4人のN氏/惑星ピスタチオ
(3月3日19時 新宿シアターアプル17列6番席にて観劇)


惑星ピスタチオ10年の歴史にピリオドを打ってしまう、これがピスタチオの最終公演。こうして芝居を見ると、どうして解散しなくちゃいけないの!?って気持ちが非常に強かったりします。ええ。公演初日だからか、後ろの方はかなり席が空いていて、何だか最後なのになーっていう物悲しい気持ちがあった公演でした。

お話としては、奇妙な友人の葬儀に招かれたニイルブンモンが、奇妙な魔物がいる草原に行き、そこから奇妙な夢を転々とする・・・という話だったと思います。いつものことですが、ピスタチオの話は「よくわかんない」ってな感じなんですが、何ていうのか、私の感想は「素敵」です。

4人のN氏。これは主人公でもあるニイルブンモン・葬儀の主役というか、死人というか、生きかえっちゃったネクオブ・貴族ノイナエル・大統領ヌウラブンガを指していると思います。主役は今回末満健一さんでした。戸惑いなんだか最後にはぶっ壊れてしまったニイルブンモンを見事に演じきっていました。しかし、です。

もう、もう、もう、もう、何て素敵なんでしょうっ、保村大和さん演じるノイナエルーーーーーーーっ!!!!ああ、私はもううっとりと見ていました。保村さんのまた誇張したような喋りがいいんですよね。異次元にひきずりこまれた妻ドーフェリアを呼び戻す為に、狂ったように芸術品を作り、魔法を研究し、そして最後に自分を生き贄にしてしまう・・・。「すれ違うその刹那に、永遠のくちづけを交わそうぞ」って、叫ぶ保村さんと言うか、ノイナエルというか、本当にかっこよかった・・・。うう。

今回はいつものピスタチオのようにハイテンポでがぁーって進むのではなく、なんだか少ししっとりとしていたように思います。一つ一つのシーンを大事にしている、というのでしょうか。別に今までが雑だったと言っているわけではなく、何て言うのか、芝居そのものが「ピスタチオ最終公演」と常に語っているからです。もちろん話はシャトナーさんが作る世界なのですが、雰囲気はどっちかっていうと「大切なバカンス」みたいなところもありましたね。

「物事には必ず終わりが来る。宇宙にも必ず終わりが来るように」「素晴らしい終わりなら、それは素晴らしい終わりなのだ」「無念な終わりなら、それは無念な終わりなのだ」

そのような「終わり」を連想させるセリフが随所にありました。そして、ニイルブンモンに、夢から覚めろと言う声がいつも聞こえてきます。私の勝手な予想ですが、ニイルブンモンの夢そのものが、惑星ピスタチオだったのかもしれないと思うのです。まるで夢のようなその時間を終わらせるために、さぁ、一緒に終わらせようと、彼らはそう言っているようにも聞こえたのです。この芝居は、最終公演だからこそ作られた芝居だと思います。彼らの心情はわかりませんが、一公演一公演、そういったセリフを言う事で、彼らは自らの体に終わりを刻み込んでいっているのかもしれません。

もう1度、見たいな。ラスト、エンディングテロップが流れていくのはとっても良かったーーー。


(3月9日19時 新宿シアターアプル6列4番席にて観劇)

そんなわけで、当日券で2度目のピスタチオを観てきました。これが本当に最後の最後。体調が本当に悪くてぎりぎりまで悩みましたが、次はないんだ。そう思うと行かずにはいれませんでした。彼らの群唱、「惑星ピスタチオ最終公演、『4人のN氏』」このせりふを聞いた瞬間、思わず私は泣き出しそうでした。大塚さんの作る素敵な照明の中で、もう彼らを見ることはないのかもしれない。そう思うと、その最後のタイトルが悲しくてしょうがなかったのです。

細かいギャグが初日と全然違っていて思わずびっくりしました。まず、ネクオブの棺桶を運ぶ人達。確か初日では「引越しのサ○イ」みたいな集団が運んでいて、墓穴に入れようとしたらなかったってな話だったと思うのですが。この日では野球に始まりサッカー、そして最後にラクビーになり宇田さんが棺桶をトライ、立っている棺桶を横に戻した後、ひゃっほーっと叫びながら皆さん去っていかれてしまいました(笑)。なので、棺桶を墓穴に入れようとしたのは参列していた皆さん(ニイルブンモン含む)でした。

ギャグなのかアドリブなのかわざとなのかうっかりなのかわかりませんが、ネクオブと船長が甲板で話すシーン。宇田さんが腹筋さんに「何を笑っているんだ、君は!」と言っていて腹筋さんが照れ笑いしていたのがなんだかとってもかわいかったです。

ノイナエルの狂気は、さらにさらに過激になっておりました。「愛の狂い人」彼はまさしくそうでした。喜び、笑い、怒り、不安定なその精神を見事に保村さんは私たちに見せてくれました。だからこそ、ドーフェリアを思うノイナエルの愛が、痛い。思わず私はううううってこみあげてきてしまいました。だって、本当に狂い人みたいなんだもん。思わず抱きしめてあげたくなるほどに、狂気じみているんだもん。

そして。
やっぱりこの芝居の夢は絶対に惑星ピスタチオそのものだったんだろうなってどんどん思うようになってしまいました。夢から覚めて現実に戻るとか、何ていうんでしょうね、群唱のシーンのセリフとか、なんだか芝居と現実をかけあわせて考えてしまいました。

福岡ゆみこさん演じた墓堀人夫。彼女が芝居の最初に掘っていた墓穴は3つでした。そのうちの一つがネクオブ。そして。夢から覚めたニイルブンモン。いえ、アンヤヤ・ウンヤ(←で、いいのか?)が話しかけたとき、彼女が掘っていた墓穴は4つでした。夢から覚める直前、ヌウラブンガが自ら命を絶ち、ネクオブが2度と戻っては来れないあの世とこの世の境の大渦に飛び込み、ノイナエルは自らを生贄としてドーフェリアを呼び戻す魔法を唱えました。そうして3人のN氏が死にました。だから、夢の最初の3つの墓穴も彼ら3人なのでしょう。そして、最後増えた4つ目の墓穴は、当然ニイルブンモンのものなのだと思います。

最初に見たときに何かもやもやしたものがありました。それは、ネクオブだけが困惑しているニイルブンモンに「夢を操作しろ。恐れるな。恐れると悪夢がやってくるぞ」と、常に「これは夢だ」とアドバイスしていたことです。なぜだろう?私はそう思っていました。そして、2度目を見て、この増えている墓穴に気づいたとき、私はちょっと思いました。ニイルブンモン以前の3人のN氏はそれぞれ夢の主人公だったときがあったのではないだろうか。同じように困惑し、戸惑い、そして夢から覚めて・・・。そうして次の主人公の見る夢の登場人物の一人になる。実際の3人のN氏がその時生きていたのか、死んでいるのかはわかりません。恐らくは・・・。

墓掘人夫が最後ニイルブンモンを奇妙な人を見る目で見つめる。そのことに彼が泣いているのか震えながら立ち尽くしているとき、彼に当たっていたライトが落ちる直前に宇田さんが彼にジャケットをかけました。それは、ネクオブがニイルブンモンにかけたように見えたのです。君も、今日からは誰かの夢の登場人物になるのだ、と。

ラスト、手が破けそうになるほどに痛くなるほど拍手をした私がいました。最後の音楽を聞くと、この最後の公演を見れた喜びと悲しみと感動で胸が熱くなります。

ちなみに。
おまけ公演ということで「UDA・MAP」がちょこっと演じられました。宇田さんが寅さんのシーンの説明をするだけなんですけど。なんだか最後だから楽しもうね♪ってピスタチオからのおまけが嬉しかったです。

どうか、どうか、どうか、どうか、また彼らを舞台で見れますように。(腹筋さんが難しそうだなぁ・・・・)

でも、本当に素敵な芝居でした。ラストに、本当に素敵な芝居をくれました。ありがとう、ピスタチオ。

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