カジカとりは面白かった。
待ち合わせは、川越の一つ手前の駅。
時刻通りに集合したオレとガリガリは、なかなか姿を現さない隊長を待っていた。
すると、携帯が。
「オザキです。どーも。1時間くらい遅れるからよ、ちょっと待ってろ。」
「え、マジっすかぁ? ・・・わかりました、そのへんで時間つぶしてますよ」
「おう、じゃーな」
なんなんだアノ人は、まったくもう!
おい、ガリガリ、1時間遅れるってさ。どうする?そこの赤提灯で一杯やっか?
いいね、いいね、生中1、2杯ならバレないっしょ。
隊長はどうしようもねえなぁ、なぁ?
時間にルーズなのもいいかげんにしてほしいよね。
などと話ながら、ちょっと嬉しそうに笑みをこぼしつつ、さっさと赤提灯の暖簾をくぐるガリガリとオレであった。
とりあえず、生。それから枝豆と餃子とモツ煮をくださいな。
カンパーイ
しかし隊長はさぁ、なんなのかね。秋田まで行くって日に。
あの人はルーズだからなぁ。
などと話ながら、カウンターの向こう側の二人組娘に気を取られつつ、よく冷えたビールを喉にながしこむガリガリとオレであった。
すると、携帯が。
「オザキです。どーも。着いたよ、オメーらどこにいるんだよ!」
「はぁ〜? もう着いたんすか?」
「いいから早くこいよ!」
割り勘で1100円ずつ払い、バタバタと店をでると、駅前に隊長号のデリカが。
「オメーらなにやってんだ!」
「だって1時間遅れるって言ったじゃないスかぁ!」
「高桑さん待たしてるのに遅刻するわけないだろ!」
「だって1時間遅れるって言ったじゃないスかぁ!」
「普通、酒のむかっつーの! テメーらなに考えてんだよっ!」
「だって1時間遅れるって言ったじゃないスかぁ!」
「冗談に決まってんじゃねーか! 早く乗れ! 行くぞっ!」
「だって1時間遅れるって言ったじゃないスかぁ!」
「高桑さん、聞いて下さいよ。こいつら、冗談で1時間遅れるって言ったら、酒のんでるんですよ。とんでもないヤツらでしょう?」
「最低だな」
「ちょっと待って下さいよ。隊長が1時間遅れるなんて冗談言うからいけないんスよ!」
「最低だな」
「でもさぁ〜、酒は呑まねーだろ? 普通わぁ!」
「へんな嘘つくのがいけないんでしょーがぁ!」
「・・・あのさぁ、風邪ひいてて頭痛いんだよね。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
キラキラと輝くせせらぎにスネまで浸かりながら、マル秘アイテムで川底を覗き込む。
カジカという魚は、保護色で身を守る魚なのである。だから、眼を凝らしても、なかなか見つからない。
うーむ・・・
苔むす砂利をセンチきざみで凝視していく。
む!
水草にくっついている葉っぱのようなものは、よ〜く見るとヤゴであった。
うーむ・・・
いない、いない、いない、いない・・・
む!
視線が通り過ぎようとしたその時、見た。
背景に紛れて微動だにしないそのシルエットは、よ〜く見ると紛れもないカジカなのであった。
ぬぅぅ見えるゾ!オレにはカジカが見える!
あんまり書くと問題なので、このへんまで。
「渓流」夏号を楽しみにお待ち下さい。
まあ、こんな感じで楽しかったです。
またいつか、やりたい。
<記 フカマチ>
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