人間風車 想像するだけなら誰でも好きなことを想像できる。あくまでも、「想像」だけなら。もし、その「想像」が実体を持ったとしたら・・・・。この「人間風車」という芝居の恐いところ、人をひきつけるところはまさしくこの部分でしょ。 売れない童話作家の平川。彼の書く話は「頑張って頑張っても報われず殺されてしまった」男の話だとか、そういう夢のない話ばかり。そんな平川が女優アキラと出会い恋に落ちたことで、初めて夢のある童話を描いた。それを友人で人気童話作家の国尾に渡して感想を求めたところ、国尾は絶賛。アキラの弟サムも公園で平川の話をよく聞いていて、話の次の日にはその格好をして平川の下へ向かっていた。アキラと2人で話に困った平川がサムをバカにしたことで、アキラに振られる。落ち込んだところへ童話コンテストの関係者が平川宅に訪れ、盗作は選考対象にはならないと告げる。平川の作品は、国尾の作品として既に製本化されていた。そして、それを一部始終カメラに収めていたかつての友人小杉。彼はアキラに振られたので平川に復讐したがっていたのだった。 でも恐くなかった(笑)。恐くはなかったけど、すっごい面白かった。面白いと言うと語弊があるのかな?でも1つの芝居としてすごい完成してたと思う。平川の童話がまたこれが・・・・。「このオチかぁーっ!!」ってな感じでね(笑)。ありゃぁ確かに夢がないわ。人間どんなに頑張ったってダメなもんはダメなんだよ、ふっとやさぐれたくもなるわな。だからこそサムに聞かせた恐い童話、そしてラストの童話が生きるんだろうけど。 全員について語るとわけわかんないことになりそうなんでやらないけど、大倉さーん(笑)。すごいすごいすごい笑ってしまった。あの人は・・・。いいね。あの感じが。だから少年を殺した時の大倉さん(と阿部さん)の「うぉぉーっ!」という叫びが想像できなかっただけにびっくりした。あの人、ホラーできるんだなぁ。殺人鬼みたいだったもの、あの瞬間は確かに。 でも阿部サダヲさんラブって感じだ。すごーっ。何かあの純真無垢なサムを演じている時に「阿部サダヲさんの演技」ってのにあのまんまのイメージ抱いてたんだよね、何でか。初見だったから「あ、やっぱり」とか思って。よくよく考えたら大人計画の人なんだから「純真無垢」なわけないんだろうけど(笑)。阿部さんと生瀬さんの演技をにこやかに見てたけど・・・。ビルに豹変してからはかっこよかったわ。その「かっこよい」ってのは「○○さん、ラブー、惚れたっ!」ってのとはちょっと違うんだけど・・・・。上手く言えないけど、とりあえずすごかったってことかなぁ?だからちょっとだけ不満があって、ビルの部分をもうちょっと長く見たかったような・・・。あの迫力をね。 最後、アキラは殺されないんだよね。(初演は殺されたらしい)何でか不死身になっちゃったビル(=サム)に殺されかけた時、平川がとっさに新しい物語を聞かせる。それは背中に羽の生えた少年の話。話の途中からアキラと平川の共作みたいになって・・・。なかなかサムに戻らなかったのに、物語の最後改心して羽を使わずに空から落ちてくる少年のくだりで「どうして?どうして?」と詰め寄るサム。あの時既にビルはいなかったんだよね・・・。「それはね、サム。彼がそれを選んだから」と言い切るアキラ。言い切ったことでサムがどういう結果を選ぶかもアキラにはわかっていたはず。わかっていた上で、アキラはわざとそれを言ったんだよね・・・。 あ、そうそう。この芝居の中で私が1番恐かったのはアキラが平川の家でサムについて語った時。斉藤由貴さんの声って小さくかわいかったんだけど、そのまんまでサムが階段から落ちたことを説明する時・・・。「ゴンッ、ゴンッ、ゴンッ」と音を表現する時、想像しただけで恐かったぁぁあ・・・・。 |