奥秩父春の味覚満載合宿
平成12年2月5日〜6日 ★ 硬派者:隊長、炊事班長 狩猟班長 |
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思えば、カヌ沈隊も随分と成長したものだ。以前は合宿前日、雨など降ろうものなら、俺の家に電話が殺到したものだった。「どうする?」と、慌てる者や、「いくのかよ?」と殺気だつ者がいた。中には、急に、おじいちゃんが死んでしまう奴隷もいた。 ところが。今は、「雨?それが?なんか問題でもあるわけ?」てな感じで横沢もやすさんもまったく動じない。「明日は7時に行くから」と留守電に入ってるだけで、どうする?の”ど”の字もでない。まったく、逞しい限りだ。そして当日。やはり、雨。俺は、正直憂鬱だった。が、奴らは、「ったく、雨かよ。寒そうだな」と言いつつ、顔はニヤニヤしている。
三峰神社への道を途中で右折。林道に入る。雪がまた一段と強くなった。一面真っ白。これじゃあ山菜もクソもない。とりあえず、里に下り、食糧を確保することにする。途中、林道脇でヤブカンゾウを発見。ガキのようにはしゃぐ。素手でイラクサを掴み、チクリとやられるも、それがまた楽しい。 ほくほくの笑顔で再び山に向かう。地図で目星をつけた、大洞川と荒沢谷の合流地点が今回の野営地。予想どうり山深い。2000メートルを越す、雲取山、和名倉山、飛竜山に囲まれた水量の多い深い谷だ。ブルーシートを車のキャリアと木に結び付け、屋根を作る。その下で早速、酒盛りを始める。
横沢が天ぷらを揚げる。すかさず食らう。油が切れないうちに手を伸ばした為、口が脂ぎる。油が少ないのと気温が低いことも影響しているようだ。少々のコツが必要らしい。舞茸は少し小さくちぎって、ひとつずつ揚げた、サックリとして香りもいい。絶品だ。
感動的な美味さ。やすが思わず吼える。ヤブカンゾウはクセがない。が、天ぷら粉がうまくのらず、衣が剥がれてしまう。酢味噌で食いたいところだ。蕗の董はカリッと揚れば、春の味がして美味い。ただし、十分に油をきる必要がある。タンポポが予想以上にうまかった。決して苦くは無いし、思ったよりクセがない。
口がギトギトになり、横沢が汁物として、舞茸肉うどん・こくや風を作ってくれた。誰も無駄口を聞かないほどの美味さ。思い出しただけで、よだれがでる。 冷え込みが厳しくなり、冷酒が燗になり、やがてテントに潜り込んでの酒となる。船を漕ぎながらも、くだらない話に花が咲く。小便ネタで盛りあがる。一度、寝袋に入ったら朝まで出たくないのが人というもの。とはいえ、大量に摂取したアルコールはすぐに、膀胱を刺激する。哀しいジレンマだ。この現実的緊急課題に対する画期的な解決策を議論する。 「やはり、”おむつ” しかあるまい」
こうして、季節外れの雪に幽閉された男達の夜は更けていくのであった。
平成11年3月22日 隊長記 |
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