阿修羅城の瞳/劇団☆新感線
(8月17日 18:30 新橋演舞場 1等席17列17番にて観劇)


-阿修羅城でお待ちしております、出門様-

このセリフを富田靖子の声で聞いたときは「ふーん」としか思わなかったのじゃが。後でパンフを読んでいて文字として見た時にゾクッときた。上手く表現できないのですが、「冷たい愛」っていうんでしょうか。「冷めた愛」ではなく、燃えているはずなのに冷たいの。氷のように、触れると凍ってしまうような愛。そんな感じがした。何でだろう。阿修羅がどんな思いでこのセリフを出門に言ったのかなぁ、と思うとでしょうか。
「富田靖子がちょっと」って感想はいたるところで見ますが、私はそんなことはなかったんだけど。でも、このセリフは彼女の声で聞いた時はただ流れていっただけなのは事実。・・・・そういうことなのかしらん。

それにしても、新感線初見だったのですが。いやぁ、エンタテイメントだこと。すげぇなぁ。セットにしろ照明にしろ音楽にしろ、お金かかってますね。(←それを真っ先に思う私って)ちょっと長いかなぁ、中だるみあるかなぁと思う場所が全くなかったわけじゃないけど、それでも全然退屈もしなく、全体的に「長い」とは感じさせられない芝居でした。それって、すごいことだよね。

私はちなみにこの芝居を見て市川染五郎さんに惚れた。というよりも多分、病葉出門に惚れたんだと思う。染五郎さんが出門を演じて、私が惚れる出門になったんだろうなぁ。初演知らないしー。かっこよすぎ。花道駆け抜けるしぐさが美しすぎ。立っているだけで華ありすぎ。決め台詞かっこよすぎ。しかし、その時聞こえてくる「よっ!○○屋!」っていう声には終始なじめない私・・・。(←しかも忘れているし。)あー、びっくら。これが歌舞伎ですか。とにかく梨園の御曹司、歌舞伎界のプリンス伊達じゃないですな。あの色気はすげぇー。男の色気っていうんですかね。立ち回りやって、着物がはだけて鎖骨が見えたり白いふんどし(?)が見えるたびに鼻血が出そうになっていたたらちり。(←嘘です。それじゃただの変態です。)でも、鎖骨とかにはゾクッと来たのは本当。あー、かっこよかった。殺陣もすごい。キレイなんだもん、動きが。ドスをきかせたセリフも素敵。ぽっ。ああ、何もかもがかっこいい。ラスト、富田靖子マジで羨ましい。ちっ。
多分出門に惚れた原因って、あの染五郎さんがギャグやってプレイボーイ演じて(←でも一途なんでしょ)、どこか照れてみたりマヌケなこと言ってつっこまれたり・・・・っていうのが新鮮で良かったのでしょうね。それがまた素敵でしたし。それだけだったら惚れないけど、前述したように決めたり何なりがかっこいいわけでしょ。良い男好きなたらちりとしては、惚れます。富田靖子、羨ましいぞ。ちっ。

生古田新太さんが見れてすごい嬉しかったです。「おじゃる丸だね」と笑死に言う台詞はすごいツボでした。笑った×2。粟根さんもやっぱ良い声でした。ああいう役は似合いますな、やっぱり。でも、もっと出番がほしかったような・・・。江波杏子さん、恐いー。恐いけどキレイ。いっけいさんも平田満さんも笑わせてくれましたね。っていうか、いっけいさん(笑)。特に2幕が始まってからのいっけいさんはもっともっともっともっと出てほしかったぁぁぁっ!!おもしろすぎ。染五郎さんとのコンビはいい!あー、笑えた。しぐさ全てが笑えるんだよね。加納さんも西日暮里のおばちゃんがずーっとで笑った(笑)。

音楽もかっこいいですねー。すごいかっこいい。っていうか本当かっこいい。時代劇にRockってすごいピッタリなのね。あのセンスは好きだ。

でも、誰かに個人的に感情移入するってことは一切なかったなぁー。確かに出門はかっこよかったし惚れたけど、出門のいろんな思いってよりは見かけに惚れたわけだし。暴言かもしれないけど、それは事実。盛り上がりが連続で、内面を掘り下げている余裕がなかったのかな。それとも私が気づかなかったのかしら。あ、出門がどうして鬼御門をやめたのかの話の時は引き込まれましたねー。でも、それくらい。だから出門とつばきがあっという間にあんなに愛し合っていたのかがイマイチぴーんとこない。邪空が阿修羅の力を何が何でもほしかったのも「ふーん」ってくらいだし、美惨と阿修羅や、まして笑死の関係性も全然わかりませんっ。人間極限状態に陥ると恋に落ちやすいって言うけど、出門とつばきもそれかしら。だからねー。そういう意味では「ふーん」ってな感じです。話の展開が早すぎるのか、なんだかよくわかんないけど。

だからといって不満なわけじゃないのだ。満足なのだよ。こういうもんだ、と思っているだけで。それを不満にも思わせないほど面白い芝居だったと思うっすよ。ラスト、「血はおいしゅうございましたぞ!」という阿修羅と、その阿修羅に何か叫んで(←忘れました)かんざしを突き刺す出門。かっちょよかったなぁ。鳥肌。絵になるラストでした。だから、個人的にはそこで2人には終わってほしかった。出門が生きていたのかぁ。ふーん。死んだのは阿修羅だけですか。しかし、どうして出門は生きていたんですか。あの状態でどうやって生きて戻ってこれたんですか。って、思うと。出門、生死不明でいてほしかった。

これ、映画化したらハリウッド喜びそうだねー。っていうかビデオ化してください。即買います。絶対に買います。でも本当はもう1度生で見たいっ!!でもお金がないー・・・・・・・・・・・。号泣。

「もう1度見たい」と、いつも背中を引かれるような思いをさせられる久々の作品です。それもこれも出門様。何はなくとも出門様。そして出門様以外にも見たくなる要素が山ほどだから困っちゃうわ。あー、見たいっ。見たいっ。見たいっ。見たいーっ!!くすん。

ビデオー・・・。ビデオー。ビデオー。(←ほとんど呪い)


(8月25日 18:30 新橋演舞場 1等席14列15番にて観劇)

耐え切れなくてチケット取ってまたも見てしまった。とにかく幸せで、すごい生き生きしていた私だったらしい。周囲がびびってた。

それにしても。前回見た時よりも格段に良くなっててびっくりしました。演劇って成長する生ものなんですなぁ。しみじみ。古田さんなんか迫力に磨きがかかりまくってて、前半完全に染五郎さんは食われてましたね。出門よりも邪空の方がかっこよかったよ。あ、後半か、あの自分の性を断ち切る時。しびれたぁ。上手すぎるね、あの人。
でも、今回私の1番のヒットは富田靖子さん。彼女の阿修羅は私はあれで良い!!ってもう思った。彼女でいいし、あの阿修羅でいいわ。ゾクゾクしちゃった。2人の間の愛がわからんって最初書いたけど、今回は見えました。見えたらそりゃぁ感動っしょ。「恋をしたら鬼になる」・・・かっちょええのぅ。つばきが出門に恋をする時。あの隠れ家でのシーンが良かったなぁ。何だかいろいろと書きたいのだが、とにかく今回この2人がすごい良かったのだ。特に最後の2人のやりとりはもう見とれてしまったし、思わずうるっときてしまったし。阿修羅が微笑みながら出門と戦っていたんだよね。それで、「ああ、この2人はこうやって愛を確かめ合っていたんだ」と思うと。せつなくて美しいなぁと思えてしまって。台詞の1つ1つがすごいかっこよく思えて、鳥肌何回たったことか。「お前の血、おいしゅうございましたぞ!」って言う時鬼に戻って首に噛み付く阿修羅。凄みも迫力もあったけど、その後「鬼がよぉっ!!」と絶叫でかんざしを突き刺す出門。この「鬼がよぉっ!」って台詞を言わせるあたり憎いわ。だって、出門が愛するつばきに言った最後の台詞がこれなんだよ。ああ、かっこいい。

惚れた女を殺しに行く男と、惚れた男が自分を殺しに来るのを待つ女。これだけで心ひかれる設定ではあるわな、私には確かに。でも、どっちがつらいのでしょうねぇ。生き残る方がつらいかな。

でもそれでもやっぱり「阿修羅城でお待ちしております、出門様」の台詞は流れてしまったけど。何で。

出門は染五郎さん大正解だよなぁ、本当。つばきが阿修羅に化けた後、「うらみますぞ」って言って「うらむかよ、俺を。呪うかよ、この出門を!!」っていう絶叫。鳥肌、鳥肌。というか惚れるわぁー。すっごいかっこよすぎて、言葉が他に思いつかないっす。とにかくかっこいい台詞満載by出門。「もういいよ!何で2人が戦わなくちゃいけないんだよ」と止める渡り巫女に「秘め事なんだよ、俺と奴との。」とか、「女を待たせてるんでな」とか、「手練手管でいかせてやるよ、あの世へな!」とか、「つきたてたいんだよ、お前の中へ俺の情のありったけをな!!」とか。ああ、言われてみてぇ。(←病気)色男が歯の浮く台詞を言って決まるのはそれだけで罪じゃの。それにしても、出門はかっこいい役だこと。完全無敵のヒーローですな。

それにしても新感線の殺陣っていうかアクションってすごいね。あんだけやってて何故ぶつからない・・・。古田さんが終盤三界衆を斬るシーン。本当に斬られているように見えてどきどきした。出門と邪空の対決はさすが。染五郎さんは殺陣ですら優雅だった。

初演の阿修羅城見てみたいなぁー。あ、今回ビデオ撮りしてたみたいですね(今日じゃないけど)。ってことは発売されるのかしら。意地でもほしいなぁ。何が何でも手に入れてやるーっ!!(←無理だったりして。・・・え?)

ぼける江波杏子っつーのは貴重っすね。あ、今回の笑死は「おじゃる丸」ではなく「ちびまる子」でした。笑死が突如大人の女の声に戻る時、かなり好き。それにしても見れて良かった。満足です。満たされましたね。しかし、これからどうしましょ・・・。ふぅ。ため息。出門様・・・。

補足。
邪空の出門への思いって結構悲しいものがあるね。あれも、恋。阿修羅の力が何よりもほしかった理由って、出門を超えたい思いだったのかなー。出門への憧れがいつしか嫉妬に変わり、そして憎しみに変わって。何よりも濃くて強い情熱になって、彼は自分の性をたったんだよね。そう思うと何だかせつないものがあるなぁ。最後の「最後まで俺のまなざしは貴様に届かなかったようだな」って言葉がすごい重く聞こえる。性はたっても、出門への「恋」は断ち切れなかったんだろうな。

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