奥利根聞き込み山行

 

 

平成14年7月 20日〜21日

硬派度 ★

硬派者:炊事班長・狩猟班長



Dear 炊事班長

「西ゼンはあんま行きたくなくなった。」

あなたのメールにはそう書いてあったんだ。
西ゼンに行きたいって言ったじゃない。
俺の案は全く無視して・・・。
最初は黒谷行きたいとも言ってました・・・。
それから全然連絡ないし。
行かないの?日程替える?ってメールしたら

「西ゼンはあんま行きたくなくなった」

だってサ。
そしたら今度は

「車捨てたい・・・。」

だって・・・。
どうやらアナタの車のエアコンがぶっ壊れたらしいけど。

「奥利根にする?近いし夏の情報収集も兼ねてカヌーで、水長沢出合BC−小穂口や本谷の偵察山行どう?」

今度はそんなコト言うから、奥利根に決定したんだ。
結局、仕事イッパイイッパイで焚き火したいだけなんじゃないの?
そう思ったけどね。
でも黙って行ったサ。
関越道走って。

エアコンは12万払って直したようで、

「やっぱエアコン効くねぇ うひひひひ!」

だって・・・車内の設定温度は18℃なんだもの。
駐車場で入山祝いしてたら、あなたは鼻水ズーピーズーピーやってましたね。
なんだろうこのヒトは・・ってホントに思った。

顔には出さなかったけどね。

付合い長いし。

二人っきりでもめるのイヤだし。

翌日は天気もよくってパドルを持つ手がジリジリきたね。
カヌー乗ってる間、あまりにもヒマだから、湖岸でキャンプしてるカップルみつけて俺が

「若い彼女と湖岸で裸族ごっこしてぇなぁ」

とボソリといったら

「なぁ〜んだよ!ソレ 最高!やりてぇ〜!!」

あれ冗談だったのに、あなたはホンキでやりたがってたね。
それからバックウォーターにつくまでそればっか。
まぁ最初に言った俺が原因だけどね。

でも、アレは失敗だね。

日焼け対策。

あんなに焼けるなんて思わなかった。
うかつだったのはあなたの頭頂部だね。
なんかすごく痛々しく赤くなってた。
後ろから見ると日の丸だもの。
シツレイだったらごめんなさいね。

海苔弁の梅干ってカンジ。

あなたは本流の偵察はやる気マンマンの振りだけはうまくて、あやうく騙されそうになったけど、上流から雪渓のかけらを持って降りてきた人をうまく誘い込んで、オンザロックが頂けたのは、その日結局、本流偵察なんか出来なくっても結果オーライだったね。

"偵察山行"が"聞き込み山行"へ変貌してしまったけど、酔っ払っちゃえばカンケーないしね。

そんで起きたのが夕方6時。

まぁ・・・いいでしょ。

情報は入ったし・・・。

それにしても水長沢出合いの幕場はイイね。
焚き木は豊富だし、寝床は砂だし言うことないね。
でもキャンプ雑誌に出てくるようなひとが多いのと、ウグイの里なのがツライけどね。
隣にテント張ったヒトなんか迷惑だろうね。
一晩中、ブルースハープでパープーパープー、"寅さん"とか吹いてたから。
それにしてもうれしそーに吹いてたね。

そんでもってメロンまで食べてるし。

やっぱり焚き火がしたかっただけなんじゃないの?

確信したね。

翌日はホイチョイで小穂口偵察しにいったけど。
偵察メインで昼飯抜きで速攻ピストンって決めてたのに。
アナタのザックからは、ナゼか竿が出てきたね。
まいったね。
狩猟班長の俺が竿を置いていったのに。
そんで釣りしたいって言うから、チョロ虫捕まえてやって。
あなたでもイケそうな淵で、

「ここで竿だしなさ〜い。そこ流しなさ〜い。」

って言ったら、釣れちゃった。
でも、またしても幼児虐待だね。
お尻から出そうなくらいハリのんじゃって。

「やった!オザキに勝った!これで通算5匹目だ!」

って喜んでました。
岩魚の頭落としてまで仕掛けを大事にするくせに、頭落としたら仕掛け壊れちゃって。

「やっさんさぁ 糸とハリ結べる?」

だって。
シツレイねぇと思いながらチョイチョイと結んだら。

「うぉ!スゲー!さすがー!!狩猟班長!!」

当たり前でしょ。


帰りのカヌーも二時間つらかったね。
アナタはまた"裸族ごっこカップル探し"で、パドリングサボってばっかだったけど。
俺は一生懸命漕いだんだよ。
でもゴメンね。
あの一言で今回の山行は台無しになっちゃったカナ?

「そういえばね、ヨコサワくん」

「ん?」

「◎×したらお小遣い制になるの?」

「おえ!絶対ヤダ!小遣いヤダ!」

「でも、×△サンは仕事しないんでしょ?専業でしょ?収入ないんでしょ?」

「あ"−やだ!小遣い絶対ヤダ!!」

「ワガママ言わないの。お小遣いだと毎月3万程度?山は月一が限度ぢゃないの・・・。」

 

その時、あなたのパドルを漕ぐ手が止まって、心なしか背中が小さく見ました。
奥利根ダムの船着場はあなたの日焼けした頭頂部と小さくなった肩越しに見付けることはまだ出来ませんでした。
漕ぎ手の減ったカヌーがゆっくりと喫水する音に混じって、遠くではポチョンと魚が跳ねました。
それはあなたのお財布の行く末のような音でした・・・。

そんな梅雨の晴間の湖上での出来事。

奥利根の夏はこれからだね。



愛しい炊事班長様



あなたの未来に幸あれ。


<記 狩猟班長>

 

 

 


H14-7-21 現在

<本流情報>
シッケイガマワシの巻道の曲がっている付近からスノーブリッジ長さ5Mくらいのが続けて2つ、
その先はずっとブリッジが見えた。
そこから、雪渓を持って引き返してきた。
奥利根マリーンの高柳さんも、本流はあまり人が奥まで入ってないので分からないとのこと。

<小穂口沢情報>
7/21(日)ブナ沢まで、つりをしながら1.5H
オクサビ沢を過ぎて、大きなカーブが続くところで右岸に雪渓の残り、ブナ沢出合の手前のゴルジュの途中にブリッジが一つ架かる。高さは1Mくらいなので、直ぐに崩れそう。
二俣過ぎの魚止めまで行こうと思ってたのですが、時間が足りず戻りました。

奥利根湖のカヌーの上から、奈良沢の方を見て見える山(三つ石?、巻機?の上の方)は沢筋と
稜線下に雪があるのが見えました。上のほうだけ。


硬派夜営集団カヌ沈隊

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