クラス分類のまとめ


*** 細胞検査士の私に言えること ***


ついに、、、クラス分類の説明をするところまでたどり着きました。
今まで長々と、いろいろな段階にそって扁平上皮細胞の絵を描き、その見え方の差をこまごまと説明してきたのは、この、クラス分類についての説明をする為だった!と言えるほど、私としては当初から目標にしてきた項目です。
同時に、どこまでどう書いていいものか、大変悩んで先延ばしにしてきた部分でもあります。

このHPを見て下さっている方の何%かは、ご自分が子宮癌検診でクラスIIとか、クラスIIIaとか言われて、今後の検診をどう受けていったらいいのか、病院でいわれたクラスIIやIIIaの意味はなんなのか、調べようと思って検索をかけ、アクセスしてくださった方だと思います。
IIIbだ、癌だ、ということになるとその後の治療方針がはっきり示されますし、検査の進めかたについても病院側からかなり詳しい説明があると思います。
ところが、クラスIIやIIIaで「半年後(1か月、3か月後と言われることもあるでしょう)にもう一度検査しましょう」と言われ、あとは「*たぶん*心配ないでしょう」という、本人にしたらすごく心配になる言葉をかけられた、、、そんな方に細胞診ではこんな風に指示を出しているんだよ、と少しでも理解していただくには、何をどう書いたらいいのか、、、??
悩みつつも、私に出来る範囲で書いてみようと思います。

その前に、、、まず、お断りしておかなければならないことがあります。
それは「私は一介の細胞検査士にすぎず、医者ではない」ということです。
このHPの内容は、どれもが私の判断で「細胞診ってこんなもんだよ!」と思っていることを書いているだけにすぎず、細胞診における一般論、それも私が思うところの一般論にすぎません。
細胞診での基本的な指示を書くことはできても、それが具体的にどんな治療につながり、今後の生活にどう影響していくのか、個別に指示し指導する資格を私は持っていないのです。
それでも、クラス分類についてとその後の指導方針についてを、読者に理解して頂く程度に書くためには、やはり今後の検診計画や治療や生活指導について、ある程度ふれなければなりません。
この点については、どうぞ、あくまで一般論として書いてるのだということを再度ご理解いただき、お許しを頂きたいと思います。

読んでくださっている方一人一人の顔がみんな違うのと同じように、症状も病期も年齢も、すべての人で違っています。
大まかなことはあっているとしても、ここに書いてあることがかならずしも個人に当てはまるとは限りません
だから、なにか不安があったり疑問があったりした場合は、まず、主治医によく相談してみてください。
一人一人の状態を一番よく把握しているのは、その人を診察した主治医、なのですから。



*** クラス分類、日母分類 ***


クラス分類というのは、細胞診の所見を、全くなにもない良性(=class I )〜悪性と思われる細胞が出現している(=class V ) の5段階にわけて表わす、というもので、最初に考えたのは細胞診を考えだしたパパニコロウ博士、その人でした。だから、パパニコロウ分類、ともいいます。
細胞診では全身のどこの組織についても広く用いられてきた分類方法でしたが、最近は、分類が大ざっぱなこと、数字だけを書いて個々の病変についての情報が少ないことなどが問題視され、国際的には廃止される方向にあります。

日本母性保護産婦人科医会の分類
(1997年)
I 正常である
II 異常細胞を認めるが良性である
III
IIIa :軽度異形成を想定する
IIIb :高度異形成を想定する
IV 上皮内癌を想定する
V 浸潤癌(微小浸潤癌も含む)を想定する
日本でも、クラス分類の廃止という国際的な流れを受けて、各臓器別にそれぞれに適した分類方法が検討され、また、実際に使用されてきています。が、一方では、膨大な検体量を統計処理する時に数字での分類が便利であること、判定の標準化がしやすく説明される側の受診者にとってもわかりやすい表現方法であること、などの理由から、現在でも最も一般的な分類方法としてクラス分類が用いられ続けています。

子宮頚癌については、単純な5段階に分けられたクラス分類に少し手を加えてあり、さらに報告時には組織病変の推定もあわせて行うことになっています。

左の表は、いわゆる日母分類といわれるもので、現在、多くの施設がこれを採用しているはずです。
では、実際に私たちが検鏡していて、どんな細胞がみつかったときそれぞれのクラスに分類して報告するのか、順に書いてみることにしましょう。



*** クラス I ***


まず、クラスI ですが、これは特に書く程のものではないかな、、、と思っていたのですが、そうでもないかもしれません。私たちにとってはあたりまえのことでも、細胞診のことなんて一般には知られていないですもんね。一通り書くことにします。
右の絵の一番上は、子宮に出現する細胞像の説明(もとのページはこちら)のときに使った 扁平上皮細胞 の絵をそのままもってきたものです。
<<写真はこっちをクリック!  表層細胞、  中層細胞、  傍基底細胞>>

扁平上皮は月経周期によって出現する細胞の分化度が違ってくるのが特徴です。
分泌期、つまり肺卵後は、デーデルラインかん菌が出現して細胞質を食べている影響で、もっと 細胞質が無くなって裸核になった細胞が多く見られることもあります。また、増殖期にくらべると好中球などの遊走細胞も多く出現するため、やや検鏡しにくい場合がありますが、どんなに裸核に近くなってN / C比が高くなっていても核所見はおとなしいので、悪性細胞と間違うことはありません。
頚管腺細胞、も、ごく普通に認められます。
内膜細胞、 や赤血球は全く正常な場合は標本上にはほとんど認められないので、ここでは描きませんでしたが、もちろん、月経時に検査を受ければ出現します。

ところで、検査を受けるときの注意事項として、よりよい検査結果を得る為には月経中の検査はさけて欲しいと思います。
月経時であっても細胞がきちんと採取されていれば良悪性の判定はつけられますが、出血が多いときちんと細胞が採取されないことが多くなり、また赤血球に紛れて疑わしい細胞が隠れてしまうこともあり、異型のある細胞を拾い損ねる可能性があるからです。
せっかく時間をさいて検査を受けるのですから、きちんとした結果の得られる時期に検査を受けて頂きたいと思います。
具体的にいつ検査を受けるかは月経が終わった直後、増殖期の方が細胞融解などが少なく白血球などの影響もなく、細胞診を見ているものとしては見やすいです。ただし、月経さえはずしていれば、それほどこだわる必要はありません。
また、月経期でないときの出血、いわゆる不正出血がある場合は、まよわずただちに検査を受けるべきです。
検査の方法についてはいずれまた機会を作って書くつもりでいますが、どこから出血しているのか、つまり、ちつにのぞいているびらん部分なのか、頚管腺の方か、子宮体部なのか、検診時にわかっていることが重要だからです。出血のある部分からきちんと細胞が採取されていないと正しい検査結果は得られません。
3か月前に出血があった、、、では、目的の場所から細胞を採取することはできないのです。


頚管腺のとなりの エクソダス というのは、いわば月経のカスのようなもので、月経直後から次の排卵があるころまで、しばらくの間見られることがあります。
エクソダスという言葉は、旧約聖書の出エジプト記で人々がまとまって脱出をはかるところから来ているのだそうで、日本語ではそのまま「脱出」と訳されています。内膜細胞と間質細胞がドーナツ状に固まりを作って落ちてきたものです。

一番下の 老人性の萎縮像はしばしば炎症を伴い、それによって、核の肥大がある場合もあり、その場合はクラスII になることもありますが、特になければクラスI です。

日本母性保護産婦人科医会から平成9年11月にでている「子宮癌検診の手引き」によると、クラスI の場合は、年に1回の定期検診が勧められています。
米国の文献を見ると、3年間毎年きちんとした検査(きちんとした検査、の規準についてはいずれ別項目で書きたいと思っています)を受けて異常がなければ、3年ごとの検診にしてもかまわない、、、とあり、実際、扁平上皮の病変については進行が遅いのでこれでも問題はないと思います。
ただし、子宮頚部の奥に潜ってしまっているタイプがなかなか発見できず、それも腺癌だった場合を考えると、これは進行が早いことが多く、3年に一回では手遅れになってしまう可能性があります。
やはり、1年に一回の定期検診が最適でしょう。







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