農業少女/NODA・MAP番外公演
(9月29日 13:00 シアタートラムK列5番にて観劇)


見た後の感想は、深津さんのかわいさが素敵っていうこと、芝居そのものが1つの絵画のように思えたこと、言葉では表現できない何かせつなさ・やるせなさがあったこと・・・。漠然とした何か色々なものが心の中にあるのだけれど、上手くまとめられなくてどうしようと思う感じ・・・。
多分、山本ヤマモトのように百子という毒草が持つ毒に私もやられたのかもしれない。思考能力をSTOPさせられたかのように、感覚でとらえてそれをどう表現していいのか全くわからなかった。
いや、過去形じゃなくて、多分今もわかってない。だから、今もどう書いていいのか正直困ってる。

数日後戯曲を読む機会に恵まれた。んで、読んでみた。キャラクターがころころ変わっていたのは何となくわかっていたが、妄想と現実の人の入れ替えは実はわかってなかったみたい。百子の父がいきなり「これから政治の世界に行くのにお前は邪魔だ」みたいなこと言ったのには正直「何で?何で親父がぁぁぁっ!?」とか戸惑っていたが、あれは都罪の妄想だと知って納得。言われてみりゃそうだ。
あと戯曲読んで「はふぅー」って思ったのはラスト、百子に会いに行った山本が腕を広げたのに対して、動かなかった百子。そこまで見てなかった・・・。都罪に抱きついた百子には胸打たれるものがあったけど、戯曲を読んで山本が感じたであろうせつなさが痛かった。地位も名声も全てをかなぐり捨てて、ただ百子を愛する気持ちに忠実に動いた山本。山本の思いは「農業少女」という芝居になって人々に伝えられるという言葉。シアタートラムという小さな空間に響く野田さんの叫びが何だかとてもせつなかった。痛かった。

最後の最後の百子のセリフも何かせつなかったなぁ。「ああ、嫌だ。待つだけの女・・・」みたいなの。本当に嫌そうに喋りつづける深津さんがとてもきれいだった。「・・・・もう、来ない」 この彼女の最後のセリフが何故だかぐっと胸を締めつけた。多分こういうセリフが来るのは流れでなんとなくわかったけど、それでもじーんと来た。
劇場という空間でスポットライトを浴びる女優。あのシーンは本当に1つの絵みたいだった。目に焼き付いて、言葉にできない気持ちと一緒に心に残って・・・。
自分の中にある感想が上手に表現できないんだけど、ただ深津さんがきれいなだけじゃないんだよね。1時間40分見てきて、その中でいろいろあって、いろいろ感じてそれであの最後の百子がきれいだった。きれいだというシーンが1つ1つ独立しているわけじゃなくて、全体を見たからこそあのラストシーンがとてもきれいなの。だからこそあの最後の百子がせつなくてきれいだと思ったんだろうな。

女優の名前だの何だの、何だか今のものをいっぱい使っていたのも印象的。数年後に再演したらまた違う名前が入れられているんでしょうねぇ。
松尾スズキさんのくねくね感がとても良かった。何だかにくめない、何だか共感するものを都罪に感じたのは彼のカラーだと思うな。いそうだし。(いや、あのくねくねはいないだろうけど)

そして。
「農業」と言われてもあまりピンと来ない。農業が嫌で農業から逃げ出して、そして農業を始める百子。そして、何かに裏切られて(都罪なのか、山本ヤマモトなのか、農業少女なのか、それとも自分なのか・・・)農業しか残らなくなってしまった百子。待つだけしかできず、待っている先に何もないことも知りながら、それでもただ待つ百子。
私にはそんな百子の思いがわからない。計り知れないと言った方が的確なのかもしれない。私は多分、百子を苦しめる立場にいる。流行のものに踊らされ、飽きたらすぐ次へ行く。私にはそれはきっと不思議でも何でもない。大衆という立場で、私はそれを悪いとも良いとも思わずただ突き進んでいるだけだ。そしてきっとそれは、私だけではない。そして、そんな自覚のない思いが百子を苦しめているのだろう。百子をこれからもずっと裏切り続けていくのだろう。

私はこの芝居で何を得たのかわからない。漠然と、何か心に植え付けられたままそれを形にやっぱりできないでいる。この芝居の持つ毒にやられたまま、いつかふと何かの時にこの芝居を思い出すのかもしれない。芝居の中で見たあのセピアの風景。遠い記憶を掘り起こすように、この芝居のどこかの1シーンを思い出し、「ナタデココって知ってるか?」というあの都罪のセリフのように流行によって生じる何かの悲劇を思い出すのかもしれない。
強烈に、鮮明に、そして形にならない思いを私はきっと抱えていくのだと思う。

この芝居の何かがわかるとしたら、山本ヤマモトのように毒とわかっていてもその毒で我が身を破滅させようとするか、百子のように何かに、誰かに裏切られる時かもしれない。

無茶苦茶なレポですんません。今あるものを言葉にしたらこんなんなりました。いつか直すかもしれません。

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