南会津春山合宿(会津駒ケ岳から中門岳、御神楽沢、三岩岳)平成12年5月2日〜6日(泊日) ★★★★ 硬派者:隊長、炊事班長 1/25000 地形図:「会津駒ケ岳」「桧枝岐」「内川」「高幽山」 |
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麓ではもう春を越えて夏になろうとしているのに。 炊事班長 ヨコサワ 今年は雪が多い年で、何十年ぶりかの降雪量だったそうだ。5月の連休は残雪の春山を楽しむにはこれしかないという時期にぶつかっていてなんだか嬉しくなる。南会津は豪雪地帯で雪もこの時期たっぷりと残っていて、夏には藪になる稜線も、自分の思い描いたルートで自由に歩くことができる。今回の山行はそんな魅力溢れる南会津の山に触れてみることになったのだ。 浦和浪漫の南会津の山行報告はとても勉強になる。それをお手本にルートを決めた。会津駒ケ岳から中門岳そしてそこから伸びる稜線をつなぐ、そして御神楽沢への下降、通過そしてミチギノ沢から三岩岳へ登り、ファンスキーなどで遊ぶ計画としたのである。オザキは高桑さんに感化され「美しいルート」の取り方にずいぶんとこだわっていた。なるほど山は点で登ることはあまり「美しい」とは思えなくなってくるから不思議である。点と点をつなぎ始めてその稜線、山域の特徴がつかめてくる。「美しい」とはこういったことをふくめもっと崇高なのだろう。 5月2日、いつものようにオザキの家に向かう。今日は昼間に4日分の食料の買出しに出かけ、可能な限り野菜などをカットした。そしてジプロックに小分けに詰めておいた。おいしいものを食べたい、ジフィーズはできる限り食べたくない。そう思ったら少しくらいの労力は惜しんではいけない。21時前に到着した。早々と用意を済ませ、デリカ君に荷物を搭載する。22時川越を出発する。加須のインターまで下道を走る。途中牛丼を食する。東北道を北上し宇都宮の手前で少し渋滞。そうか3日からGWだもんな。こんな夜中でも混むのか・・・。日光道に入り今市で下りる。あとは121号を北上する。雨だ、またかよなんて思っているうちにバケツをひっくり返したような大雨に。途中の会津田島の「道の駅」で仮眠することにする。サワーを呑んでしばし就寝。 翌朝、7時位に起き一路、桧枝岐へと車をとばす。8時、桧枝岐の会津駒ケ岳登山口に到着、準備を始める。駐車スペースの先の登山道から雪が残っている。9時15分出発、天気はあまりよくない、昨夜の大雨で雪も重くなかなかスピードが上がらない。だいたい1時間ごとに1本とる。高度が上がっていく。登山道がしっかりしているせいか、特に迷うようなところもなく1800M位まで上がる。最後の1900M付近からはかなり視界が利かなく、風もでてくる。途中、時間と天候から、今日はどこまで行けるかとルート確認。中門の先まで行ける時間ではなく、その辺でテントを張ろうと決めてまた進む。遅れ気味になりオザキが見えない。しかし雪の上にポールがしっかり立っているので道を間違える不安はないが、行けども行けどもガスの中をひたすら一人歩く。「ばかオザキめ、何で休まねえんだ!」と独り言をぶつぶつ言いながら歩いていると、ひょっこり駒の小屋の上に出る。オザキから遅れること15分、14時20分に到着。ガスもひどく、この先のルートは誰も入っていないので状況がよく分からない。早々と小屋泊まりを提案した。小屋のご主人も人柄がよく、気持ちよく泊まる。今日の晩御飯は豚の味噌漬とモヤシ玉葱炒めガーリック風味。飯も炊き具合よく非常にうまい飯だった。今回の山行の酒は日本酒2L、ウイスキー0.5L。ビールは小屋調達。日本酒はオレとオザキには燃費が悪い。次からはウイスキーの比率を高くしないとダメなようだ。 朝6時、すばらしく・・・天気が悪い。昨日よりガスがひどい。駒の小屋にいるのに昨日から一度も頂きを見ていない。どうすんだ。朝飯をすうと食べる。作戦会議を一応してみる。中門からの沢への下降は早々と諦めた。ここからのルートとしては三岩岳への稜線である。行程は短くなってしまうが・・・。9時、行けるとこまで行き戻れなくなったらビバーク。戻れたら小屋に戻ろう。会津駒のピークまでは20分。中門方向、三岩方向どちらも全く見えない。地形図とコンパス駆使しながら三岩方面へ突入する。左に樹林をたどる。あまり右に行くと広い尾根というももの、どこで雪が切れるか分からない。とにかく広い尾根なので迷い尾根には入れない。ルートファインディングが非常にいやらしい。10時30分を超えた、2098のピークを超えて大戸沢岳への向かう付近。大戸沢岳から先の北東から北への尾根が間違えたら・・・、ここからなら自分達のつけた赤布を頼りに小屋まで引き返せる・・・、なんといってもこんなガスで寒い中このまま突っ込むよりは暖かい小屋に・・・。オザキは少しでも進み途中ビバークを提案したがオレは戻ることを提案した。10時50分中退。来たルートをそのまま引き返す。11時40分駒の小屋に戻る。オザキの言うように日程的にも余裕があるし、天候も回復する予定だったのでもう少し行くべきではなかったか。しかし、天候に対しても絶対の自信がなく、当初のルートは既に変更しているのに、この天候の中これ以上行く必要があるのか。小屋に戻り間違った判断はしていないと思っていたが、何となく焦燥感ではないが自分の山に対する姿勢が問われているような気がしていた。その日は、かなり経験のある女性の単独の方とご一緒になり、酒を飲みながら山の話を(オザキとその女性が浦和浪漫と故池田さんの話で・・・圧倒されてしまった)消灯時間も忘れて話していた。 夜が明ける5時。素晴らしい快晴だ。雪にどっしりと覆われた駒の頂きも朝日に映し出される。冬の寒さとはまた違った、少し優しい山の頂きを見上げる。7時に小屋の主人にお礼を言い、「今日は帰ってきませんよ」と少し恥ずかしく挨拶をして出発する。駒の頂きから見る、中門岳、そこから派生する尾根そして南会津の山と渓には、遠くどこか懐かしい幻の郷をみる思いがした。 そしてこれから向かうは三岩岳への稜線。昨日なんにも見えずどこを歩いているのか定かではない尾根が、すうっと緩やかなカーブを描き伸びている。遠くは窓明、坪入、丸山そして会津朝日岳への稜線だ。いつかは歩いてみたい気がした。昨日の女性も僕らが行くのならと、稜線歩きに同行することとなる。しかし、自分達のペースは乱さず、あまり干渉せず・・・。昨日のルートファインディングは、ほぼ合っていたことを確認し自信とする。途中最低鞍部1918の手前で大きなダケ樺の下で休憩する。熊打ちになった気分が少し味わえた。ここからはまた登り返しが始まる、と同時に右に雪尻が張り出し所々切れていることを確認した。2057のピーク、オザキが上のほうから左に寄れと手を振っている。何かと思えばパッカリとクレパスがあった。その先も雪尻が大きいのでかなり樹林帯に寄ったルートをとる。三岩岳の手前の張り出しには圧倒されるものがあった。行程中の稜線はほとんど雪が締まっていて歩きやすかった。少し樹林帯に入ると木の出ている近くで雪の中へ落ちて出るのに一苦労である。三岩岳山頂でファンスキーを履いて滑ってみる。短いのと、ストックない、ザックの重さに身体が振られるのとで、なかなかバランスをとるのが難しい。しかしかなり面白い。窓明への分岐に避難小屋があるらしいが、雪に覆われ上からは確認できない。と思っていたら足元に屋根らしきものを発見。避難小屋だった。 11時30分。窓のようなところから中を覗く。どうもこの窓は二階の換気窓のようだ。ねぐらに入る小動物のように中に入り偵察。薪ストーブがあり「焚き火だ」とほくそ笑み、この小屋に泊まる事にする。単独の女性も焚き火につられここで一泊することにする。中に入り休憩する。ちょうどお昼時でその方に、キムチラーメンを2袋戴いてしまった。うまかった。今巷では、いろんなラーメンがあるらしく、きっと色々なものを持ってくれば3〜4日なら飽きずに食べられるのだろう。休憩の後、オレとオザキはファンスキーを楽しむため、三岩岳に登り返す。ご一緒した方は窓明へピストンしにいった。三岩岳からの広い斜面はもうスキーには最高のゲレンデこれも今年の雪の多さが幸いしているのだろう。オザキは12〜3年ぶりのスキーらしく始めはバランスが取れていなかったが、そこはオレのスキーの師匠で、直ぐに上手く滑っていた。これは気持ちいいのでお勧めである。その後、避難小屋の焚き火の準備をするが、奮闘虚しく換気がどうしても上手くいかずに、諦めることとなってしまった。同行者の方も非常に残念がっていた。やはり避難小屋の夜は寒い。夕食は鳥の照り焼き、ほうれん草玉葱炒め、舞茸ご飯。最終日まで一応豪勢である。酒はウイスキーが0.5L少し足りないがゆっくりと山の話を肴に夜はふけていく。 次の日の朝、同行の方は9時のバスに間に合わせるため、6時30分に下山した。我々も食事をして撤収、小屋に荷物をデポし、もう一度、三岩に登りスキーを楽しむ。かなりスキーにも慣れた。9時00分下山。行けるところまでスキーで下る。途中少々間違えて支尾根に下りてしまい、黒檜沢の支流に下りる。沢伝いに調子に乗って下りていくと、いきなり雪が切れているところがあり、沢の上にいることを実感し、尾根に上がることにする。そのトラバースも何ともないように見えるが、少し落ちたりして少々緊張。尾根に上がると登山道にでて一気に下ってくる。雪がなくなるとプラブーツはかなり歩きずらい。桧枝岐に戻る11時30分のバスに少し間に合わずに下山。次のバスまで、温泉センターで下山の一杯をする。山行終了後のビールは格別にうまい。桧枝岐にバスで戻り車をピックアップし、駒の湯につかり疲れをとった。帰る途中、大桃温泉の民宿「りす」で郡山山岳会の南会津の山行報告を購入した。なかなか情報量の豊富な本である。帰りの東北道は全く渋滞知らずで、すいすい川越に戻った。 会津駒ケ岳から三岩岳への稜線から見る南会津の山塊は、今までの山とは違った素晴らしいものだった。
残雪の南会津山行報告 隊長 オザキ
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会津駒への急登にあえぐ横澤 ホワイトアウトの山頂にて 吹雪の中。地形図とコンパスが頼り 2日間続いた吹雪のあとの日の出 快晴の山頂にて 中門岳に続く魅力的な稜線をバックに ダケカンバの巨木の下で一休み 三つ岩岳へ。雪の上には自分達の足跡だけ こういう山旅をしたかったのだ 思わず大の字になってしまう気持ち良さ 発達した巨大な雪庇 三つ岩岳避難小屋。2階の小窓が積雪時の入り口 13年ぶりのスキーにはしゃぐ隊長。三つ岩岳山頂にて 周りに人はいない。広いゲレンデを独り占。 久々のスキーに緊張する隊長。止まっているわけではない 調子に乗って”飛ぶ”横澤 空荷なら そこそこなのさ 一応ね 南会津の山々は奥深く・・・
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コースタイム
5月2日夜発
5月3日会津駒ケ岳登山口9時15分発-駒の小屋14時05分着小屋泊
5月4日小屋9時-会津駒ピーク9時20分、三岩方面2098ピーク10時30分-分大戸沢岳へ向かう付近10時50分中退-駒の小屋11時40分
5月5日小屋7時発-会津駒ピーク7時20分-途中最低鞍部1918-2057ピーク-三岩岳山頂10時30分-避難小屋11時30分
5月6日小屋-三岩岳スキー9時00分小屋-黒檜沢-小豆温泉11時35分