上りの始発 -丸子組、旅に出る-/カクスコ 私はこの「上りの始発」がカクスコの作品の中で1番好きだ。だって、タイトルの意味がすごく素敵なんだもん。 いつものようにやりたいことを仕事として頑張る6人の仲間。その6人の仕事以外の日常が舞台の上では繰り広げられている。今回は丸子組というぬいぐるみ劇団。その丸子組の10周年(だったかな?)を記念したツアーの途中、居住場所とする廃駅が舞台。話としては、本当に今もどこかで繰り広げられていそうな錯覚になるほどフツーの話。空を見て星の名前を言ってみたり、鳥の鳴き声を聞いて何の鳥か考えたり、夜中に歌ってみたり、小さな頃の思い出を語ったり、お酒を飲みながら仕事に対してのそれぞれの考え方で衝突したり。起承転結がないといえばないし、あるといえばある。そんなフツーの毎日って感じで。 で、その廃駅の先に線路がないもんだから、そこから出る電車はいつも「始発」になる。しかも「上り」線。(←今回の再演では、この「上り」についてのセリフはなかったように思うけど・・・。あれ?)仕事に対する考え方や生き方で衝突した翌朝、彼らがその廃駅を出発する日。古い時刻表を見ながら、その始発の時間に出発しようと決める彼ら。(結局寝坊して間に合わなかったというオチつき。でも、それでもその電車を追い越そうと笑顔で出発するところで幕。) 私はそのタイトルに込められた意味が好き。カクスコの芝居にはいつも「特別」がない。「事件」がない。いつだって普通で、どこにでもありそうな話、どこにでもいそうな彼らがその舞台の上にいる。(その一方でこんな設定は普通じゃないし、こんな人たちはどこを探してもいないような気がしているのですが(笑))だからいつも彼らに私は「元気」というとクサイけど、何だかそんなようなものをもらっていたと思う。観劇後、いつも私は「明日も頑張ろう!」みたいな気持ちになっていたような気がしていた。そんな彼らの作品の中で、私はこのタイトルに込められた意味が1番元気をもらった作品だったから。 だから、彼らは解散発表前の作品にこの再演を持ってきたのかもしれない。彼らのそれぞれの再出発を発表する時期に。 「偉大なるマンネリ」とどこかの新聞で評されていたみたい。そうだと思う。彼ら6人にしか決して作ることのできない空間、空気。マンネリではあるけれども、いつも新鮮だった。日常こそ新鮮で、大切にしなくちゃいけないものだって、いつも感じることができた。それは実力がなければ成立しない表現であり、彼ら以外に誰かが真似してカクスコの芝居をやったところで、少しも笑えない感動もできないつまらない芝居ができるだけだろう。13年彼ら6人だけで作り上げた世界は誰にも真似できない。誰にも壊せない。壊すことができるのは、彼ら自身。そして、それが来年。 寂しいけど、何だかこの芝居のラストみたいに、笑顔で彼らの最後の芝居を見送ることができたらいいなーって思ってる。彼らの芝居を見ているときいつも私は笑っていたから、最後も笑っていられるといいな。っつーか、多分笑っているだろうな。 アカペラは今回も素敵でした。この芝居の中の曲って全部好きなんだよなー。オリジナルは全然知らないけど(笑)。特に、夜中井之上さんと中村さんが歌っていたために起こされた近藤さんも加わって3人で歌う「ダニーズ・ソング」(ってタイトルだったと思うけど)は最高でした。感動しました。素晴らしかった。
ってまだ解散したわけじゃないじゃんね(笑)。でも、あと何回彼らに会えるんだろう。私にとってカクスコ=TOPSだったから、最後はTOPSで見送りたいな。チケット何が何でも取りたいな。絶対取っちゃる。ええ。 |