みつばち
阿佐ヶ谷スパイダース


初時代劇だそうで。殺陣はまぁご愛嬌って感じだけど、これ後からじわじわ来る芝居かも。 見終わった直後とかよりも、今の方がかなり好きってどうしよう。1番好きかも、今までで。

髪の毛がある山内さんってのがまた意外。かっこいいんだけどやっぱりどっかおかしいし、 間とか声のトーンとか全部「ああ、山内さんだ」とそれだけで見に来た甲斐があったよと 思えるというか、単に好きなんですよ、はい。
阿佐スパは女性よりも男性を描くのが上手なんかね。結構女性の描き方で切なくなる芝居って 多いと思うんだけど、阿佐スパは男性が切ないような気がする。「切ない男たち」みたいな。 ストレートなラブストーリーだったのも意外だった、実は。しかも最後の伍朗のセリフを はっきりと覚えてなかったり。「かまうもんか」だっけ?「関係ない」だっけ??何か 山内さんの声のトーンが「うさんくせー」って思ってしまったんだけど(苦笑)、まぁいい 終わり方だったかな。

個人的に1番ヒットだったのは、ムシを助けに来る男なんていないって言われた後に、 木海が飛び込んできた時だった。めちゃめちゃかっこいいと真剣に思った。あの時の あの2人が1番切ないと思ってしまった。例え変態エロの狂人だったとしても、あの時の 木海は最高かっこよかった。というか、この芝居はとにかく男がかっこよかった。女が いるからこそ、男はかっこいいと思われるそういう存在なのかもしれんが、それでも何でも かっこよかった。ダメな男はダメな奴なりにかっこよかったし、良い奴は良い奴で かっこいいし。2代目はアホだがな。女と男の関係ってよりも、男同士の関係の方が(変な 意味じゃなくてね) かっこよくて切なかったりもした。最悪で悪人でどうしようもない十兵衛の 熊夫が死んだ時のあの動揺とかね。あと、ムツゴロウを殺した後に「1度くらい"ありがとう"って 言え!」と何度も刺しながらの伍朗の叫びとかね。あれがあるから、最後の「もういいかな、 もう言ってもいいかな」がすごいかっこいいセリフになるんだと思う。あの愛の告白は 久々にしびれたよ。かっこよすぎだよ、あれ。

ただ相変わらず暗い切ない芝居だったわけで、久々にものすごい憂鬱にさせられたセリフが あって、それが十兵衛が白子に餌をあげている時の、「小七、痩せるな!」のセリフ。 あれはもうとにかく憂鬱になった、あの一言を聞いた瞬間。
でもやっぱり笑いがあって、今回は前の作品ほどにツボになるセリフはなかったんだけど、 ミツバチが文字を書いて「こわー!」って言うのとか笑えたかな、と。
あと、十兵衛たちが伍朗たちを島に入れず殺そうと画策するところ、十兵衛が 小助をぼこっているシーンで「開けてよ!開けてよ!」と扉を叩いてたら本当に開いてしまい、 慌てて閉めたのには笑った。その後扉を叩く音が小さかったのも笑える。

ムツゴロウとか柳とか血が水なのを最初「ちゃちいなぁ」と思ってたけど、帰り道 「あ、白子=白」ってことなのかな?と思ってみたけどどうなんだろう。もしそうだと したらムツゴロウも柳も感染してたってこと?あの島の外の人間は皆汚染されてるってこと? って考えてみると、「天使は瞳を閉じて」に似ている部分があるかなーと。隔離された中の 人たちはそこが最後の楽園であると知らず、外に憧れ、中の生活の大切さも忘れそして 破滅に向かうっていう。そんなあたりが。

イチが男に実際だらしないあたりとかが何か阿佐スパらしいのかも。でも、ああいう 話好きだな。自分の気持ちに気づいたらもう遅かった、みたいな。駆けつけたのにもう 間に合わない、とか。それでも、今だけでも、この先に待つのが何なのか、もう遅すぎて 間に合わなかったとわかってても、それでも今だけが幸せであればいいっていう刹那的な 破滅的なそんな切なさが。嫌いじゃない。というか、むしろ大好きだ。

だから伍朗にはt.A.T.u.のアルバムタイトルをキャッチコピーとして捧げたい。(「天使〜」 のマスターにも)
"200km/h in the wrong lane" ("時速200kmで逆走")

(6/5 19:00 SPACE/ZERO)

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