由来と特色

 尾張新次郎太鼓保存会が伝える神楽太鼓の数々は、 江戸時代から長い時間と共に尾張野で育まれた音色です。その太鼓は大きく神楽屋形太鼓と曲太鼓に大別でき、 前者は太鼓の音色、後者は見事な桴さばきに特色があります。

−神楽屋形太鼓−

 名古屋の西部から海部郡の農村には、神楽(カグラ)と呼ばれる屋形が、ムラの宝として保存されています。 それは、大神楽に使用する獅子頭を納めた屋形が、彫刻や金箔で飾られ豪華になったものです。 神社などの修復をした特別な祭礼(神楽寄せ)などでは、この屋形だけでなく、太鼓の音と技も、ムラ間で競争となったのでした。 そのため、太鼓の叩き方と皮の張り方にも工夫が重ねられてきました。 これが神楽屋形太鼓で、ムラ毎に太鼓の名人が存在したほどです。
 太鼓は堅木の輸入材、そして太鼓の皮を破れる寸前まで張り、竹を細く割った桴で叩きます。 大変甲高い音が鳴り響き、その音色は、名古屋西部農村に於ける秋の豊作を象徴しています。

−曲太鼓−

 草薙の剣を祀る熱田神宮には江戸時代、太神楽や宮流神楽など、独特の神楽が伝えられていました。 特に尾張地方西部の農村に伝えられたものは、曲太鼓として独自の展開を見せたのです。 叩者が膝をつけて打つ事は、神楽太鼓から発生したことを示しています。 二本の桴を、流暢な笛の音に合わせ、左手の指先で回転させたり、時に飛ばしたりして打ち分けます。 その技は数ある和太鼓の曲太鼓を代表するものです。曲目には「神来舞」・「わたよせくずし」・「森津」・「四ツ節」などがあります。

曲紹介

−神楽屋形太鼓−