◇PUNK/NEWWAVE/ALTERNATIVE ALBUM PickUp review(PART16〜)◇
update 2005.12.28

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2005.12.28
■PART21: MAXIMUM JOY / STATION M-X-J-Y (1982)

BLOGに書いたとおり先日、都内のUNIONで偶然、MAXIMUM JOY(以下MXJY)のCD、「UNLIMITED(1979-1983) 」を見つけ、即購入した。記憶違いでなければ、これは初CD化のハズだ。収録内容は、12INCH SINGLE数枚から7曲、そして唯一のALBUMから4曲のPick-up。ただ、聴いてみたところ、音圧は若干低めで音質もイマイチ。ジャケット裏面をよく見たら、音源はVINYLとの記載があった(どおりで)。
さて、本作は彼らが1982年にリリースした、その唯一のALBUM。元THE POP GROUP(以下PG)のJOHN WADDINGTONと元GLAXSO BABIEESのメンバーから成るMXJYは、同じく元PGのメンバーが中心となって結成したRIP LIG & THE PANICやPIGBAGに比べると、その活動(とセールス、そして面子)はやや地味だった。だが、jazz-reggaeの要素も取り込んだPunkishなwhite-funkは、PGの遺伝子を持つ者の中で最も「純粋に」楽しめる、良質はSOUNDを創り出していた。何より、当時の前衛的なBANDにしばし見られた「実力以上に虚勢を張った部分」がなく、等身大で音楽をENJOYする姿勢が感じられた。
当方の場合、はっきり言って、RIP LIG & THE PANICとPIGBAGは全く好きになれなかったが、THE POP GROUPのコアな部分を100%の純度で抽出したようなMARK STEWARTのソロと、MXJYはとにかく、よく聴いたものだ(PIGPAGも等身大で自分たちのやりたい音楽をやりたいようにやっていたと思うが、素人パワー全開でやたら元気はいいものの、ホーンが煩く曲も単調だったのですぐ飽きがきた)。
このALBUM、1980年代前半には、中古レコード店でせいぜい1000円程度の値付けだった。ところが、その後、再評価され、NEWYORK辺りのDISCOでガンガンに流されるようになったらしく、そのせいで中古盤が一気に急騰した。数年前、ヤフオクの出品で8000円の値が付いていたのを見たことがある(中古店ではもっと高いのだろう)。
残念ながら当方は、駿河台下の今は懐かしJANISでレンタル&ダビングしたカセットしか持っていない(後で、いつでも安価な中古盤が買えると高をくくっていた)。でも、冒頭で紹介したCDより、このカセットのほうがよっぽど音がいいぜ!

2005.10.29
■PART20: WINSTON TON / THEORETICALY CHINESE (1985)

1970年代末期から1980年代中期にわたりTUXEDOMOONの主要メンバーと して活躍した中国系米国人パフォーマー、WINSTON TONの 1st(only)ALBUM。ほぼ時を同じくしてリリースされたTUXEDOMOONの5thALBUM『HOLY WARS』では、STEVEN BROWNと並びGroupの創設&中核メンバーだったBRAIN REININGERの脱退直後ということもあり、過去の作品群に比べ、彼(TON)の存在が 目立っていたと思う。
さて、本作は、元ASSOCIATESのALAN RANKINをプロデュー サーに迎え、元MAGAZINE・元VISAGEのDAVE FORMULAと元P.I.LのJAH WOBBLEがゲスト 参加という豪華な布陣。これだけのメンバーを揃えた時点で、作品の質はほぼ約束 されたものと言えよう。
SOUNDは前半(旧A面)と後半(旧B面)でかなり印象が異な る。旧A面はTUXEDOMOONでみられる、ややもするとオーバーパフォーマンスと受け取られが ちなVocalは影を潜め、肩の力が抜けた良質なエレポとなっている。一方、旧B面は 彼の出自、すなわちCHINESEであることを多分に意識したオリエンタル色の強いナン バーが続く。どことなくHOWARD DEVOTOのソロALBUM『JERKY VERSIONS OF THE DREAM』(1983年)を想わせる前半はDAVE FORMULA-side、TONの個性をより際 立たせた後半はRANKIN-sideといったところか。
ところで昨年、TUXEDOMOONは何 の前触れもなく(?)17年ぶりとなるオリジナルALBUMをリリース。往年のファンを喜 ばせたが、残念ながらTONの参加はなく、彼の名はSpecial Thanksに1カ所記される にとどまった。彼はいま何処?

2005.10.25

■PART19: THE ARMORY SHOW / WAITING FOR THE FLOODS (1984)

元SKIDSのRICHARD"captain"JOBSON(Vo)、RUSSSEL"universe"WEBB(Bass)と元MAGAZINEのJOHN"legend"McGEOCH(Guitar)、JOHN DOYLE(Dr)の4人により結成されたNEWWAVEのSuperGroup! 当時(1984年)、UKではかなりの注目を浴びた。確かに面子からして、こうした触れ込みに偽りはなく、発刊直後のUKの音楽雑誌『Debut Magazine』(今でもあるのか?)でも巻頭カラーのインタビュー記事が数ページにわたり掲載されていた記憶がある。ちょうど、U2やBIGCOUNTRY (リーダーの故STUART ADAMSON〜合掌も元SKIDS)が流行っていた頃なので、スコティッシュ色の強い、このTHE ARMORY SHOWもフィーチャーされたのだろう("legend""doyle"の2人はスコットランド出身)。
個人的には、溢れんばかりの才能が都会っ子の嫉妬を買い、陰湿なイジメを受けて神経症になってしまった(そのまま入院〜スジバンを脱退してしまった)"legend"の再起に歓喜したものだ。
音楽活動よりむしろ詩の朗読で高い評価を得ていた"captain"の「一本調子で朗々と歌い上げる」Vocalスタイルに合わせたSOUND。"legend"のカラフルで多彩なGuitar Playが曲調に変化をもたせ、Vocalの単調さをカバーしている。とはいえ、流石にALBUM約50分をぶっ続けでは少々辛く、リアルタイムで聴いていた時は、いつも好きな数曲だけ選んでいた。そのため、思い入れはともかく、作品に対する評価はあまり高くなかったのだが……先日久しぶりに聴きなおしたところ、コレがやけに沁みる。昔なら、ウザく感じた歌詞とVocalも、その「熱さ」が実に良い。特に「Glory of love」は、まさにMcgeoch節のGuitarが紡ぐ哀愁のメロディーとあいまって絶品だ。
……ということで、ここ数カ月、ヘヴィ・ローテーションで皿を回している。なお、ARMORY SHOWとは、1913年にNEWYORKの兵器庫で開催された「国際現代美術展」のこと。同展は、EUROPEの近代芸術にAMERICAの現代芸術(Modern Art)が対抗する図式で知られる。命名がいかにも英国風のシニカルだ。上のALBUMジャケットは、一部で「ダサい」と悪評だった輸入版のモノ。裏面には、"legend(多才!)"のデッサンによるメンバー全員の肖像画っぽい似顔絵(しかも上手い!)が描かれている。日本版のみ、イケ面のメンバーがポーズをとって並ぶ写真を採用していた。長らくCD化されていなかった本作も15・6年を経て、ようやくマイナーレーベルからリリースとなった。
さて、このTHE ARMORY SHOWだが、UKでは、そこそこブレイクし たものの、ALBUM1枚とSINGLE2枚をリリースした時点で、元MAGAZINE組の2人があっさり脱退。残った元SKIDS組もSINGLE1枚を出してすぐに活動停止してしまった。その後、McGEOCHはP.I.LのJOHN LYDONに(スジバン加入時と同様)またまた"stolen"され、DOYLEはケルト音楽のGroup、SOLASに加入し、Guitar兼Vocalを担当、そしてJOBSONは俳優やTVキャスターに転じ、今ではTVディレクターに出世しているという。

2004.05.08

■PART18: STAN RIDGWAY / PARTYBALL (1991)

1991年にリリースされたSTAN RIDGWAY(EX.WALL OF VOODOO)のソロ3作目に当たるALBUM。先日、久しぶりに聴いたが、それからというもの、彼の表現するリアリスティックな詞的世界に嵌っている。
ソロに転じてからの作品は、現実世界あるいは空想世界での出来事を冷徹な言葉で淡々と綴るスタイルに磨きがかかり、歌詞がより文学的になった。一部、映像的イメージすら想起させる。一見シンプルなストーリーも深遠なテーマを孕んでおり、とにかくシリアスだ。
一方、独特のエキセントリックなメロディ〜節回しはソロになっても相変わらず健在。ただ、楽曲自体は、1980年代NEWWAVEならではの先鋭性とダークさを持ち合わせていたWALL OF VOODOO時代の「それ」のほうが好みだ。
実は数年前からずっとWALL OF VOODOOの1stALBUM『BLACK CONTINENT』(LP)を探している。しか し、これがなかなか見つからない。ヒット曲「MEXICAN RADIO」を収録した3rdの『CALL OF WEST』なら、簡単に新品が入手できるのだが……。
ところで1980年代初頭、WALL OF VOODOOは、同じ米西海岸のGroupであるDEVOと並び称されることが多かったと記憶している。しかし、個人的にはむしろSUICIDEに近い存在と捉えていた。この認識は今でも変わっておらず、密かに「ウエストコースとのSUICIDE」と呼んでいる。
1990年代半ばだったか、渋谷のTOWER RECORDでたまたまALAN VEGA(EX.SUICIDE)のPHOTO BOOKっぽい詩集を見つけ、即ゲットしたことがある。STAN RIDGWAYにも似たようなモノがないかと思い、先ほど本家AMAZONで検索をかけてみたところ……PaperBackなんかが沢山引っかかったぞ。

2003.11.18

■PART17: STEVE DIGGLE / THE BEST OF STEVE DIGGLE AND FLAG OF CONVENIENCE (1994)

言わずと知れた――いや、そこまでの知名度はないか、とにかくBUZZCOCKSのオリジナルメンバーであり、1990年前後の再結成時にはいまいち乗り気でなかったPETE SHELLY(当初「いまさら、そんなこと、全く無意味だ」なんて冷たく突き放していたくせに再結成後は相変わらずの量産体制!)を見事口説き落とし、たまたまタイミングよく90年代のグランジ・ブームに乗っかり、その元祖として若いグランジの連中からリスペクトされ、結果的にBUZZCOCKSというGroupがそれまで音楽シーンからほとんどシカトされていたのが嘘のような再評価を得てしまうというキッカケを作ったのは、ひとえに解散後も地道にPUNKロッカーし続けたこの人、STEVE DIGGLEの大きな功績といえよう。
それにしてもBUZZCOCKSが解散した1981年当時、彼が21世紀の今日に至るまで第一線で活躍し続けるとは、ソロALBUM数枚はおろか一流ミュージシャンの証であるベスト盤までリリースしてしまうとは、そしてUK5大PUNKバンドの一角THE STRANGLERSの中心人物、しかもルックス的には全くの対極にあるともいえるJean Jacques Burnelとバンドを結成し、同じステージに上がってしまうまで出世するとは……一体、誰が予想しただろうか。絶対、「すぐ消える」と思ってたのに(笑)
もっとも、四半世紀を通じて、基本的に演ってるコトはずーっと同じ。彼の手による直截的な歌詞は、文学性などとは全く無縁。ここ数年の作品ではようやく韻を踏むなどのレトリックも身に付けたようだが、齢50の男が書く詞にしては内容が……(以下自粛)。そして相変わらずの「ひたすら単調かつ短調な曲調で尻切れトンボ感120%」の曲づくりは、もはや名人芸いや伝統芸能の領域。もうダサ格好良くて最高! 独自の世界、そのすべてが素晴らしい。個人的にはずーっと昔から密かに「世界ダサ格好良いミュージシャン選手権NO1のS・D氏」と呼ばせていただいております。人生右肩上がりの彼には、これからもマイペースで突っ走って欲しい。
さて、本作は、FLAG OF CONVENIENCE(BUZZCOCKS F.O.C)時代の作品を含む彼の1980年代におけるソロ・キャリア集大成。とりあえずSTEVE DIGGLE入門編としてお勧めの一品だ。

2003.03.25
■PART16: (OMNIBUS) / NO NEWYORK (1978)

体調最悪で頭が全く働かず、ただただ五感に訴える音楽を欲する3連休となった。
5年ぶりくらいに、オムニバスALBUM『NO NEWYORK』(CD)を聴いている。本作は、B.ENOによるプロデュースで知られ、UKのNEW WAVEならぬNYのNO WAVEを世に知らしめたことで名盤の誉れ高い。その昔、中古LPの値段がまさに狂乱物価と化していたものだ(当方はダビングのそのまたダビングという劣悪な音質のTAPEで聴いていたが)。
当時のNYアンダーグラウンド・シーンを代表する4Group、計16曲を収録。トップバッターのJAMES CHANCE AND CONTORTIONSは、この中でもっともBandの体をなしているGroupだ。こいつがとにかくイカしている。SaxをフィーチャーしたPUNKというスタイルから昔、聴いた時の感想は「X-RAY SPEXのU.S.♂版」。フリージャズを意識しているところも似ている。ただ、さすがはNYというか、アート色をも感じさせるSOUNDであることを再認識。歌詞が一寸BUZZCOCKSっぽいのはご愛嬌。
次に出てくるTEENAGE JESUS AND THEJERKSはLYDIA LUNCHの個性は光るものの、あまりに稚拙なSOUND。今、これを聴き通すのはかなり辛い。
MARSは最近、再評価されているらしいが、個人的にはいまひとつINSPIREされるものがない。独特のネジれたビートは悪くないが、どこかで聴いたことがある様な気もする。
DNAについて、ここで改めて記すことはない。その圧倒的な前衛感覚は、今なお新鮮。多数のフォロワーを排出した後も陳腐化することなく、先駆者としての輝きを保っている。



◇PUNK/NEWWAVE/ALTERNATIVE ALBUM PickUp review(PART1〜15)

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