DIR(安全なダイビングの為の具体的提案)


 DIR(Doing It Right)とは、フロリダで洞窟潜水をしているグループがより安全に探検 ダイビングを行うために実行されているダイビングスタイルです。洞窟潜水という過酷な状況 の中、器材構成、ガスマネージメント、アプローチ、全てにおいて見直し改善が繰り返し行われ、 現在の形になっています。今後も経験に基づき発展進化し続けていくと思われます。また、この 洞窟潜水を行っているメンバーは世界各国にまたがり、各メンバーが日頃活動する地域での情報 もフィードバックされ、様々なことに生かされています。

 洞窟潜水はオープンウォーターでのダイビングとは全く違った活動と言えますが、水中に潜る という事では、通常のレクリエーションダイビングでも変わりはありません。このDIRの理念 は場所やスタイルにかかわらず、確実に安全度を高めてくれると思います。

 DIR=ミニマム主義です。その環境、ダイビングに合わせ、必要最低限の持ち物を吟味し、 不必要な物は持ち込みません。なぜなら不必要で煩雑な器材や道具は邪魔になったり、使用する 手順の混乱を招いたり。有る意味危険でも有ります。
また、物は壊れ人はミスを犯すという考えから、器材は信頼性があり、壊れにくく、壊れた場合 でもその場(水中)で有る程度メンテ出来るものが選択されます。例えばダイバーはステンレス かアルミのバックプレートにタンクを固定し、繋ぎのない1本のベルトで体に固定します。 ウイングは流線型(水平姿勢)の取りやすいバックフロートタイプを使います。レギュレーターは バランスタイプで、セカンドステージは呼吸がしやすい容量が確保され、工具無しでカバーの 開閉できる形状のも。メインのセカンドステージは他のダイバーへバックアップが必要な時に 与えられるように1.5m〜2.0mのロングホースを使います。二人でガスをシェアするように 成った時、ロングホースは取り回しが良く、ダイバーの動きに与える制限を緩和します。バックアップの セカンドステージはいつでもくわえ替え出来るようにショートホースで首からネックレスでぶら下げます。 ゲージは必要最低限の長さのホースに繋ぎ、ハーネスのDリングに固定されます。この器材構成では、 ダイバーの体から突出する物は無く、流線型の姿勢での抵抗が少なくなるだけでなく、水中拘束 にあう可能性も少なくなります。

 そしてDIRは器材構成だけではなく、使用目的に合わせたガスの使い分け、ガス量も含めた ガスマネージメント、チームとしての個人の責任、役割分担など、全てが統合されたシステムです。 もちろんシングルタンクの無減圧停止ダイビングにおいてもその基本理念は変わりません。  

 安全に対する意識を高く持つことは大切ですが、安全とは意識だけで確保される物ではなく、 具体的な方法でしか実現出来ないと考えた時、DIRの理念はとても役に立つと思います。

 DIRに関しては、Doing It Right: The Fundamentals of Better Diving を読んで頂けると、よく分かると思います。また、海に一緒に行かれれば、より具体的に 説明いたします。       





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