いとしの儚 -100 Days Love-/劇団扉座
(6月7日19時 紀伊國屋ホールP列3番にて観劇)


本来行く予定のなかった公演。ただ、あまりにも「泣ける」とか評判良かった為、思い立って観てきました。結果。想像以上でした。あんなに泣かされるとは正直思いませんでしたよ。中盤から鼻をすする音が周りから聞こえ始めて、だんだん自分もはらはらっと泣けてきて・・・。【んー、確かに泣けるね】なんて余裕かましてたら、ラスト数分間は嗚咽がもれるほど泣きじゃくって、あまりの涙でコンタクトは浮くし、(落ちるかと思った・・・・)鼻水もだぁーだぁー一緒になって流れるわで、大変な思いをしてきた。

何ていうか、全体的に絵的に美しかったですね。音楽も壮大な感じで良かったし。話はもともとあったらしい、平安時代の絵巻を元にしているから、むちゃくちゃお伽話。鬼は出てくるし、神様だって出てくる。その神様が「ツキ」の神様。ようは、ばくち打ちの主人公鈴次郎が負け知らずだったのは、その「運のツキ」の神様に愛されていたから。赤鬼との勝負で勝った鈴次郎は、赤鬼に好みの女を作ってもらう。それが、儚。死体の中できれいなところを集めて、赤子の魂を入れて・・・。100日間抱きさえしなければ、儚は本当の人間になれるという。(抱くと、水になって消えちゃうの。)ところが儚と過ごすうちに、鈴次郎はばくちの事も忘れて神様を怒らせてしまい、破滅街道まっしぐら。儚を売り飛ばす結果になるわ、殺人まで犯すわ・・・。

主人公が本当にろくでなしっていうか、人間のくずというか。あんまそういうこと書いたり思ったりするのって良くないけど、だって本当にそう思えるように描いているんだもん。それでも、なぜか泣けた。本当に泣いた。その一番私を泣かせた原因は、六角さん演じた鬼だと思う。もうねぇー、この芝居の勝因というか真の主人公は絶対に絶対に六角さんでしょう!!あの人がいなければ、私はきっとあんなにも泣いていなかったと思う。

六角さん演じた青鬼の回想話だったのがこの話。ひっさびさに、すっごい素敵な声!!って思わされた役者さんでしたね。淡々と事実というか物語を語って行く青鬼。そんな青鬼が、鈴次郎が儚をかけた大勝負で賭けた結果に激しく反応します。【そうじゃないだろう!どうして、今ためらうんだ!!】といった感じで・・・。それまでの静かな演技から一変したので、思わずそれでかなりKOされてましたね。勝負に負けた鈴次郎は、儚を売り飛ばします。鈴次郎と別れた儚は、それでも鈴次郎を思いながら100日間生き延びて人間になることだけを待つのですが、99日目にお約束でそれが危なくなります。そして、鈴次郎が命を賭けて、自分が鬼になると赤鬼に約束して儚を助け出してもらうのです。

最後の2人の時間。静かでした。既に涙は溢れ出してました。その頃には、当然青鬼が鈴次郎だということもわかってました。だから、余計その流れる静かな時間が悲しかった。事実を知った儚は、鈴次郎に【抱いて】と言います。鈴次郎がいないのであれば、人間になっても意味がないから・・・・と。鈴次郎を抱きしめながら、儚は言います。【なんて鈴さんは冷たい体をしているんだろう。だから、私は水にはならない。水になってこれ以上鈴さんを冷やしたりしない】といったようなことを・・・。時折、鈴次郎と青鬼のセリフが重なるんですよね。それがまたすごいいいんだ・・・・。

後は、六角さんの状況を説明するセリフだけ。それがもう、最高泣かされたんだけど・・・。2人は抱合って、そして、重なった瞬間儚の命が終わります。でも、確かに儚は水にはならなかった。儚は、花になった。まるで今にも泣き出してしまいそうな六角さんの【儚は花びらになって、空へと舞いあがった!】という声と、舞台一面に舞いあがる花びら。中央で抱合ったままの2人。すいません、思い出した今、泣きそうです(笑)。音楽も良いし、照明も良いし、そこでずばっと終わるのもいいし・・・・。

2人の後日談もなく、本当にすっぱりあっさりきっぱりと終わってくれて良かった。本当に泣けた。あまりにも泣きすぎて、ラストシーンが涙でかすんだのが本当に悔しい。あんなに綺麗なラストシーンは今まで見たことない!!降り物系のラストシーンに弱いのですが、(銀紙の星が降ってくるとかね)あんだけ舞いあがる花はすごかったぁー。もうもうもう、涙涙涙・・・・。むちゃくちゃ震えていた六角さんの声がとにかくそれにプラスしてね・・・。いやぁ、泣けた。

ハッピーエンドでも何でもないんだよね。儚は結局花になったからといって死んじゃったわけだし、鈴次郎だって死んで鬼になった。その後はっつーと、死んだ人間に自分の過去を語りながら、何度も何度も鈴次郎は儚を失っていく。過去を悔やみながら、彼は儚を失いつづけるだけの未来。っていうか、悲劇だけど、それがまたお伽話っぽい。

100 Days Love. ←素敵なサブタイトルですね、本当に。シンプルだけど、これだけでじーんと来る。

そして、それとは全く別のもう一つの悲劇が私にはあった。赤星さーーーーーん。バカ殿を演じられた赤星さん。そりゃぁ、見事なほどのバカ殿っぷりでしたわ。ほんのちょっとでてきて、儚を危ない目に合わせて見事なほどに赤鬼にあっさり儚を奪われて・・・。ギャグキャラですか?・・・・・悲しい。私が唯一ビデオで見たことのある扉座の【曲がり角の悲劇】。それで赤星さんは主役を演じていたんです。かっこよかったんです。そりゃぁ、もうもうもうもうもう。破滅に全身で向かうそりゃぁ、かっちょいい男でした。ラストシーンも半端じゃなくかっこいいのに。すっごいかっこいいのに。扉座=赤星さん素敵という図式だった私に飛び込んできた生赤星さんは、顔面白塗りのバカ殿でした・・・・・。っていうか、芝居見ているときは知らなかったの。えへ。だから大笑いしていて、家路につく途中の電車の中で、パンフレットの配役を見て凍りついた私であった。

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