ソニーのポケットステーション用のゲームに「どこでもいっしょ」というものがあり,その中に「トロ」という名の猫?のキャラがいる。結構売れたソフトなのでご存じの人も多いのではないでしょうか?キャラグッズもいっぱいあります。
 ところで,私のような「妖しい世界好き」の人間にとっては猫のキャラで名前が「トロ」といったら,もう,すぐに「ニャン・トロ」を想像する。黙っていても想像する。我慢できませーん。
 「トロ」という名前は「ニャン・トロ」からパクったに違いないと考えずにはいられないのである。


 西アフリカ,マリ共和国のニジェール川流域にドゴン族という先住民族が住んでいて,彼らにはある神話が伝わっている。その神話の概略は以下のようである。

@天空で最も重要な星は目に見えない,ポ・トロである。
Aポ・トロは夜空で最も明るい母なる星を50年で一周する。
Bポ・トロの周回軌道は楕円形で母なる星はその焦点の一方に位置する。
Cポ・トロは全天で最も小さく,最も重く,しかも色が白く,地球には存在しない金属サガラから出来ている。
D母なる星の周りを,ポ・トロよりも4倍も軽く,軌道もずっと大きいエンメ・ヤが回っている。
Eエンメ・ヤの周りをニャン・トロが回っている。
Fニャン・トロには「ノンモ」が住んでおり,遙かな昔,地球にやってきてドゴン族や他の人類に文明を与えた。

 いや〜,いきなりとんでもなく,妖しい話ですね〜。「やばいっ」と思った人はいまならまだ間に合います。プラウザを閉じてもう寝ましょう。

 さて,この神話には天文知識を必要とする部分が多々見られますが,ドゴン族によると,これらの知識はすべて「ノンモ」から教えられたものだという。 で,この神話に合致する星系が宇宙にはあります・・・・それは「シリウス星系」。シリウスは犬狼星ともいい,オリオン座のベルトから左に真っ直ぐいったところにあります。

 「夜空で最も明るい星」はシリウスA(-1.5等星)に対応します。太陽系の惑星を除けばシリウスBは全天で最も明るい。「人間の目には見えないポ・トロ」はシリウスAの暗い伴星シリウスB(8.7等星)で,しかもシリウスAの光輝に邪魔されて地球からは肉眼では見えない。シリウスBの存在が望遠鏡で明らかになったのは1862年であるが,この神話は12世紀より前から伝承されていることがフランスの文化人類学者によって確認されているそうである。   おもしろいでしょ?

 おまけにシリウスB(ポ・トロ)が白い光を放つ白色矮星で,大きさは地球程度だが,質量は太陽並であることと,その公転周期が約50年で軌道が楕円形でシリウスA(母なる星)がその焦点のひとつに位置していることも現在では判明しており,それぞれ神話と一致する点が認められるわけなんです。    ねーおもしろいでしょ?

 シリウスBの外側を回っているはずの「エンメ・ヤ」はどうか?実はまだ発見されていないし,そんなものはないかもしれないが,1995年に天文学者がシリウス星系の原因不明の「摂動(他の天体の影響を受けて軌道が変化すること)」を観測し,シリウスCと名付けるべき赤色矮星の存在を推定しているんですなー。つまり,今後発見される可能性が高いということで,これが発見されたらもう,間違いないところだとおもうし,ついでに「ニャン・トロ」も見つかって欲しいなー。

 ちなみにエンメ・ヤを翻訳すると「女のモロコシの星」でニャン・トロは「女の星」です。ノンモはニャン・トロから来たので女ということになる。ドゴン族の神話でノンモは「世界の監督者で水の支配者。宇宙最高神アンマ(なにもの?)によって魚の土地から地球に派遣された水陸両生体でぐるぐる回転する箱船に乗って地球にやってきた」となっているので女の星の中に魚の土地がある?みんなお魚の格好をしているのか?・・・ああ,どんな姿をしているのか?

 私が気になるのは,神話の@ポ・トロ(シリウスB)が最も重要な星だ。といっているところです。ドゴン族にとっての神,ノンモはエンメ・ヤ(シリウスC)の衛星の「ニャン・トロ」に住んでいるわけなので,神話を普遍的に考えれば神が一番重要だから,その神が住む星が重要だと考えるのが普通だと思う。でもなにも住んでいない星,シリウスBがなぜ重要なのか?うーんわからん。

 ところで,このような先住民族の超知識に対しては決まってこうゆう反論があります。

 先住民族には自分たちが分からないもの,想像もつかない知識はご先祖さまから,代々受け継がれたものと考える。だから,かれらが天文学的知識をもった旅行者や学者と接触し,得た知識(未知の知識)が彼らの神話と融合して,いってみれば,新説・神話が生まれた・・・・。

 私はこの解釈ではドゴン族の神話が説明できないと思うんです。仮に天文学者がドゴン族と接触・・・・・想像するにおそらくこんなシチュエーションだと思う・・・・・ある天文学者の旅行者が仲良くなったドゴン族の若者と地面に腰をおろし,いっしょに宇宙をみあげたら,それはもう満天の星空。そして二人の頭上には一際輝く,シリウスがあった。ドゴン族の若者は「あれはなーに?」と天文学者に質問し,天文学者はシリウス星系についての話を始める・・・。
 もし,仮にこうだとしても,天文学者は発見されていない,シリウスCについては話さないし,話せないだろう。シリウスBよりシリウスCは4倍軽いとか・・・。おまけにドゴン族の神話は1995年以前に明らかになっているので1995年に摂動によるシリウスCの存在の推定の話もできない。
 大体,なんでも「後から聞いた話をご先祖様の話に折り込んだ」という方法で否定したら,歴史なんてみんな「でっちあげ」「作り話」になってしまう。だからこの手の反論はフランスの文化人類学者が「嘘つき」です,という反論と同じようなものだと思う(嘘つきであることを証明できない)。・・・・もうちょっと気の利いた反論が欲しいなー。

 以上の詳細は「シリウス・ミステリー」という本に書かれています。バビロニアの「オアネス」とか「ダゴン」という神も出てきます。ちなみにダゴンはキリスト教では悪魔になっちゃってますね。