[ 日本の女 ]
阿佐ヶ谷スパイダース


初阿佐スパ。最近初見づいてるなぁ(そんなこともない)。作・演出の長塚圭史さんは、私はまず役者として見ちゃったんでそっちの印象が強くて。どんな話作るのか全く知らなかったんだけど、評判いいのでとりあえず見てまいりました。(えんぺでも評価高かったしなぁ)
もし消防の査察が入ったら間違いなくスズナリの責任者事情説明求められるんじゃないのか?ってくらい消防法を無視してぎゅうぎゅう詰めになったスズナリでした。指定席取っておいて良かった。危ない危ない。

STORY
単身赴任中の矢部進は、妻妙子の誕生日に内緒で戻ってきて、息子奈津夫(妙子の息子ではない)とともに妻を驚かせるための計画を練る。が、家に入ると妻は浮気の真っ最中。相手の男はいない。逆上した矢部は妻を包丁でめった刺しにして半殺しにする。冷静に戻ってみると妻はかろうじて生きている。救急車を呼ぼうとする所に奈津夫の担任五十嵐(実は妙子の浮気相手)がやって来る。3人で何だか動揺している所へ妙子の弟千葉登(妙子に精神的虐待を受け続けていた)が現れる。そして何でか全員(呆れた奈津夫以外)で妙子が死なない程度に蹴ったり殴ることでストレスを発散することになる。一方奈津夫は学校での友達で純粋に恋人のノリコちゃんを2年間も愛する大野(手も触れない)、潔癖症でHIV感染者で実はノリコも含めて校内の女子高生に売春の斡旋をしている代々木の3人でつるんでいた。家ではその異常な仲間に消火器セールスマンの田中も加わっていた。そして、田中と千葉で妙子のほかにもう1人女性を拉致してくる。奈津夫は恋人に落胆し別れ、ノリコが代々木に斡旋されて売春していた事実を知った大野は復讐に代々木の母親をレイプする。自宅に戻った奈津夫は意識の戻った妙子と五十嵐の情事に出くわしてしまい、逆上して母妙子を殺害する。拉致された女性は既に逃げ出していて、警察に家が包囲された後、大江戸大震災が起こる。(その後はどうでもいいや)

うひゃー。文字にしてもブラックでダークな話だなぁ。救いがないね。その割には見ている間ずっと笑いっぱなしだったんだよね。この話で笑っていいのか?と思わないでもないけど、会話のテンポというかそういうのがすごく上手で、笑わずにはいられないんだよね。長塚さんの演出は上手だわ、マジで。2時間10分ほどの芝居だったんだけど全然(大震災起きるまで)飽きないんだもん。いったいこの先どうなるんだーって思いながら見入ってしまいました。個人的には大野演じた長塚圭史さんがとにかく素敵!って感じだったんですけど。えへ。大野が奈津夫に言う「このド素人ー!!」っていうセリフで思わず噴出して笑ってしまった。もうあのシーン超大好き。でも文字にすると何で面白いのか全然伝わらない。ああ、くやしい。

大震災起きた後は何か全く別物と言いたいほど展開の違う話になってしまいました。笑ったりする辺りは全然変わってないんだけど、話としては私は震災が起きずに終わらせてほしかったなぁ・・・と思ってしまいます。(その前のひきつけ方が「お見事!」というほどだっただけに)
震災起きた後もダークな部分は相変わらずで、まぁ結局皆ばらばらになったり死んだりとかするんだけどさ。最後の最後、矢部父が自分達を攻撃する女達に白いシャツを脱いで旗のようにして振り回しながら「妙子LOVE!!」と叫んで、金庫の中から腐敗しつつも花に囲まれた妙子が出てきて、雪が降ってきて終わるという。わけわかんなくてごめんなさい。・・・あの雪は降る必要があったんだろうか。何か降り物系のラストは確かにキレイだし感動するんだが、あの場合は白いシャツを振り回す矢部父だけで十分だったんじゃなかろうか。私はかえって雪が降ってきたことで「あ、そう」と思ってしまっただよ。

帰り道、奈津夫や千葉・田中、五十嵐や皆が家での妙子を知りつつも普通に日常を送っていることを考えたら何だかぞっとして恐くなった。日常の中に潜む狂気や、人間の根の深い感情とか何だかそういうの色々考えて恐くなってしまって。そう思うと、妙子をめった刺しにしたり蹴ったりしながらも最後まで妻を愛し仕事にも行かず妻の側を離れず、愛しそうに妻の傷の手当てをする矢部父の方が恐くないのかも・・・と思ってしまった。この感情そのものも間違ってるんだろうけど、矢部父の方が倒錯した愛というか狂気を持っていることが鮮明だからかもしれない。他の人は、狂気を持ちつつ表では平常の顔を保てるだけ恐いと思うのだ。ラスト「妙子LOVE!!」と叫ぶ矢部父に嫌悪感を持たないのはそういう理由なのかもしれないなぁ。(まぁ、お芝居だからだろうでしょうけど)

しかし後味がとても重いーという芝居ですね、これ。おもしろいんだけど。笑ったんだけど。相当笑ったんだけど。っていうか、阿佐ヶ谷スパイダース好きになってしまいました。次回も行くぞ!

P.S. 劇中散々妙子のことを「しぶとい」「丈夫」と言いながら蹴ったり殴ったり虐待してるわけですが、簀巻きにされたり病院にも連れて行ってもらってなかったにも関わらず妙子はむくっと起き上がりスタスタ歩ってタバコを吸ってましたね。その後五十嵐を誘う余裕まであるし。客席で見ていた私ですら「しぶといな」「こいつ本当に丈夫だな」「嘘だな」と思ってしまいましたよ。いくらなんでもあそこまで丈夫ってことはないだろう、死ぬって普通。

(11/15 19:30 ザ・スズナリ)

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