21世紀のアナログへPart2


2003.10.13
2003年に入ってフォノイコの進化が急激にスローペ−スになった。
10トランス仕様のVer.2.5があまりにも良い為、急ぐ必要が無かっのだ。

年始に実験済みのバランス受け仕様がVer.4の予定だが、(幻のVer.3は?)
SP-10mk3の不調、ZYX針折り(2本飛ばした!)等が重なり足踏みが続いている。


開発資金確保と整理も含めVer.2を売りに出した。8月の事である。

あれから2ヶ月。
購入者の方をエラク待たせてしまったが、
ようやく完成。


製作工程
もともとバラック状態を、ケースにおさめてからの引渡し
仕様は購入者の希望でヘッドアンプ付きとなった



電源部

4トランス仕様なのでケースサイズはVer.1.5の倍
強度確保が課題



電源供給ケーブルも4本



脚はタオックのスピーカー用



基盤も倍なのでレイアウトには工夫が必要



で、こうなった
コンデンサは63V/15,000uF×8で
120,000uF



ほぼ完成したアンプ部
アースポイント実験中



音出し成功
一番初期の実験基盤で組み上げたのだが
クォリティはメーカー製を大きく引き離す
これ以上いらないかもしれない
総重量は40kgを超しているだろう
ネジはいくつ使ったかわからない
シンプルさが活きて、10トランス仕様より
優れた面もある


11月
3ヶ月後 オーナーの元へ




日本の自衛隊

アナログ復刻作業

2003.11.15
JVCマスタリングセンターにて


先ずは45rpm盤用の演習のテープを確認

SUGIMOTO ROOMのTR
STUDER A-80のマスタリング専用機
当然の事ながら録音機能が省略されたタイプ
通常のハウジング部分にマスタリング専用機能が付加されている
こちらで
今夏収録した演習のマザーテープに
リーダーを挿入したり、不要部分(録音スタート時のショックノイズ等)にハサミをいれる
オリジナルマザーからのカッティングだ


こちらがカッティングルームの
NEUMANN カッターレース
SX-74ヘッド
実物を見るのは初めて


ラッカー盤
金属のベース板にラッカーが鏡面状に塗布?されたもの
こいつに溝を削っていく




カッティング用コンソール
レベルやEQ等1dB刻みで追い込んでいく




カッテイング中



テストカットされたラッカー盤を試聴 (検聴ではない)
この後数枚のテストを繰り返し
音決めを行った

カートリッジはL1000だがこちらはM85氏が
持ちこんだもの
通常はDENON DL-103でチェック

最終的にはDL-103でトレース可能な範囲で最大レベルを追い込んだ





こちら「日本の自衛隊」

門外不出
正真正銘の「日本の自衛隊」オリジナルマスター
4巻は2枚組みのLPそれぞれの面に相当



キャプション

当時はAMPEXのTRを使用したのかな?
AG-440かATR-100

ハイライトはマルチで重ねた後トラックダウンしたものかな
5550-2で現場収録した膨大な量のテープから
OKテイクを2トラ38にコピーもしくはマルチに録音後
マスターにまとめたものだろう

子供か孫テープになっているはず
トラック間にはリーダーテープ(通称:白身)が挿入されている



カッティングルームのSTUDER
当然マスタリング専用機
止まっているように見えるが再生中

再生ヘッド2個装備
手前のヘッドで信号レベルをチェックして
カッテイングの溝間隔を制御するため
オートでも手動でもOK
今回は手動
エンジニアの杉本氏にはエライ苦労をかけてしまった





カッテイング中
「日本の自衛隊」は古い録音なので
楽勝とおもいきや
なんといきなり小銃でオーバレベル
中域ピーク成分が凄い




こちらはカット後に溝を確認する顕微鏡
下のターンテーブルは、もちろんVictor製
全ての溝をチェックしてOKテイクになる




試聴確認後
音決めOKになる



日本の自衛隊
の試聴


2003年11月末

昭和59年初版
「長岡鉄男のレコード漫談」のp83〜90
”日本の自衛隊”復活を願って
から19年
遂に”復活”




テストプレス盤

1枚目のみだが
間違い無くファーストプレス
ジャケット未完成なので白ジャケ
180gでズシリと重い
オリジナルのレーベル面はオレンジ
復刻は黒か濃いグレー(レコード盤よりは黒くない)

溝部分
リードインはほぼ同じ
内周は
オリジナルはセンタースピンドル外周から
A面71.5mm
B面69mm

復刻盤
A面62mm
B面64mm

但し最後のフェードアウトタイミングは調べていない



Σ5000に自衛隊
世界唯一




カートリッジはART2000で試聴

音は驚く程SNが良い
180g盤の効果か、中低域の厚みも凄い
19cm2トラで収録したものとは思えない


注:勘違いされている方が多いようだが
現場で収録したマザーはソニーのオープンデンスケによる
2トラック19cm(レコードのライナー表記)
それから編集(OKテイクのコピー等)して
レコード用マスター2トラック38cmが製作される

因みに今年ナグラで録音した45rpm盤は
オリジナル2トラック38cmマザーからの
カッティング




以下スペアナ比較
上:オリジナル盤
下:復刻盤



A-2
64式7.62ミリ自動小銃の射撃




A-3
7.62ミリ機関銃M1919A4




B-5
特科部隊の攻撃




B面ラスト
74式戦車


オリジナルの方が30Hz以下がやや高いものもあるが
ピーク成分は復刻が上回る
オリジナル盤はカッティングアンプでリミッターがかかっていたのか?
当時は管球アンプだったそうだ




そして


つづく