MISSION File #27 『 ミッション “耳”ポッシブル 』
2003年9月14日 硬派度 ☆☆☆☆☆ 硬派者:炊事班長、狩猟班長、潜水班長、フカマチ隊員 幸せ者:隊長 注:バックミュージックと共にお楽しみください。
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2003/09/08 ベランダに出て、『なんて退屈な毎日だぁ・・・』 っと、 軽くのびをした・・ふと、向かいのマンションの屋上に赤いタオルが風に靡いているのが眼に飛び込んだ。 『仕事だっ!』 久しぶりの指令に、ニヤリとしてしまった・・ 思えば、二ヶ月前から、トレーニング中の不運な骨折により、 クライアントからの仕事依頼が激減し最近の依頼と言ったら、とあるお特定のクライアントからの、カミさんへアリバイ偽装工作の為の名義貸し依頼、例をあげると 夫 :『今日はトラと飲んでくる!!』妻 :『またぁ、トラオ君とぉぉー!!』とか、平均年齢35歳位のとてもショッパイ女だらけの誕生会の盛り上げ役など ,流石にその依頼は丁重にお断りしたが・・・ 丁度、そんな類の依頼にもウンザリしていたところだった・・・ 俺は、早速 P.O.BOX(局留、私書箱)まで司令書を取りに行った。おっと、言っておくが俺はクライアントの顔も知らなきゃ何処の何奴だかも知らない。 仕事の依頼は、向かいのマンションの屋上に赤いタオルが干してあるのが目印。 基本的に報酬はミッションが終了した後に俺のスイス銀行の口座に振り込まれる事になっている。 P.O.BOXで小さな箱をピックアップした。 中には司令書と、アフロのズラが入っていた。 司令書には、『4人のエージェント、ヤス、ヨコザワ、フカマチ、トラオ、へ 軽井沢の森に潜む、“耳”に無言のプレッヤー、且つダメージを与え、一生に一度の!? 神に誓った決定的瞬間の写真を撮りホームページの表紙に飾れ!!』
9月14日(日)9:00〜 軽井沢高原教会 長野県北佐久郡軽井沢星野ブレストコート内 敵は手強いぞ!!決して裸眼で目を合わせてはいけない! 変装は怠るな!! そして、この指令書は、10秒後に化学反応を起こし消滅する。
指令書を読み終わるとその紙は後かもなく灰になってビルの谷間風に舞っていき、 手元にはアフロのズラだけが残された・・・
2003/09/13 作戦前夜
フカマチと合流。 ヤツの変装用ズラは十円玉ハゲカツラだった。 そして、俺とフカマチは、2年前、あのキノコ狩り、走しれメロス大作戦の際のエージェントヤスが起こした取り替えしのつかない、忌まわしき作戦ミスの映像を見ながら反省点、並びに留意点をチェックしながら大爆笑して、明朝に備えた。
2003/09/14 作戦当日 AM 5:00 2人のエージェント、ヤス、ヨコサワと合流、 軽井沢へ向かう車の中で簡単な流れの確認をする。 ズラ合わせも行う。 本当なら俺はリーゼントのズラだったらしいが、 それを横向きに被った時のエージェントヨコサワの表情には流石に敵わなかったので、 彼がスーパー1:9分けスタイルで行く事になった。 ※写真参照 AM8:00過ぎには現地に到着し、短い時間ながら念入りな下見を行った、チャペルの場所、参列者の入場の際の導線の確認、現在チャペル内で行われている挙式のカップルが出てくるのを待ち、挙式が終了した後の二人の動きを林の中から観察し一部始終を頭の中へ叩き込んだ。完璧なロケハンだった。 AM 8:55 参列者が林の中を教会へ向かう姿を捕らえた。 俺とフカマチは素早く林の中を通り完璧な程、そして自然にその参列者の列の最後尾にとけ込んだ。 そして、ヤスとヨコサワは何気なくチャペル入り口で合流し4人揃って無事に進入に成功した。 第一段階クリア! 完璧だ!!誰一人として、俺等の存在に気付き怪しむ者はいなかった!! チャペルに入って数分もしないうちに神父によって挙式は始まった。 これは同時に我々の作戦の第二ラウンドのゴングを意味するモノであった。 ヴァージンロードを進む花嫁、それを迎える新郎(ターゲット)、っと、その時新郎の額に走る一筋の汗の滴が走るのを我々は見逃さなかった!! フッ、気付いたな!!遂に気付きやがったな!!ターゲットは我々の存在に気付き、狼狽えている!! 動揺を隠しきれない証拠の汗の滴であった。 完璧だ!!完全に無言に交わされているが、決して交わる事のない熱い視線のけん制し合い! 完全に主導権は我々が握っていた!! 我々の存在から発する熱いオーラ、並びにオヤジ臭に近いにドロドロした空気に狼狽えるターゲットを尻目に、和やかな空気に包まれ挙式は進んだ。 しかし我々はそんな空気飲まれてはならない、課された任務を遂行し誰一人として犠牲者を出さずに生還しなければならないのだ。 我々はシャッターを押しまくった、冷静に且つ沈着にターゲットの耳を捕らえていた。ウロたえるえるターゲットには溜まらない程、屈辱的な攻撃だったに違いない。その証拠に花嫁から新郎への指輪の交換の際に、新郎の指に指輪がなかなか入らないのである!! ターゲットはかなり震えているに違いない! ボールは我々のコートにあり、そして我々主導のゲームは進められた。 我々は任務の完結を手中に入れている事をこの時点で確信した。 挙式も終盤にさしかかった、相変わらず我々は完璧な程に式に解け込み余裕の笑みさえこぼれ出る程であった。 いよいよクライマックス、ターゲットとのセカンドコンタクト、二人の退場である。 どんなに足掻いても、ターゲットはもう何処へも逃げられない状態だった。 前方よりターゲット接近・・・ 決して眼と眼は合わせないが、 『何で招待状送らなかったんだ!?送らないからこれだけの為にわざわざ、軽井沢まで来ちゃった、視線ビーム』 を放った。 ビームの先には背中を小さく丸め、我々に背中を向けヴァージンロード出口へと向かう 今回のターゲット‘耳’の後ろ姿だけが我々の脳裏に焼き付いた・・・・・・
いつも、任務の後は気が重い。 特に今回の任務は特別だった。 皆が口をそろえて言う、 『子供じゃ出来ねぇなぁ!! 俺たちがじゃなきゃなぁ・・・』
MISSION File #27 『 ミッション“耳”ポッシブル 』 COMPLETED
作戦完了報告:トラオ なんちゃって! 本当は、炊事班長からのメールに ◎ 基本的に全て、オザキとは目を合わせない。
って、書いてあったので、こんな感じのシナリオを男四人で練りに練って考えていたが、本当は駐車場でカツラのかぶり合いをしながらゲラゲラ大爆笑しながらふざけ合ってたのは良いのだけどさぁ、教会に入る際なんて『どうする?どうする?いいのか、行って?本当に入るか??大丈夫か?』みたいな感じでドキマギしながらの突入だったし、実際に教会に入って、座席に着いた瞬間から隊長にウリ二つのお兄さんに振り向かれ、『誰だぁ!?こいつ等?』みたいな視線を浴びせられ、奥さんの親族、関係者からも変なビームを浴びせられて心臓バクバクしていたのさっ!! 隊長には気付かれないようにしていたけどさぁ、チャペルには新郎新婦の身内の方だけしかいなくて・・ 今思うと、あまりにも参列者が少ないから後方から隊長が入って来て、俺等の真横を通り過ぎた時に、間違えなく横沢さんの後頭部で俺等の存在バレバレだったのだろうなぁ・・・ そんでもって、教会内での挙式の進行中は写真撮影禁止って神父さんが言うから、指輪の交換の時に隊長の指に指輪が入らなくて焦っていた場面の写真も撮れなかったし・・ 事前の打合せでは俺等が隊長に絶対に視線を合わせないように!と言う作戦だったけど、新郎新婦退場の際に隊長が俺等の真横を再び通って行った時なんか、新婦関係者の方に完全に身体ごと向けちゃって、俺等にはわざと背中向けちゃってんだから!! 参っちゃうよ!! そしてそのまま退場かと思いきや、出口のところで参列者とご挨拶!とか言って待ちかまえていて、神父さんが『後方の席の方からどうぞ!!』なんて言っちゃってさぁ、『どうするよ! 俺等からじゃん!!どうするどうする!!』って感じで俺等かなりテンパっちゃうし・・ けど、俺等も俺等で4時に起きてわざわざ軽井沢まで来た意地があるからさぁ、かなりの早歩きで笑いを怺えながら、視線を合わさぬように『どうも・・』とボソッ言いながら通過しちゃうし、結局、その時に新婦のカオリさんには『どうして、居るの!??』とか叫ばれてしまってさ! けど、俺等は頑なに隊長と口は聞くまい、目は合わすまいと頑張って、投げ捨てるようにライスシャワーも参加したしさ! けど親族の方々はまだ、俺等の事を見て『こいつ等、いったい誰なんだ』みたいな視線バシバシでさぁ、俺等もかなりその場の超キマジィー空気に押しつぶされそうになっているのに隊長がニヤニヤしながら 『招かざる客が居るなぁ・・』何て言っちゃうモンだから、こっちもさらに気まずくなっちゃうしー!!さらにそれを聴いた神父さんが、俺等が事前に下見の為にチャペルの周りをウロチョロしていた事、みんなの前でバラしちゃって、『カワイイお友達じゃないですか!!』だってさ! これにはやられたなぁ・・・ それで、居てもたっても居られなくなった俺等はさぁ、林の中へと姿を消して、二人だけにプレシャーを与えるタイミングを待ったんだよね、カツラ被りながら・・・ そんで、シャンパンで祝杯を挙げる為のオシャレなテラスみたいな所に続く林の中の小道で二人だけで歩いている途中でお約束のごこくズラ被ってグラサンかけてカヌ沈隊旗持って再び登場した訳なのだけど、親族の人も、カメラマンも結構喜んでくれていたみたいで『写真撮るからもっと寄って!!』なんて歓迎ムードなちゃってさぁ・・ そんでそそくさと帰るつもりで撤収しようとしたら、 嬉しいねぇ、隊長が『シャンパンだけでも飲んでいけよ!!』って言うから、俺等も甘えちゃたし。 本来なら『カヌ沈メンバーに招待状出さないと、こう言う目に遭っちゃうぞ!!』みたいな企画だったのだけど、逆に親族の方々に気を使って貰っちゃうし・・・ でも何だかんだ言って、隊長は嬉しかったと思うよ!! もちろんお嫁さんのカオリさんも!! 隊長なんか、満面の笑顔でアフロのズラ被って写真バシバシ撮てるしさっ。 何かあんな感じで、みんなに祝福されて喜んでいる隊長を見ると、俺等が軽井沢まで来て良かったんだろうなぁ・・なんて俺等みんな思って駐車場で着替えながら『子供じゃ出来ねぇーよ!! 俺達じゃなきゃ!!』って言って誇らしげな顔して、軽井沢まで来て良かった! って、満足してましたよ!! でもその後、俺が余計な一言、『確かに、子供じゃ出来ない! けど、 大人は、ヤラないなぁ・・こんな事・・・』なんてボソッ、っと言ったら、みんな元気無くしちゃったんだけどね!!
長い前フリでウダウダ書いちゃったけど、結局は『カヌ沈隊』だからさぁ!! こうなっちゃうのは、解っていたけどね!! まぁ、大目に見て下さいよ、隊長!! 『硬派野営集団カヌ沈隊』の隊長なのだから・・・
おめでとう御座います、末永くお幸せに!!
硬派野営集団、隊長を除く幹部、隊員、奴隷、OB 一同より。
〈記:トラオ〉
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