよくわかんないくせに泣ける。衝撃として1度でずばっと来るものはあんまなかったけど、でも後からじわじわと来る芝居でしたね。
とにかくテンコにやられまくった芝居だった・・・。そして、やっぱり平成の3人が大恵に行ったことに関してはどうも否定的。山室と太郎は「戻る」わけで、それはやっぱりわかるんだよね。そして戻らなかった3人の気持ちもわかる。だけど平成の3人だけは違う。興味本位だし憧れだしある意味平成からの逃げ。「命をかけて戦う」ことの覚悟もないだろうし。そこから自分についても考えるけどさ。私たちには想像するもう1つの世界があったとしても行けるわけじゃないから。私たちはこの世界で生まれて育ってきてこれからも生きていくわけで。戦うってことはどうなんだろう。立ち続けるってことはどうなんだろう。逃げるってことはどうなんだろう。「世界はここにしかない」のだから、その世界の中で私が「生きるってのはそういうこと」と言えることって何だろうとか思ったり。答えなんか出ないけど、何か考えてしまうんだよね。10年経ったら何かわかるようにはなるのかな。 ギャグもアドリブも多くてダンスも素敵だったし、何かその本筋と関係ないところのギャグとかそういうのが強く印象に残ったり内輪ネタも多かったしってのもあるけど、でもやっぱり芝居そのものに何かやられてる。今まで戯曲読んだりビデオ見たりした時の一瞬の強い衝撃とは違う、静かなじわじわと深い奥底まで広がっていく水の波紋のような衝撃を受けた気がする。 でも何か笑顔になれる明るさというか温かさというかやさしさもあったような気がする。だから笑顔の大楽だったような(いや、すごい泣いたけども)。
第三舞台と出会ってから10年。封印はこれから10年。私は大丈夫。他にもたくさんのことを楽しんで芝居いっぱい見ていっぱい泣いて笑って怒っていろんなことがあるうちに、10年なんてあっという間だろうね。よし、私も10年頑張ろう。 たくさんの素敵な感情をたくさんくれた今後10年お休みする第三舞台に、私の溢れるほどたくさんの思いを込めた一言を。ほら、「言葉はいつも思いに足りない」からね。だから今は一言だけ。(こんだけ書いておいて何を今更、とも思うけど(苦笑)。) 「ありがとう、またね」
(9/14 19:00 ル・テアトル銀座)(9/15 18:00 ル・テアトル銀座) (9/26 19:00 ル・テアトル銀座)(10/1 19:00 ル・テアトル銀座) (10/14 18:00 メルパルクホールFUKUOKA)
追記。 ファントムの中で「平成の日本のスナフキンの手紙は何だ」って話になってたけど、私にとってのスナフキンの手紙は多分第三舞台そのものだと思った。「生きていく根拠」とまで言っちゃうと少し大げさだと思うけど、でも、「生きてて良かった」と思わせてくれるもの。胸にきゅんきゅん来るもの。私にとって第三舞台はまさにそんな存在なんで。だから、私はこの平成の日本で、私が生まれ育ったこの世界でスナフキンの手紙を見つけているってことになるのかな。パラレルワールドに行けたらそりゃいいかなーとか思わないわけでもないけど、その世界にもし第三舞台が存在してなかったら!と、思うと私はこの世界がいいです。どんなにつらくて泣きたくて悲しくて胸張り裂けそうな時がある世界でも。私は今までの日々も何もかも断ち切って捨てられないっす。と、思うと山室たちが戻った理由さらにちょっと納得。(2001.10.16.追加)
|