カノン/NODA・MAP
(4月27日19時 シアターコクーンS席2階B列7番にて観劇)


野田秀樹すごすぎる。『パンドラの鐘』というあれだけの作品の後の新作としてこれだけのものをもってこられるなんて。

この話は浅間山荘事件をモチーフとしているってのは新聞で見ていて知っていた。その時は鈴木京香が拳銃をかまえている写真もあって。時代劇と聞いていただけに、どこが時代劇じゃいって思ったんですけどね。その後、舞台が平安時代ってのも聞いて。あ、時代劇だなーって(笑)。銃は『自由』のこと。まぁ、野田秀樹らしい言葉遊びに意味をもたせたって奴なんでしょうね。その辺はあんまりすんなりとは入ってこなかったけど、全体的に難しいとは言え、やっぱりおもしろかった。

平安時代、沙金(鈴木京香)を頭とした盗賊たち。天麩羅判官(野田秀樹)の悪政に耐える町。判官の下で牢獄の番人をしていた太郎(唐沢寿明)は沙金に惚れ、そのうち判官と沙金の二重スパイとして一緒に悪事を重ねて行く。やがて太郎の弟の次郎(岡田義徳)を救出し、盗賊は次郎の頭脳により判官屋敷より『自由(ドラクロアの自由の女神の絵)』を盗もうとする。その絵は判官のかつての裏切りを示しているが、しかし最後誰かの裏切りによって全員その絵を盾に篭城することになる・・・。そして裏切ったのは沙金自身・・・。って、そんな話です。浅間山荘もリーダーが裏切ったんでしょうか。生まれていなかったのでよく知らないんですが・・・。

唐沢寿明、上手すぎますー。かっこいいし、いや、太郎はこの人じゃなくちゃだめです、本当。鈴木京香は女も惚れる、あれは。正直そんなに期待していなかったんです。テレビでは上手でも、舞台ではどうかなーって。良い意味でその予測を裏切ってくれて、もうかっこいいわ、素敵だわ、上手だわ・・・・。雨上がり決死隊の宮迫さんも熱演でしたね。モーニング息子。でしたっけ。笑いました(笑)。野田秀樹は相変わらずというほどに相変わらずで。1回こけたんですよ。『こけちゃったじゃないの』って笑いながら言うところでは本当に会場が爆笑していて。芝居が一瞬止まってましたね(笑)。あの人の役、ほかに誰がやれるんだろうなぁーって思います。野田カラー全開。

串田和美さんにはちょっと不満。声が枯れすぎていて何を言っているのかわかりません。全然わからん。聞いていて苦痛。

盛りあがりのシーンっていうんですかね。ああいうシーンは本当にNODA・MAPってすごいんだーって思わせてくれます。会場もシーンとして、一緒にその緊張感がのぼりつめていくんですよね。随所にあって、飽きさせないし。太郎が脱走しようとするシーン。太郎が人を殺したシーン。次郎が裏切られたと気づいたシーン。私が印象的だったのは、特にこの3つのシーン。特に太郎が人を殺したシーンで『カノン』の意味が語られるんだけど・・・・。カノンって確かに重複って意味があるけど、罪を隠すために繰り返すから、この罪がカノン・・・。うまいーーーっ。うますぎるっ!!でも、次郎が気づくシーンの方が好きかも。自分の最後に散々語る次郎。そして太郎。2人ともわざと時代劇っぽい喋り方しているんですよねー。誰も動かず、セリフと音楽だけで。んで、太郎の弟を呼ぶ一言でまた動き出す・・・。かっこいいです、本当。

あ、最後誰が仲間を売ったかをばらすシーンの緊迫感が一番やっぱりすごかったですね。太郎が必死に『俺だ、俺が売ったんだ、そうしてくれ!』っていうのが悲しいです。そんなにまで裏切られても沙金を愛していたんでしょうね・・・。そんな沙金を自分が殺すことになるんだし。ラスト、絵の後ろに逃げる沙金の笑顔があまりにも美しくて2階席からでもはっとしてしまいました。最後の演出もすごいです。絵の胸から血・・・。そう、小道具はさすがに上手ですよね。絵を外した枠組が今度町並みに変わって、逃げるときにそれがぱたぱたとドミノみたいに倒れていく・・。上から見ていて、あー上手って本当素敵でした。

太郎が『えいえーん』って言うと猫が『見ようー見ようー(ミャーウミャーウ)』って返すってラストだったけど。うーん、その意味がよくわからなかったです。猫の存在が大事だと思うんだけど、どのように大事なのか私にはまだわかってないです。1度だけじゃわからんって、この芝居。内容理解の為と、単純にもう1度って意味で見たいなぁー。テレビでの放送を期待。

鈴木京香さん演じた沙金が本当にとんでもない悪女ですな。ヒロインだからもっと美しい役だと思っていたけど。汚れ役だ(笑)。女の本能に最も忠実なんだろうなー。沙金が裏切った理由もよくわかんないけど、うっとおしくなったのかな。いろんなことが。仲間も、自分を愛する男たちも、自由そのものも。私は沙金が人を殺めて落ち込む太郎に言うこの言葉が好きです。『絶望は明日に先送りしな。それが生きていくコツだよ!』・・・なるほど。そしてそれが『風と共に去りぬ』から来ているとは。

とにかくレベル高すぎです、NODA・MAP。面白い。NODA・MAPのほかの作品と比べてどうこうっていう否定意見も多いけど、私は好きだ、とにかく。他の劇団と比べるとやっぱりすごいとしか思えない・・・・。見せ方とか、そういうのがとにかく。あー。もう1回見たいなぁ、とにかく・・・。

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