タカマタギ酩酊山行

新潟の銘酒，〆張鶴・純．ペットボトルに移し，ラベルを貼り替える．

平成13年3月 10日〜 11日

☆

硬派者：隊長、さる奴隷候補

1/25000 地形図：「」

３月１０日

早朝，携帯電話が鳴り響く．

誰だ？隊長か？んっ，狩猟班長だ，なんだなんだなんだ？？「おはよう，起きてたかぁ」異様にテンションの高い声であった．今日はもんきーず焚き火番長（現・カヌ沈奴隷候補さる）はオザキ隊長と友好を深めるべく，また入隊試験を兼ねてタカマタギ酩酊山行を行うのであった．同じ日，狩猟班長と炊事班長は乗鞍で山スキーなのである．起きれるかどうか心配しての電話なのか，万が一遅刻して隊長を待たせてしまうと大変怖い目にあってしまうという警告なのか，はたまたただ単に車の中で暇だったのかは分からないが，兎に角起床予定時刻に起きあがることができた．しかしついさっきまでもんきーずマサキ宅にて呑んだくれていたために上体を起こすもそれ以上の行動はできない．暫くして隊長から電話がかかる．「渋滞でまったく動かない．8時までに越後湯沢に着けそうもない．次の新幹線にしてくれる？」といったものだった．ここでまた体を横にしてしまうと本格的に寝入ってしまう．余裕を持って集合時間より早い新幹線に乗るつもりだったのを一本遅らせて越後湯沢に向かった．

季節がら，越後湯沢駅には春休みを迎えた若者達で華やかだった．どれもこれもスノボを抱えている．一方こちらは小汚いデカザックにワカン・ピッケルをくくりつけたいでたちなので奇異な目でみられる．小奴らにはこの硬派っぷりは一生わからんだろう．ふんっと鼻で笑いながらも，早く隊長きてくんねーかなあと少々心細く，飯を食ったり本を読んだり地形図をみたり脱糞したりして適当に時間をつぶす．10時頃「またせたね?」とさわやかに隊長が登場．サングラスが無いから買わなきゃと駅構内の売店でいやらしいオレンジ色のサングラスを買う．ちょうどその時，炊事班長から電話が来る．

「高速でさあ道間違えちゃってさあ．いまさあ，飯田にいるんだよぉ」

なんだなんだなんだ．．．乗鞍に行くはずなのになぜに飯田にいるんだ？？？？？浮かれた二人は分岐を間違えたらしい（乗鞍報告参照のこと）．隊長と「ショーがねーなー」と大笑いしつつ土樽方面へ向かう．
途中のコンビニで飯を買う．ここで隊長はウイスキーの瓶を調べている．「重たいから結構入っていると思って持ってきたけど，ほとんど入っていなかった．酒買わなきゃ・・・」なにぃ．「酒は俺がジャックダニエルを用意するから」と前日にメールが入っていたでは・・・．仕方なく越後中里スキー場真ん前にある酒屋へと向かう．ちょうどこの頃，逍遙渓稜会の長南さん達がスキーの練習をしているはずである．酒屋に長南さんがいたりしてなぁ，という笑える期待をこめて行ったがさすがにそれは無かった．ここで「巻機山」の純米を購入．買い出しも済み土樽駅へと向かう．

　土樽駅には車がかなり停まっていた．荷造りを始めたころ，

「ヘッデンがねえ・・○○がねえ・・」

と荷物をひっかしまわしている．なるほどなるほど，何となく分かってきたぞ．重たい懐中電灯に日本酒は瓶ごとザックに突っ込む隊長．まずは毛渡沢まで道路を歩く．
天気は上々，遠くに稜線も見える．周りは高い雪の壁だ．登山口の積雪は2ｍを超えている．豊富な雪で嬉しくなる．雪上を歩き始めるとズボズボ埋まり，すぐにワカンを着け先へ進む．すでにトレースがついているがそれでも時々膝まで潜り歩きづらい．日頃の不摂生と運動不足で，多量の脂汗をかきながら隊長を追う．なんて歩くのが早いんだ．しかも鼻歌まじりだ．この時すでに両腿はビクッビクッと痙攣し始めていた．「ここをちょっと登ってぐるっと回れば棒立山取り付きだよ」，おお，あと少しか．．．ぐがぁっ，腿が攣った・・・・斜面を登っている途中ついに畏れていた事態になった．だましだまし登りきると隊長が荷を降ろしている．助かった．そこで一本入れることとなった．素直に足が攣ったことを自己申告する．ニヤッと笑っただけで

「にゃはは?よわっちいのお?（阿弥陀南稜報告参照のこと）」と小躍り

されはしなかった．まだ「客人」という立場にあるからだろう．ここでどうやらルートを間違えて毛渡沢沿いにずっと来てしまったことに気づく．棒立山へはもっと下流で山の方へ行かねばならなかったらしい．この辺りでもこの先でも何処でも快適な幕場があるが，やはり当初の予定通り棒立山取り付きへ向かうこととし引き返す．

　棒立山取り付きBCには全く足跡のない雪原（100ｍ×100ｍくらい？）であった．腿まで潜る雪をかき分け，雪原の中央よりやや奥へ行き整地をする．テントを張っている間，隊長はテーブルとイスを作っている．ちょうど昼時，晴れ・無風．遠回りしたので汗もかいた．まずはビールで乾杯だ．予定では空荷で棒立山あたりまで登ってみようということであった．小腹がすいたので，夕飯とは別に用意していた鶏肉を炒める．焼き鳥用のもも肉を前日から塩・胡椒・にんにく・ネギで下味をつけた物である．美味い美味いと食ってくれ，嬉しい．ビールが進む・・・「あー，どうしよう，もうやっちゃおうか」とごきげんな隊長．用意してきた「〆張鶴・純」に手が伸びる．これでもう酩酊は決定だ．いろいろ話しながら酒は進む．しかし段々と曇り空となり風もではじめたのでテントへと移動し2次会の始まりだ．
つまみを食いつつ呑み続ける．夕飯は新潟の地魚を使った鍋である．前日にアイナメの出汁を取り凍らせてきた物にカスベの身を投入．ホントはスズキで濃厚な出汁を取り冷やしてゼラチン状態にしたかったのだが，手に入らなかったのだ．いわゆる魚版「ペミカン」である．既に酒は2本目の「巻機山・純米」になっている．「硬派とは」「夢」「南極」「ネパール」などの話は延々と続く．外は雪が降り始めた．隊長は酩酊するとそのままシュラフにも入らず寝てしまうから気をつけてくれという幹部の忠告があったが，しっかり自らシュラフに潜り込んだ．明日は早起きして天気が良かったら棒立山くらいは登ろうと早めの就寝となった．早めといっても昼から酒を呑みすぎていたからではあるが．

３月１１日

　夜中，目が覚める．頭の方がやや重く冷たいと思ったら雪が積もっていた．それほど大したことは無いので内側からバシバシ叩いて雪を落とす．1，2時間毎に目が覚めたのでその度に雪を落としていたが，朝4時頃，猛烈な尿意によりついに外に出ることを決める．しかし寒いのでギリギリまでシュラフにくるまっていた．いよいよ我慢ができなくなり外へ出ようとするが，フライのジッパーが凍り付いていて動かない．やばいっ，中途半端なこの体勢では膀胱が圧迫される．ようやくなんとか外へ出ることができた．新たに積もった雪は40cm程であった．フカフカの新雪なので別段テントは問題ないのだが，整地していないテントの周りが高いためベンチレーターが埋まってしまいそうであった．除雪をしてすっきりした気分で再び惰眠をむさぼっていた．7時頃か？隊長が起きてごそごそしはじめたので起きる．外は津々と雪が降り積もっているはずである．適当に飯を食いのんびり片付ける．朝のおつとめ気分になってきた．昨日作った快適便所は既に雪に埋もれている．それでも折角なのでラッセルしながら便所へ行き一発目を豪快に出す．隊長は昨日のテーブルの上で出したという．しばしして二発目の出番だ．まねをしてテーブルへ向かうと棒立山方面から下ってくる一団が居る．早く通り過ぎてくれ，「実」が出そうだ．．．

　適当にのんびり荷造りをし，帰途へつく．途中腰上までの深雪をラッセルしている「やらせ写真」を撮る．温泉でのんびり湯に浸かり越後湯沢駅近くのどさんこでビールラーメン餃子ライスを隊長にごちそうになり新潟へと帰った．山は登らなかったが，新雪（深雪）の中，隊長とさしで酩酊できたので満足であった．

＜記　さる奴隷候補＞

実際は・・・我々は酩酊していたので朝が遅く既に綺麗なトレースがついていたのだった

ラッセルが様になっている隊長

ラッセル断念（観念）のさる番長

真っ昼間から酒をあおる