はじめての山歩き 蝶ヶ岳 |
ガイドブックで調べてみると |
アイゼン無しの白馬岳登山 |
写真と車とオーディオの好きな友人を白馬岳登山に誘い、一九七九年六月二十四日夜遅く出発し、夜明け頃には猿倉登山口に着き準備もそこそこに 歩きだして、白馬尻小屋で軽アイゼンを借りるつもりでしたが 早朝のため戸が閉じていたので、アイゼン無しでも まあなんとかなるだろうと軽い気持ちで 標高差六百メートル長さ二キロの日本最大の大雪渓に踏み入れました。 雪渓歩きは汗ばんだ肌にひんやりした雪面を渡る風が心地よく、 雲間から射し込む陽を受け、スプーンカット状雪面をキックステップで勢いよく蹴り込み足場を確保しながら一歩一歩登っていました。 標高が上がるにつれガスで、見通しが悪くなりやがて小雨になりました。 ときおり落石の転がり落ちる鈍い音がするので、これを避けるためできるだけ雪渓の中央部を進みました。 大雪渓上部の小雪渓付近は更に勾配が急になり、雪面が氷化していて 雨具を着て滑ると止まらなくなると思い、雨具を脱ぎ慎重に小雪渓を横断 しました。 小雪渓を渡り終えると岩場の急登になり、この先はなだらかな斜面が広がり、霧の中からうっすらと白馬山荘が見えてきました。 この小屋は収容人数八百人ですが、この日の宿泊者はぼくと友人、単独登山者の三人でした。ベテランの八本爪のアイゼンを付けていた単独行の人が言うには 「この時期アイゼン無しでは危ないですよ」云われて深い考えなしに勢いで登ったことに気付かされました。 翌日は朝からガスがかかり眺望は望めませんでしたが、足跡だけは残しておこうと白馬岳山頂に向かいました。 快晴ならば黒部の谷を挟んで立山、剣を見ることができるのにと思いながら 新田次郎「強力伝」に出てくる風景指示盤一八七キロ(五十貫)にさわり こんな重いものをよく担ぎ上げたものだと驚きました。 雪渓の下りは寒さで左膝がしびれ痛みを堪えての下山となりました。 白馬岳登山歩行距離十四キロ 費用は一万六千円 |