よあけまえ おつきさま まどのむこうで


悲しい事も
すべて終わって

今ここには
緩やかな時間

また悲しい事は
始まるかもしれない

けれど
幕間(まくあい)の今

ここでうたた寝を
ひとときのうたた寝を

自らの腕(かいな)で
胸をそっと抱きしめながら

 

夜窓にうつる シーファと私

お外の月が シーファの耳で
ちょっと ひと休み ひんやりこ

シーファはするっと ミルクに逃げた
窓のむこうで しょんぼりこ

三日月 お月さま 私の腕に
抱かれて くすんと ひとねむり

その光は
傷口を抱きしめても
消し去りはしない

その光は
傷口をあらわに照らし
なでる事をやめない

それは目印

大切な人が
あなたをみつける
目印

通ってきた道のりを
傷口が教えてくれる

光に導かれ
わたしはあるいていく
光に導かれた
だれかがやってくる

あなたは相手の
光に照らされた傷口を見て
そのとき本当に
すべてを悟るだろう

傷口誇らかに

  どこまでも続く草原を
見渡すような気分で
明日を思った

何もない
何もないから

全速力で
何の躊躇もなく

まっすぐにあなたを思って
盲目のまま走っていく

君が何処にいても
僕は君を想っているから

僕の世界の中に
君はいつもいるから

君と会ってから
僕は一人じゃないし

僕を想う君は
一人ぼっちになれない

 
水晶のように
心が澄んでしまった朝

何もかもを許した

白い月が
夢のように浮かんでいて

潮がひくように
宇宙に消えていった

さよならは

ただ始まりなのだと
まっさらに思った

冷蔵庫の 桃を
切らしてしまうと

ひやり つかむ
みみたぶ

夏の底で まるまって
桃の鼓動を つれてくる

とくん とくんと
ねむくなる


                             よるがあけたよ
 
おつきさま おやすみなさい


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