懸垂下降、クライミング訓練

日和田山、サンセットロック

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平成11年5月30日

硬派者:隊長、炊事班長、狩猟班長、ナカハラ

 

6月19日20日実施予定の”奥多摩・小室川谷〜大菩薩嶺 水泳登山”へ向けて初参加の”中原早奴隷候補”を連れ、日和田山にて懸垂下降訓練とサンセットロックにてフリークライミング訓練を行った

ケケケケ!ついに待ちに待った懸垂下降訓練なのだ!この日を何度待ちわびたことか!今まで隊長はフリークライミングなるものを習得する為に炊事班長とともにワタクシ狩猟班長をことごとく仲間はずれにし、「オザキく〜ん!僕もクライミング連れてってよぉ〜(涙)」と何度床に頭を擦り付けてお願いしても「いやぁ 駄目なんだよネぇ クライミングはネぇ二人一組なんだよネぇ ビレーって言ってネぇ なんたらかんたら」などとノラリクラリとことごとくかわしつつ「クライミングは楽しいヨぉ♪」といつもホザいてやがったのだ!うう・・・。思い起こせば長かったなぁ・・・。でももう少しの珍棒・・・いや 辛抱なのだ!クソ見てやがれ!くくくくくっ・・・。


<早起き奴隷候補 ナカハラ報告>

5月29日 前夜

懸垂下降。今回これをやるまで懸垂下降という言葉すら知らなかった。その私がいきなり懸垂下降をやることになったのだ。それも、一度も顔を合わせたことのない謎の集団「カヌ沈隊」と。不思議な巡り合わせと言えば不思議この上ないのだが、ある意味必然であったのかもしれない。すべてはやすさんこと狩猟班長との出会いから始まったのだが、もしかすると狩猟班長の仕掛けた巧妙な罠にはまってしまったのかもしれない。

作戦は土曜から始まった。
全くアウトドアな生活とは無縁であった私は、明日の懸垂下降訓練に向けてどうしても準備しなければならない物があった。だが、仕事に追われる私は、当然その日も朝から仕事をこなしていた。だがふと気付くと、いつもより心なしか時計に目をやる回数が多い。そう、昼になるのが待ち遠しいのである。この感覚、久しぶりかもしれない。
待ちに待った昼。いつものように昼食に出かけるふりをしつつ電車に乗り込んだ私は、そのまま池袋まで向かい、炊事班長に教えてもらった店に乗り込む。今思えば、この店にも罠が仕掛けられていた。店でいろいろと話を聞くうちに、久しく忘れていた少年の頃のあのドキドキ感を思い出してしまったのだ。結局買わなくて良い物まで買ってしまったのだが、後悔はなかった。そのまま何食わぬ顔で会社に戻り、夜の集合予定時間までに作業を終わらせた・・と言いたいところだが終わらなかった。仕事は後で何とでもなると自分に言い聞かせ、バイクで隊長宅に向かう。隊長宅に着いたのは11時。もう既に全員集まって酒盛りでもしてると思いきや、居たのは隊長一人。ネットでも2〜3度しか言葉を交わしてない隊長、しかもタッパがあり、硬派集団の隊長と呼ばれる男だ。やすさんと炊事班長の来るまでの3時間、隊長と二人で話したり、紐の結び方を教わったりした。
狩猟班長の仕掛けた罠は巧妙であった。この3時間という間に隊長に見せてもらった写真、道具、本などで、私は山に魅せられてしまったのである。特に平山ユージのフリークライミングの写真は素晴らしかった。結局2時頃やすさん、炊事班長が到着し、カヌ沈隊主要メンバーと顔を合わせる。さすがに皆屈強そうである。やすさんは私に貸してくれるウェットを持ってきてくれたのだが、私の上半身虚弱下半身デブの体型ではちょっと合わないようであった。残念。
そして酒を飲みつつ土曜の夜は深けていく・・。


5月30日 懸垂下降

日曜。朝は炊事班長の「起きろ!」の一言で目覚めた。
やすさんは起きる気配がない。隊長は隊長で「やすが起きたら起きる!」と言い、なかなか起きそうにない。しばらく2人が牽制しあうのを観察する(といってもやすさんは寝てるだけであるが)。やがてやすさんが目覚め、それとともに皆動き出す。出発である。
懸垂下降訓練は日和田山にて行われる。ヒマラヤニストが練習をした場所として有名なクライミングスポットであるらしい。今日は天気も良く、隊長は人が多いのではないかと懸念している。車で山に向かう途中の牛丼屋で朝飯を食べる。隣に吉野家が出来たら間違いなく潰れるような味の店であったが、とにかく腹は膨れる。また出発、途中コンビニで昼飯の買出しをし、日和田山に到着する。隊長の懸念通り人が多い。しかも皆きちんとした装備をしている。カヌ沈隊は軽装であった。隊長は「こんな格好じゃ怒られるかも知れないなぁ」などと言っている。心配だ。私はジーパンにTシャツであったが、炊事班長から借りた変な緑の短パンにはきかえる。山を歩いて岩場に近づくにつれ、人のざわめきが聞こえる。かなりの人出のようだ。そして岩場に到着。やはり人が多い。既にロープが何本も岩場に垂らされ、多くの人が岩に取り付いている。とりあえず、裏から岩の上に登る。岩の上は見晴らしが良く、素晴らしい自然の風景を堪能できる。やはり山は気持ち良い。初めての岩場、初めての道具、そして初めての経験である懸垂下降の練習を開始した。岩の上からロープを垂らしそれを使って降りていく。手順は昨日隊長に教わっていた。やってみると、そんなに難しくなく自信がつく。皆の口からいろいろな専門用語が飛び出す。道具の名前、紐の結び方登り方等である。それらを少しずつ理解できるようになっていく自分が嬉しい。一通り懸垂下降の練習を終了したところで、フリークライミングを少しやってみることになる。
この頃からやすさんの様子がおかしい。
隊長とやすさんは常に牽制しあっている。実は今回、隊長に対しての隠し球がやすさんにはあるのだ。隊長はやすさんがクライミングの経験を積んでいないし、道具も持っていないと思っている。ところがやすさんは密かにクライミングの道具を揃え、クライミングジムに出入りしていたのだ。何も知らない隊長は、まさに初心者をサポートするような雰囲気を醸し出している。そのときやすさんが、隊長の前で何気なく道具を身につける。唖然とする隊長。私と炊事班長は既に知っていたので、そのやり取りが可笑しい。
その場でのクライミングは皆難なくこなした。でもまだ時間がある。他のグループが派手に食事を始める。旨そうである。私たちはコンビニ弁当。今回旨いと評判の炊事班長の料理が食えないのは残念である。だが次回がある。楽しみである。

<早起き奴隷候補 ナカハラ報告2>

隊長の提案で、別の場所に移動することにする。サンセットロックである。
車で2〜30分ほどで到着。家族連れが楽しむ川にその岩はあった。全体的にくの字になっている岩面は、途中から軽く覆い被さるような斜面になっている。フリークライミング未経験の私にはその斜面が緊張を誘う。ところがその緊張を緩ませる者がいた。柴犬である。ガサガサと音をたてると餌をくれるんじゃないかと近寄ってくるその犬は、かわいく、その場を和ませるには十分な存在であった。

そして隊長が岩を登り始めた。中ほどにある瘤のような岩の出っ張りもクリアする。だがそこから先が難しい。結局は途中で断念、トップロープに切り替える。私は腕の力に自信がないので、ひとつだけ作戦を練った。長く岩に張り付いていると腕力を消耗しもたない。スピードで勝負だ。自分の番になると一気に登りだした。真中の瘤を越えそして更に上に飛びついた。だがもう掴める岩がない!そのまま固まってしまい、腕が一気に限界に達してしまう。ロープにぶら下がる。何度か持ち直そうと挑戦するが全く駄目。この時点で早くも今日の挑戦は終了した。その後も場所を変えて登ろうとしたが、腕が全く言うことを聞いてくれないのだ。悔しい。ここ一ヶ月続けた腕立て腹筋をやっていなかったら最初の瘤さえも越えることが出来なかっただろう。
このとき自分の軟弱さにやるせない思いを抱きつつ、必ずいつかこの岩を征服することを誓う。

その後は川で遊び、炊事班長のカヌ沈隊らしいところを見せてもらった。さすがだ。

帰りはジャンボ餃子の店で飯を食い、隊長宅にて解散である。自宅まで信号の度にバイクのクラッチを握るのに命がけであったことは言うまでもない。昨日やり残した仕事はもうどうでも良くなっていた。早く眠りたい。帰り着くと、お世話になった隊長に無事着いたことを報告する。そしてそのままダウン。

今まで山岳系のスポーツをやったことのない自分にとって、次回の渓流登山の為の準備としての懸垂下降訓練というものがこんなに楽しいとは思ってもみなかった。そう、まさに未知の世界への踏み出す前の緊張感と期待感が渾然一体となった興奮を感じることが出来たのである。カヌ沈隊、最高である。

私は隊長とやすさんの牽制合戦に参加する為にクライミングジムへの入門を決意した。


<狩猟班長手記>

日和田山のクライミングエリア 休日はアルパイン系からフリークライマーまで訓練の為に集結し大賑わいである


今回のカヌ沈隊は6月の水泳登山での必須科目でもある”懸垂下降”訓練の為に真夏とも思える梅雨前の快晴の中、埼玉県日高市高麗本郷にある日和田山に乗り込んだ。海抜は305m低山。日高市の「日」は、この日和田山の名前からとったといわれている

今回実施されたいきさつはカヌ沈隊初参加である東スポエリアに出没している”NG”君改め

”奴隷候補中原”が号泣しながら6月の水泳登山への参加を志願してきた為、事故確率の最も高い”懸垂下降”中の事故を防ぐ為に訓練を開催したのである。
例によって前夜に隊長宅に集合し、またまた例によって明け方まで泥酔会議及び奴隷歓迎会を開催し翌朝の9時に日和田山へ向けて出発したのであった。


他人の庭山に入るような登山道を数分登ると突然遠くから

「ビレー解除ぉ!」という声がコダマし始めると突然目の前が開け巨大な岩山が森のなかから現れる。ここが”超メジャー登山家訓練ゲレンデ”日和田山”なのだ。訪れる人達はほとんどアルパイン系であるが、数人 フリークライマーらしき奴らもいる。さっそく空いてるルートを探しザイル(ロープ)を下ろす。懸垂下降自体は久々なので少々緊張するかと思ったが、何しろオレの頭の中には一つの陰謀が渦巻いていたのだ。題して!

”フリークライミング極秘訓練により隊長オザキをビックリさせる作戦の巻ハックション”

だ!くくくく 隊長のアホ面が今から目に浮かぶぜ!なにしろ今日の為にオレはひそかにクライミングジムに一人でしこしこ通い血のにじみ出るような特訓をしてきたのだ!・・・1週間だけであるが・・・。まあ クライミング歴2年の隊長には負けるものの、イキナリクライミングシューズを出して登り始めたらあせるはずである。ううむ 焦るだけでいいのか?うぐぐ まあ 少々焦るだけでいいだろう。今回はこれぐらいで勘弁なのだ。ともかく

タイミングが大切なのだ!

一通り懸垂下降を各自行ったのち、いよいよ隊長が「そんじゃ ちょっくら登ってみっか?」と言い出した。

きたーっ!!!!そう思ったらもう頭んなかは真っ白
隊長「でもクライミングシューズがないとつらいなぁ」
オレ「そっかぁ やっぱオレも買うかなァ」
隊長「そんじゃ 次やすさん登ってみるぅ?」
オレ「じゃ ちっと クライミングシューズ買ってくらぁ」
隊長「笑?」
バックをあさりシューズを取り出すオレ
隊長「?・・・??&▽〒♂⇔∪♀%£∨†√!!!!!」

もうあのときのマメ鉄砲を食らったような顔を見られただけで今回は満足なのだ

ケケケケ


<隊長手記>

日和田山は、かつて谷川岳や北アルプスを目指す、クライマー達が通いつめたゲレンデだ。
アルパインクライマーはもちろんのこと、フリークライマーでも、あの赤茶けたつるっとした岩に触れたことのある者は、少なくないだろう。
あの世界の平山ユージも始めての岩場は日和田山だったらしい。
それだけ有名な岩場なので、休日ともなると垂らされるロープの数は圧巻。講習会も多く、クライマーの数は100人を超える。
予想していたとはいえ、うんざりする。岩場は他にもあるのだが、クライミングシューズを持っていなければ、日和田以外の選択肢はない。とりあえず、予定していた女岩の南面にロープを垂らし、懸垂下降をする。

一度でも経験しておけば、いざと言う時でも、慌てたり、必要以上に怖がることもない。沢に入って、懸垂下降を強いられた時、”

パニック”ることが、一番”やばい”のだ。また、逆に”慣れ”というものも怖い。だから、ベルトの折り返しや、セルフビレイの確認は仲間同士で必ず確認し合う。さらに、右手でも左手でも懸垂下降ができるように練習した。片手を負傷したりすることは充分考えられるからだ。
とはいえ、一日中懸垂下降をやってるわけにも行かない。昨夜の酒も抜けてきたところだし・・・(例によって、4時頃まで酩酊の宴)。まあ、ここなら運動靴でもなんとかなるだろうし、「軽く、登ってみっか」と言ったところ「やろう、やろう!」と、張りきるやすさんとNGことナカハラ。「じゃあ、俺、シューズ買ってくるわ」と、やす。「はいはい」と軽くながす。内心では「行ってみろつーの、ボケ」と思ったが、口に出すのも阿呆らしい。

が、しかーーーーーーーし!!!
なんと、奴の右手にはボリエールのクライミングシューズ。訳が解らなかった。

「へっ?」と

アホずらになるしかなかった。横澤とNGは大爆笑。知らなかったのは、俺ひとりなり。聞けば、こっそりと錦糸町のクライミングジム「Tウォール」に通っていたのだ。それだけではない。横澤と一緒に赤羽の「パンプ」にも行っていたと言う。唯々、俺の唖然とする顔を見るために・・・。そういえばハーネスもシットハーネスじゃない。迂闊だった。
そうだった。そういう奴なのだ。

「姑息」と書いて、「やす」

と読む。東スポの諸君、気をつけ給え。エロ事師といい、狸オヤジやすといい、カヌ沈隊は魑魅魍魎、烏合の衆が跋扈する地下組織だ。おっと、酩酊日記ではなかった。
まったく、そういうことは早く言えつーの、ボケェ!そういうことなら話は変わる。

<隊長 報告2>

なにもこんなに混み合う岩場にいる理由がない。やすもNGもけっこう登る。この地域は俺の庭。すかさず山を降り、久須美のサンセットロックへ移る。日和田山より数段
ハードなフリーの岩場。全面的にハングしている。
久しくクライミングはしていないが、一番やさしいルートならリードでも楽勝だろ
う、と攀じるが、安定した姿勢でクリップできず、試行錯誤しているうちにパンプ。
屈辱の敗退。過去、1度たりとも、このルートで敗退したことが無かっただけに、へこむ。一方、やすとNGは始めての岩場とは思えない程ガンガン行く。驚きだ。なんと、やすはトップロープとはいえ、遂に登りきったのだ。う〜む、末恐ろしい。


 

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炊事班長の丁寧なレクチャーを受ける奴隷候補

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懸垂下降訓練の復習をするマジメな中原早起奴隷候補

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初参加 中原奴隷候補の初懸垂下降

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自称”川の王様”の川遊び実地訓練 

特別講師 川の王様 カヌ沈隊炊事班長 ヨコザワ


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横澤はクライミングより水遊びがしたいらしく、気持ちが川に行っている。ロープを回収するやいなや、速攻、パンツ一丁になり、ご機嫌ダイブ。またまた横澤ファンを魅了すること間違いないだろう。

硬派夜営集団カヌ沈隊

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