宇宙でいちばん速い時計
遊◎機械プロデュース


遊◎機械プロデュースで、白井晃演出で、P.リドリー作品っていう組み合わせは 前回「ピッチフォーク・ディズニー」で見た。(感想はこちら) わけわからんわりに非常に印象深く、 「良いものを見た」感覚が非常に強かったので、今回もその組み合わせだったからどうしても 見たかった。
見終わってみると、前回感じた「わけわかんねぇ」という感じは多少薄めかな?静かに、 淡々と、あっさりと描かれた狂気が今回もあるってイメージだったけど(本当はかなりの 狂気や恐怖のはずなのに)、今回は結構笑いもあったりして普通の芝居見てるみたいだった。 いや、芝居なんだが。大笑いするわけではないが、多少ぷっと笑ってしまったりで 張り詰め始める緊張感を要所要所で緩めていく・・・みたいな。つまらない、とかそういう 感じはなかったんだけど、なかなか芝居が動かないなぁーって思ってたら動いたらあっという 間だった。芝居が動くまでは吉川ひなのさんでも全然いけてるんでは?と思っていたが、 動いた瞬間からは多分彼女には無理だったと思う。シャーベットのあの狂気は出せなかった と思うんだな。

ストーリーを簡単に説明すると、
クーガー・グラス(鈴木一真)はキャプテン・ トック(浅野和之)と一緒に暮らしている。2人は恋人同士。キャプテンはクーガーに尽くして いるが、クーガーは好き放題。実年齢は30歳なのだが、永遠の19歳。実年齢を言われると 凶暴化する、困ったちゃん。彼が19歳のバースディパーティーを祝う時は、狙った少年を喰う 為。キャプテンは嫌々ながらいつもその片棒を担ぐ。今回の獲物は15歳のフォックストロット ・ダーリン(小栗旬)。全てはクーガーの思うままに進むかと思うと、実はフォックストロット は16歳の婚約者シャーベット・グラヴェル(富浜薫)を連れてきていた。シャーベットのお腹には フォックストロットの子供がいるが、実はシャーベットはフォックストロットの死んだ兄の 恋人だった。 (ああ、ややこしい) 白けるクーガー、いちゃいちゃ盛り上がるバカップル2人 、気を使うキャプテン。やがてパーティーの終盤、シャーベットが1つの秘密を語り始めた。 それはクーガーの狙い、彼の実年齢。彼女は彼の企みを全て知っていた。その上で、 クーガーを殺しに来たのだ。だが、実年齢を言われたクーガーは凶暴化してしまい・・・。
そんな話です。 全員どこか確実に壊れています。クーガーはホモセクシャルで少年愛好家の 上に年齢詐称の凶暴人間なおかつキャプテンのヒモだし、キャプテンはどんなひどい目に あわされようとも、愛しい男が 他の男を抱く手助けをするし、フォックストロットは純粋だけど「アホ?」という感じだし、 シャーベットは恋人の男が死ぬかも!という時にその弟をレイプしてるし、で。
フォックス トロットだってシャーベットにぞっこんだけどホモセクシャルもまんざらではなさそうだし、 レズビアン趣味だし。わけわからん15歳だな。そもそもシャーベットとの仲も微妙。 幸せそうな反面、どこか不満も抱えてる。彼はお兄さんを異常なまでに愛してたけど、 その反面兄の女を自分のものにした優越感みたいなものもあったのかなーって。
みんなどこか歪んでる。それを押し隠してる。だから、にじみでる歪んだ狂気が 充満した環境って感じだった。ちなみに終盤の乱闘シーンはすごかった。

鈴木一真は足長い。顔小さい。肉体美すごっ。さすが元モデル。オールバックにグラサン で上半身裸にジーンズのみで現れた時にはびっくりした。いやー素敵ーとか、ファンでも ないのに感動したわ。小栗旬も美形美形。足長っ。
そんな2人のとあるシーンに ちょっと「あらまぁ」と思ってしまったわ。それはどんなシーンかというと、鈴木一真が 小栗旬の股間に手をつっこんで激しく動かすシーンですな。浅野さんがずーっと喋ってる のに、思わずそっち見ちゃったよ。

しかし、シャーベットが意味わからん。何をしたかったんだあの女。パーティー 始まってからずっと「場を読め女(byアテルイ)」という空気ぷんぷんさせて、まぁそれは クーガーに対する敵対心だったんだろうけどクーガーを怒らせるだけ怒らせて真実を話して 殺そうとしたら返り討ちにあってお腹蹴られて流産しちゃうし。流産の血はリアルだったが。 本当に真実を知ってて彼を取られたくない一心だったなら、パーティーにそもそも来なきゃ 良かったんでは?うーん、わけわからん。
流産した彼女はかわいそうだが、そんなに 同情できないのはそういう理由なんだろうか。多分、P.リドリーが女嫌いなんだろうなぁ。 というか、P.リドリー本人がホモセクシャルの少年愛好家だろう、絶対。だからどうしたって 感じですが。

「宇宙でいちばん速い時計」というタイトルは、劇中で何度となく語られます。 愛しても愛してもクーガーは愛してくれない、そんな寂しさからキャプテンが作った 童話だから。ちなみにこの話を延々としている時、クーガーの高いびきで話内容おぼろげ です。
寂しいからナイフのように尖ってる(クーガー)、愛されたいから傷ついてもそばにいる(キャ プテン)、純粋で正直な分だけ周りを傷つける(フォックストロット)、単に攻撃的(シャーベッ ト)という、切ない芝居でした。(1人違う) 見終わった後の切なさ感は、結構すごかったなぁ。

帰り道、パンフにあった原文?の抜粋を読んで泣くかと思った。
"Captain:Remember that, Cougar? The Fastest Clock in the Universe. You gave it to me once. Will you ever give it to me again? The Fastest Clock in the Universe."
これくらいなら私の英語力でも訳せる。「覚えてる?クーガー。君は1度だけ"宇宙でいちばん 速い時計"を僕にくれたよね。もう1度くれる?"宇宙でいちばん速い時計"を・・・」
これは切ない。クーガーへの愛が痛いほどわかるキャプテンのセリフだからこそ切なくて 泣きそうになった。このセリフは劇中で言われてるはずだけど、最後まで見ないと何で このセリフが切ないかはわからないと思った。なぜなら、「宇宙でいちばん速い時計」とは、 「愛」だということが最後にわかるから。そして、「愛」だと言うのはクーガーだから。 「宇宙でいちばん速い時計」を1番ほしがっているのは、クーガーなんじゃないかと 思わされる一瞬だったかも・・・。
とてもいいお芝居でした。(でも 座布団はやめてほしかった。久々にお尻痛くて泣きそうでした)

ちなみに、後半1時間で鈴木一真さんが喋ったセリフは最後の「愛・・・」だけでした(笑)。

(10/11 19:00 シアタートラム)

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