オイル
NODA・MAP


「電話の向こうで、10万人が溶けた」のセリフに、全身に電撃が走ったような気が した。

「重いなぁ」 これが素直な感想だった。日本人にしかわからない芝居。だけど本質的な ものはきっと世界共通。NODA・MAPにしてはストレートな気がするし、でもそういうもの なのかもしれないし、でもやっぱりわからなかったりするわけで、自分でも何が何だか よくわかってない。わかってないけど、最後の富士の叫び声が耳に残る。
パンドラのヒメ女が「戦争を止めようとする王」だったのに対し、富士が「戦争する ように扇動する預言者」だったのが対照的だと思った。だけど、やっぱり富士が戦争を 望んでいたとは思えない。うまく言えないけど、富士が望んでいたのは「弟がいて、母親が いて、戦争前にあった日常」だけだったような気がする。復讐したいわけじゃない。でも、 受け入れることもできない。悲しい。だけど時間がきっと傷を癒してしまう。どうしていいのか わからない。恨みと、悲しみと、嘆きと、絶望と、希望と、諦めと、痛みと、思い出と。 自分の中にある感情をどうしていいのかわからない、強制的にそんな感情を全て1度に与えられて しまった戸惑いが最後の叫びに思えた。「本当はあなたの助けがほしい、神様!!」の叫びには 涙が溢れた。止まらなかった。重いラストだった。

大和を抱きしめて「あなたのことなのよ」と連呼する時、最初は「大和」と通して観客席に 訴えているのだと思ったけど、やっぱり大和本人に訴えているんだろうなぁと思った。今、 目の前にいる自分が抱きしめている「弟」の大和その本人に。大和が本当に弟だったのか、 魂だったのか。富士にしか見えなかったのか、それとも全てが富士が、マサカが見ていた 「戦後の夢」でしかなかったのか。富士が本当にオイルを探し当てたのか。全てが偽だった のか。わからないことが多くて、最後に8月を9月だと勘違い していた意味もよくわからないのだけど、だけどただ単に「夢オチ」とかそういうのと くくれないものが自分の中にあるんだよね。それが何なのかよくわからないんだけど。

どうしてガムが噛めるのか。どうしてコーラが飲めるのか。そんなすぐに忘れてしまえる のか。
わからない、わからない。復讐は愚かなことなのか。愚かではないが正しい 答えでもないと思う。いや、そもそも「正しい」答えなんか存在するのだろうか。復讐は 復讐を生む。自分がもしあの時代に生きていたら。もし自分が「復讐は愚かなこと?」と 誰かに問いかけたい立場に落とされたら。やっぱり私は叫んでしまうと思う。
「あなたの助けがほしい、神様!!」と。

ただ「龍」は「ちょっとどうなのよ、これ」とか思ってしまったわけで。ええ。
あとじゅんさん良かったけど、「くたばれ!スタジオジ○リ!」とかそういうのは、 「何よ、ト○ロの何が悪いのよ!」とわけわかんない不快感を覚えてしまったり。ごめん、 だって好きなんだもん。

(4/23 19:00 シアターコクーン)(5/17 19:00 シアター コクーン)
(5/24 14:00 シアターコクーン)

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