<オワレナイ コイ>

桜の木の下でたたずんでいたあなたを、追い越し、振り返り、見つめた。

ただそれだけの恋の始まり。
そしてそれからはいつもそうだった。
知り合ってから三年の高校生活。
いつもあなたを追い越し、振り返り、待っていた。 

私が消えるまで走っても あなたが足を速めることはない。
私が一番そばにいても、あなたは手を伸ばしてくれない。

ーアナタハ ワタシヲ ツカマエテクレナイー

.......あなたには、私が、必要じゃない。

だから、あなたの後ろは嫌いだった。おいていかれそうで怖かったから。
だから、あなたの前を歩いた。心がだめなら、せめて、瞳にうつりたかったから。
いつもあなたを追い越し、振り返り.........そうして、待っていた。待っていたのに。

これで最後。今日、私は、街を出る。

いつもの桜並木に向かうあなたの後ろ姿を見つけた。
いつものように追い越そうと足を...速めようとして、ふと、立ち止まった。

ーアナタハ ワタシニ フリカエッテクレル?ー

背中を、ただ静かに見つめながら、桜の木の下の永遠を歩いた。
あなたは光を抜け、影を抜け、終わりの時へと近づきながら
過去になろうとしている想いをいくつもいくつも思い返させる。
あなたは何を思いながら私の背中を見ていたの?
手を伸ばしてくれなかったのは...きっと、私では、駄目だから。
でも...それじゃあ。それなら。そう思うには、瞳が、優しすぎたよ?。
..........ずるいよ。

桜の木が、近づく。あなたの足が、止まる。

そして、あなたが、ふりむいた。

はじめて......私に、ふりむいた。


追われない恋は、終われない恋に、変わる。


あなたは、手も伸ばさずに、私を永遠にとらえてしまった。
これからは、けして私に瞳を向けることはないというのに。

...............逃がしてさえ、くれないんだね。

あなたが悲しそうな瞳で小さく笑顔を浮かべた。
口元だけの微笑みを食ませて...私も、泣かない。

何もいわない二人の間に、咲きぞめの桜から、小さなため息がこぼれて。

これ以上私が前を歩いたりしたら、あなたも苦しいよね。迷惑だよね。
だから、ほんとうに、私、行くね。
あなたが追いつけないほど先に。あなたが自分を責めなくていいように。
見えない程、遠くに、私、行くね。


......最後に追い越して、もう、振り向かない。

それでもきっと、待ち続けてしまうだろう、おわれない恋を抱えて。

     
     あなたの瞳に最後の姿を残して走っていく。 

 

 

 

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