目黒のさんま(落語)
ある日、殿様が野駆けに出かけると、目黒の百姓家で焼くサンマのにおいをかいで欲しくなり、百姓に分けてもらった。殿様は「こんなうまい魚は初めてじゃ」と大満足。その後、城で毎日食べる食事がいまひとつおいしくない。ある日、親戚の大名に呼ばれて、「何かお好みの料理は?」と尋ねられ、即座に「サンマ」と注文する。大名の家来は最上のサンマを仕入れたが、あまりに油が多いので、十分に蒸して脂肪をすっかり抜いたうえ、小骨を丁寧に抜いて出した。
殿様:「これはなんじゃ」
家来:「はい、ご注文のサンマでございます」
殿様:「どこで取り寄せた」
家来:「はい、日本橋魚河岸にございます」
殿様:「それはいかん。サンマは目黒にかぎる!」
海に面していない目黒でサンマが取れるはずがないと、殿様の無知を江戸の庶民が笑ってオチとなる。
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