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嵐になるまで待って キャラメルの芝居の中で、97年版嵐よりも「好きだ!」と言える芝居はまだない。それほど 好きだ。キャラメルにはまったきっかけの芝居。全身打ちのめされた芝居。その芝居の再々演。 私がすごく好きだった役者さんは2人もいない。主演のユーリは私が多分この世で1番苦手(はっきり書けば"嫌い")な女優。 期待よりも不安が勝っていた。思い入れが強ければ強いほど、私は自分のその思い入れに勝てない。 きっと落胆するだろう。きっと悲しい思いで劇場を後にするだろう。 「四月になれば彼女は」の再演だってそうだった。こんなんなら再演 しないでくれれば良かったのに、と強く思った。今回もそうだ。きっとそうだ。 それなら、むしろ見ない方が幸せなのかもしれない。そう思った。 結果としては、「再演してくれて良かった」です。この芝居を「好き」だという思いが、不満に
勝っていたというだけなのだけれど。決して私にとってのキャラメルNO.1芝居「97年版嵐」を
超えたとは思わない。ユーリはさつきさんの方が圧倒的に好きだ。そのほか配役にいたっても
やっぱり97年版の方が好き。それでも今回の芝居はとても良かった。空席が若干あるのが信じられ
ないくらい、ここ最近のキャラメルの芝居の中では非常に良いできだったと思う。 まぁそれで話が始まるわけですが、今回自分が何よりびっくりしたのは本当に私って97年版嵐が 大好きなんだなーってこと。何度VIDEO見たのか?ってくらい好きなんだということ。忍足さんの 雪絵の手話と、明樹さんの雪絵の手話が微妙に違うこと、このシーンで明樹さんがどんな表情だった か全部覚えてたこと、微妙なセットの違い、セリフの違い。その上で今回と比べてみると、忍足さんの 手話は本当に日常的に使われている普通の手話なんだと思った。上手に表現できないけど、明樹さんの 手話が耳が聞こえてる人の演じている手話という感じ(つまり、演技演技してる)と違い、私達が 演技でもなく喋るのと同じで表現される手話というか・・・。明樹さんの方がオーバーアクション だったとでもいえばいいのかな。その時その時の感情が明樹さんの方がわかりやすかった。表情も そうだけど、忍足さんの雪絵は真意がつかめない感じである意味終始神秘的だったと思った。 怒りも悲しみも不安も、全てが何か薄いベールに包まれてるようなそんな感じ。だからなのか わからないけど、波多野の遺体にすがりついた時の泣き声に突然涙が出た。あの声はきっと忍足 さんにしか出せなかったと思う。あの瞬間、あの声に今までの全ての感情が込められてる気がして 涙が溢れ出した。手紙のシーンでの雪絵もそう。もうベールに包まれている。本音はきっと奥に 隠してる。その手話だけでは読み取れない感情。でも一瞬、「もう会いたくないのです」の時だけ 表情が一瞬変わった気がした。思い返してみれば忍足さんの雪絵から目が離せなかった。雪絵のいる シーンではほとんど雪絵ばかり見ていた。明樹さんの雪絵とは明らかに違う、忍足さんだけの 雪絵だと思った。 心配だったユーリは、悪くなかった。今までで1番役にあってたんじゃないかとすら思う。その
理由の大半が「あんま喋らないから」というのもわかってるけど、うん、悪くなかった。でも
強いユーリだったな。さつきさんの方がせつなかった気がする。それって女優の力の違いな気が
しないでもないけど、岡内さんのユーリはとにかく強い。波多野に向かって「やめて!もう聞きたく
ない!」って言う時とか「嘘よ!」って言う時、さつきさんが絶望と悲しみの中から
搾り出すように「もうやめて!」って言ってるのに対し、岡内さんのユーリは「だから聞きたく
ないって言ってんじゃんよ、何?あんたあたしの言ってることわかんないの?あぁん!?(怒)」って
な感じで喧嘩売ってるような感じ。だって最後のあの対決のあの状況の中でよ、あの強さむき出しの
「嘘よ!」ってよく言えるよなーってしみじみと思っちゃったよ。恐くないのかよ、あんた。 あと他の役者さんに対して言うと、んー、佐藤さん以外は良かったと思います。佐藤さんはなぁ。
津田・・・。津田でもどうよ、あれって感じ。まあ別に話にそこまでかかわりないからね。チカちゃん
悪くなかったけど衣装悪いだろ。痛々しい。三浦さんは今までキャラメルにあまりいなかったタイプ
なんで、結構今後に期待したい感じです。彼の高杉は嫌味な感じ全開で良かったと思います。
大内さんとか畑中さんとか幸吉くんとか、それぞれイメージにあってたけど可もなく不可もなくって
感じかなー。細見さんのくどいギャグ(笑っちゃうんだけどさ)もなくて私は幸吉君にはあってたと
思います。 で、波多野。岡田達也さんの波多野。この波多野だけ、唯一5年前よりも好きです。5年前は5年前
で好きなんだけど、今回の方が圧倒的に好きです。いろんな感情とか葛藤とか恐怖とか、全部において
私は今回の方がとにかく好き。特に暗闇の中で「ユーリ!!」と叫ぶあの声。鳥肌立った。その迫力
に参った。(でも「ちょっとしたゲームをしよう」と「あははは」と小さく笑う声は5年前の方が
好きな気がする) それと、お姉さんに「私は1人で大丈夫なのよ」と言われた後に笑い出す演出は
あって良かった気が。今まで自分を支えてそれだけを頼りに生きてきた波多野の全てが崩れ去った
瞬間。あの笑い声にはそれが全て込められてて、それでその後の雪絵の嗚咽につながって泣けたのかも
しれない。 音楽についても最後のブリグリにしても、全て大好きで、「ああ、この芝居を見れて良かった」と しみじみ思いながら帰ってきました。もちろん不満がなかったわけじゃない。私の中で97年版を 超えたわけでもない。それでも、良かった。この芝居を見れて本当に良かった。 まぁでも今回は波多野と雪絵が完全に主役だったなー。それは波多野姉弟演じた2人と、 幸吉・ユーリ2人の実力の違いだろうけど。初演は「幸吉・ユーリ」が主役で、 再演は「幸吉・ユーリと 波多野姉弟」が主役、再々演は「波多野姉弟」が主役って感じ。幸吉とユーリは今回は弱かったね。 波多野姉弟に比べて。 最もむかついた瞬間は前説だったかもしれない。2階席から見ると見えない部分がセットの都合上 ある、でもそれは物語にほとんど関係ないシーンなんで大丈夫、そこに立ってる95%は大内さんだ という前説に笑う客席。ごめん、笑えなかった。大内さんが立つなんて忘れてたよ。ユーリが声を 取り戻すシーンと、最後手紙のシーンでの雪絵しか思い出さなかったから、「それを物語にほとんど 関係ないシーンだとぉぉぉっ!?」と激怒してしまったのです。実際どの程度見えたのか私には わからなかったけど、例えどんな些細なくだらないシーンであろうとも、その芝居の中の1シーンと して上演している以上制作側から「芝居に関係ないシーンなので見えなくても大丈夫」とは 言ってほしくなかったです。それが何よりも、残念。 (9/5 19:00 サンシャイン劇場) |