アローン・アゲイン


キャラメルの過去の芝居の再演は基本的におもしろい。と、思う。役者的に微妙に不満が あったりなかったりするわけだが、それでも根本的に話が面白いから素直に感動できたりする。 普通は思い入れとか思い出とかが邪魔して不安になる「再演」は見る前からある程度期待ができ、 普通は期待が膨らむ「新作」が見る前から不安だらけ、っていうここ最近のキャラメルを見る前の 自分の感情は何か間違っているとは思うんだけどさ。しょーがないやね、ことごとく「新作」に 不満が残るわけだから。悪いのは私かもしれんけど。

ただこのアローン、わりと若手中心で再演ということで見る前はそれなりに不安があった。 私は初演のアローンは生で見ていない。ビデオだけなんだけど、それでも西川さんの光男というのは 完璧だったように思えた。細見さんは最近頑張ってるけど、どうなんだろう、と。
結論から言えば、私は細見さんの光男は好きだ。何か変に奇をてらったギャグをやったりする 役よりも、ああいう等身大の役の方が細見さん似合うんじゃ?ちょこちょこ入る細見さんの ギャグも今回は良い感じで受け止められた。(時として「邪魔」と思うのよね、銀河旋律とか みたいに・・・) だからすごく細見さんの光男は良くって、良いと思えば思うほど最後とか 何か切なかったりラストのセリフがすごく良かったりでめちゃめちゃ感動した。

前田さん演じたあおいは上手とかあってるとかそういうの以前に、単純にそのスタイルの良さに 惚れ惚れとしたよ。女優ってよりはモデルっぽかったけど。
自分でちょっと驚きだったのは 坂口さんの演技に飽きた。大好きだったのになぁ。太陽と同じような感じだったからか、続けての 公演で色々大変かもしれんけど飽きたなぁ、正直。篠田さんは何ともかんとも。ああいうテンションで あの役はいいんじゃないかな。岡達さんはわりかし好き。彼の鞍馬は良かったと思うし。

今回は最初不安材料だった「若手」がすごく良かったんじゃ?青山さんも良かったし、佐藤さんも 良くて、で、私としては1番GOOD!と思ったのは温井さんだった。温井さんの紅ちゃんは良かったよ。 最近あんまり温井さんを本公演で見ていなかったからか忘れてたからなのか、「あれ?この人こんな に良かったっけ?」と思ってしまった。岡達さんの鞍馬と温井さんの紅ちゃんには正直 爆笑してしまった。いや、いいよあの2人のコンビ。バカップルすぎて。
小川さんもまぁ悪くなかったかな。でも、やっぱり酒井さんの方が好きだったかも。

ちょっと不満なのがみのりと将太。 特にみのりは初演よりもずっとずっと嫌な女になってたなぁ。とはいえ、 嫌な女でいいのかもしれないのでそれはいいのかも。でも生理的に受け付けないけど。ただなぁ。 またしても演出が変わっていたがあの変更はどうなんだろう。死のうとするみのりを説得するのに、 ただずっとシラノを演じるだけってどうなんだろう。しかも将太はセリフ忘れてるし。2人の絆を 見せ付けて、それでみのりが死をあきらめるのか?2人の絆なんて本当にみのりが将太を好きで ずっと見ていたならわかっていると思うんだが。ただ、好きだから自分を見てほしいからこそ その2人の絆から目をそらしてるだけなんじゃ・・・。あえてその絆をはっきりと見せ付けられたら、 あそこまで激情している側からすればさらにむかつくと思うが。「わかってるよ、ボケ!!」みたい な。んー。だから初演の「あんたは私の最初の観客。あんたが死んだらどうすればいいのよ。 絶対に死なせない!」という姉妹の絆を強調した説得の方が、みのりを静めるには良いんじゃないかと やっぱり思うのよね。
ついでに、今回のみのりならシラノを演じるまでもなくカッターを奪えたと思うが。2人に背中を 向けてカッター持った手は常に下に向けている。見ながら心で突っ込んでいた。「奪えよ、カッター」 と。興奮したみのりの気をそらすためにシラノ演じたんじゃないのか。みのりからカッター 奪える状況にあるならひとまずカッター奪えってば、何シラノ演じるのに夢中になってんじゃいって。 だってみのり死んじゃったらやばいじゃんか。みのりの心を救うなら、まず死から遠ざけてからでも いいだろうさ。初演みたいにひたすら首にあてて2人から目をそらしていないなら、そりゃ 奪えないからシラノ演じてるのもありだと思うんだけど・・・。どうもなぁ。光男もシラノ見ている んじゃなくて、みのり見てやれよ。というか、みのりあそこまでしてんのに、結局皆に見てもらえ なくてかわいそう・・・。
熱心にシラノ演じて2人の絆を今さら見せ付けたくらいでみのりが死ぬのあきらめるかね。2人を 理解するかね。っつーか花がもう1度咲くかね。鞍馬は「僕が何をやっても花はどうにも ならなかった」と言っていたが、あんなシラノごときで花が復活するんだったら鞍馬が何か やっても復活したような気がしないでもないが。だから、姉妹の絆のあのセリフ削ったのは 痛いと思うんだけどなぁ・・・。いや、それでもまぁ感動したんだけどさ。

あと、将太のあおいへの愛があんまり感じられなかったなぁ。「俺はそれでもあおいを 忘れない」と言い切った時、実はみのりへの愛を語るのかとさえ思ったよ。みのりを愛してるとは 思えなかったが、あおいを愛してるとも思えなかったのだよ。光男の方がよっぽどあおいへの愛を 感じたし、あおいから将太への愛もあんまり実は・・・。反発しつつも光男に心開いてるって 感じがしたしね。光男からエッセイの原稿もらった後に立ち去る光男を見つめて「・・・わかってる さ!」と言い切る時にはぜひぜひぜひ光男への嫉妬を見せてほしかったのに。さらっと流れちゃった ね、あのセリフ。ちょい寂しい。

ラストのひまわり良かったなぁ。ダンスも良かったし。というか、もう加藤さんのBGMの選曲 センスは天才的だと思う。ここだ!というシーンで流れてくるスパイラル・ライフの曲に 鳥肌立ったよ。オリジナルになってからこういう感動がなくてね・・・。キャラメルの芝居の 醍醐味の1つに、芝居と曲の絶妙なマッチングがあると思うのでこういう感動はやっぱりほしいなぁ。 最近はそういうのないのよ、新作特に・・・。太陽にもなかったし・・・。色々な事情があって もうこういうのなかなかできないのかもしれないけど、たまーにやってほしいなぁ。嵐再々演でも やっぱり曲とのバランスの良さに鳥肌立ったし、銀河旋律Aキャストの92年版BGMも感動したし。

とりあえず、「太陽まであと一歩」よりはめちゃめちゃ好きな今回の「アローン・アゲイン」 だったな。

(4/15 19:00 サンシャイン劇場)

BACK