不思議体験談 うさぎのナプキン

うさぎのナプキン

私が高校2年生の時の話です。これは、最も不思議な話です。

我が家には、私の弁当を包む3枚のナプキンがありました。

そのうち1枚は真ん中に大きくスマイル君の絵が描かれた黄緑の縁取りのもので、あとの2枚はうさぎのイラストがあちこちに描かれた、同じ柄で青と赤の色違いでした。

クラスではほとんど好きな者同士で適当に机を向かい合わせ、教室内で食べるのですが、私たちもいつも4人で班のようにしていました。

その日はお弁当を机の上に出した後、私が手を洗いにいくのが遅く、教室に入っていくとすでにみんな席に着いて私が戻るのを待ってくれていました。

「ごめんねー!」と謝って私が椅子に座ると、みんないっせいに「じゃ、いただきまーす」と弁当の包みを開け始め、私もそうしました。その日のナプキンは青い方のうさぎ柄でした。

みんなで他愛の無い雑談をしながら弁当を食べている最中、私は「あれ?何かおかしいな・・・」と思い箸を止め、そしてすぐに素っ頓狂な大声をあげてしまいました。

「あれーっっ!? ナプキンがないーッッ???」

みんなびっくりして私の弁当箱の下を見ました。私はお弁当箱は机に置いたままで食べるので、開いたまま下に敷いておいたナプキンが無くなる筈はないのです。

「えーっ」
「うそー、敷いてあったよねー?」
「私見たよー、だってさっき、早く帰って来ないかナーと思ってそのお弁当の包み見てたもん」
「だよねー・・・」

とまあ大騒ぎになり、友人は食事中だというのに机の下や席の後ろやらキョロキョロと探してくれたのですが見つかりません。しまいにOちゃんは自分の学生鞄の中まで開けて見てくれるという念の入れ様。

「あ、いいよいいよ、食べちゃって。あとで探すー。」

と残りを食べることにしても、もう話題はその事ばかり。

「絶対あったよね」
「うーん、ひょっとして今日包んでなかったのかなぁ・・・」(そんなわけはない)

一回り大きいフタをかぶせるだけでバンドなどで止まっていない私の弁当箱は、きっちり包まないとふたが開いてかばんの中にこぼれてしまうのです。

友人がまた言いました。

「絶対あったよ、私、ほどいてるトコぼーっと見てたもん」

というような会話の後、昼休み中大捜索が行われ、風も無いのに「風で廊下に飛んだって事無いよね」と言いつつ廊下にも出てみたり。

「なんなのー?」

みんなが納得できないまま昼休みは終わり、私は部活を終えて自宅に戻りました。

しかし母親がオソロシイ。忘れ物のひどい私は、また無くしたのッ?と言われたくないばかりに、こっそりと弁当箱を開けて流しの中に素知らぬ顔で置いておきました。
本当なら、いつもは包みのままテーブルの上に置いておくのです。

勘のいい母のことだから、なんで今日に限って、と問われるかも・・・とも思ったのですが、ダメ元ダメ元、としらばっくれておきました。(この事には、母は気づかなかったようでした。)
そしてすぐ、家の中を調べたのですが、青い縁のナプキンは出てきませんでした。

翌日、友人たちに「ねぇ家にあった?」と聞かれましたが、無かったと答えるとまたみんなして

「いや、だってこっちにあったんだから家にある筈無いよ」
だの
「鞄の中も無かったしねー」
だのと、忽然と誰も気がつかないうちになぜナプキンが弁当箱と机の間から消えてしまったのか騒ぎまくりました。

しかしなんと!
その後3日経って学校から家に帰った私の目に恐ろしい物が映ります。

あの青い縁の、うさぎのナプキンが、ちゃっかり洗濯されて干されているではありませんか。

私は一瞬言葉が出ませんでしたが、即座に気を取り直して母に尋ねました。

「おかあさん、このナプキンどうしたの?」
「洗濯物の所にあったから洗濯したんだよ?」
「下のほうに入ってた?」
「上に乗っかってたよ」

そんなはずはなーい!あの日洗濯物置き場も捜したのに ?!と思いつつ、しかし少し弱気になりました。

まちがいなくこれだよ・・でも、ひょっとして無くしたのは青いうさぎのと思ってたけど、実は緑の(スマイルの)かも・・同じ青系だし・・もしもそれが無くなってたら、私の勘違いってことも・・

「あれ、緑のはどこにあるんだっけ?」
「そこの引出しの中でしょう」

言われて探したところスマイルくんのナプキンは確かにありました。
えー?色は間違わないはずだけど、まさか・・と赤いうさぎを探してみると、今日のお弁当はちゃんとその赤い方のうさぎで包まれていたのです。

あまりの不思議さに、母に事情を説明すると、あまり超常現象が好きでない母は顔をしかめて
「んーン、狐につままれたみたいだ!」
と少し嫌そうにしました。

翌日その包みを見せてまたしても教室で大騒ぎしたのは言うまでもありません。

おわり

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