子宮頚癌検診に関わる検査あれこれ

*** まずは。 ***


 気付けば、最後にクラス分類のIIIaについてを書いてから、早2年!?(^_^;;ゞなんだかもー、いったいナニやってたのよっ??ってなくらい遠い昔に更新したきりだったのですが、やっと続きを作ることにしました。
 まぁ、これまでにだって、細かいページの更新はボチボチ色々やってはきましたし、学会発表だの講演会だの、このHPから派生した様々な経験もしてきてはいたんですけど、、、肝心の細胞診という検査そのものについての更新はお座なりになっていた感は否めないです。言い訳にしかならないですが、これは、この間のエネルギーの多くをHPVについて詳しく書き一般の理解を得るという、大変重要ではありますが私にとっては荷の重い作業に費やし、さらにそれに対する数々の反応に対応することで、力を使い果たしてしまっていたから、です。たぶん。<あまり言い切れないあたり、単なるずぼらの現れカモ?なはは。
 けれど、この2年の間に、HPVの知名度は格段の差で上がり、まだまだ不足してはいるものの様々な情報がマスコミ等でも取り上げられる様になり、また、ようやく私自身、HPVについての考え方や対処の仕方について一定の方向が見えてきたなぁ、という気がして(このあたりのことは、また改めて詳しく書きます。って、、、いつだ?(笑))いるので、ようやく本来の「細胞診という検査」について書くという原点?に戻ろうって気になりました。
 それに、2年という長い長いインターバルを取ったことがマイナスだったワケでは無く、その間に改めて分かってきたことも色々あります。検査を受けた人にとって、何がどう分からなくて、どう不安なのか、、、HPを開設した当初は私が勝手に想像していただけだった疑問点が、具体的な実例として、色々なところで浮き彫りになってきた感じです。そしてこれらのほとんどは、沢山のメールや掲示板への書き込みを頂いたことによって、知ったことでもあります。
 改めて、多くの方々に長い年月の間、変わらず支えて頂いていることに、心から感謝いたします。

 細胞診という検査についての原点に帰るということ、細胞診についてもっと詳しく具体的に書くということ、細胞診にできること、できないこと、分かること、分からないこと、可能性や限界について、もっと多くの方に知っておいて欲しいと思うこと。
 細胞診という検査を、過信する事なく、軽視することなく、正しく評価し正しく利用してもらう為に知ってもらいたいと思うこと。
 そして、がんを見つけ、がんと闘い、がんに勝って欲しい、ということ。

 頭の先からつま先まで、がんはできないと言われている心臓以外のほぼ全身が細胞診の検査対象であるにもかかわらず、その中の子宮頚癌検診についてのみ、それも他の領域ではここまで細かく区分することすら無いIIIa、bという分類について書くことが、いったいどれだけ細胞診について具体的な理解を得ることに繋がるものなのか、正直なところ、私にもはっきりはわかりません。
 けれど、少なくとも子宮頚癌検診を受けて不安を感じた方々にとって、いろんな可能性を含めた知識を得られることは不安の解消や前向きに病気に立ち向かっていくことに繋がるでしょうし、おそらく日本で細胞診を一番沢山行っている臓器が子宮である以上、細胞診について知ってもらえる絶対数を得られる分野はこれだ、と勝手に思い込むことにして(笑)対象を絞って書くことにします。

 相変わらず、不勉強きわまりない私が四苦八苦しつつ書いた内容ですので、誤解曲解、大間違い、ビシバシッと御指摘頂ければ幸いです。


 
*** 細胞診と「待つ」ことの不安 ***



さて、私のHPに寄せられる質問メールにも数多く見受けられ、また、子宮・卵巣がんのサポートグループ「あいあい」を主催していらっしゃる まつばらさんも、著書の「なぜ婦人科にかかりにくいの?」(築地書館)で言及されていることなのですが、どんな手順でどんな検査をするのか?ということを、きちんと理解して検査を受けることは、検診を行う限られた時間内ではかなり難しいことのようです。特に集団検診などの場では、流れ作業的に業務が行われ、じっくりとひとりひとりにこれから何をするのか、何の為にするのか説明されることは少ないようで、多くの不安を感じてしまう原因となっているようです。

また、沢山の方からメールや掲示板での書き込みを読んでいて改めて驚くのは「待っていることが不安」という悩みの多いことです。
もちろん、細胞診でクロまたは灰色と出て、精密検査をしましょうと言われたら、誰だって動揺するしあれこれ心配するのは当然のことで、精密検査を受けるまでの待ち時間も、精密検査の結果を待つ間も、不安で不安でたまらないのは仕方の無い事だと思います。待つ身が辛いのは、検査結果に限らずどんな事でも同じでしょうし、楽しいことならあっという間に過ぎる時間も、辛いことだと長く感じてしまうのも人の常。けれどそれでも、次の検査を受けるまでの2週間という時間が長過ぎて、夜も眠れず痩せてきてしまったとか、精密検査の結果IIIaで3ヶ月後の再検を言い渡されたけれどその3ヶ月が不安で仕方ない、何もしないでいるよりは何かしていたいから来週また別の病院で検査を受けてみようと思うとか、細胞診だけじゃ不安だから毎回狙い組織診を頼いるよりは何かしていたいから来週また別の病院で検査を受けてみようと思うとか、細胞診だけじゃ不安だから毎回狙い組織診を頼んでる、とか。
「細胞診」という検査の段階にすぎないこと(つまり、本当に癌やその前駆病変だったとしたら闘いはその後だということ!)で、必要以上の不安を感じて不安に押しつぶされたり、勘違いから不必要な検査を繰り返してしまったりして欲しくはないし、もっともっと自分が今どんな状態にあって、次に何をしたらいいのか、(何をしなくていいのか、)きちんと把握して欲しいと思うようになりました。
もちろん、「結果が出るまでは余計な心配するんじゃない」と言っても、そりゃ無理ってもんでしょう。
治療を前提とするclass IIIb という結果が、もし癌が進行したらどうしよう?という心配、不安の元となるのは誰にとってもあたりまえです。検査結果そのものが経過観察をしましょうというどっちつかずの状態を強いる class IIIa の場合だって、これはこれで不安のタネが消えないで長期間続いてしまう、といえなくもないですし。
けれど、掲示板への書き込みや頂いたメールの不安の中身をよく見てみると、癌に対する不安が拭い切れないのはまぁ仕方ないこととして、細胞診や組織診という検査についての知識認識の不足から来ている余計な不安、いらぬ不信感の部分も、正直、かなりあるなぁと感じるのです。そしてその部分は、私がここで詳しく説明をすることである程度は軽減できるのではないか?どんな検査をしていて、そこから分かること、分からないことはいったい何なのか、きちんと理解してもらえれば、不安を無くすことはできずとも、もっと冷静になれるのではないか??そんな風に思うようになりました。

ということで、細胞診で婦人科の頚部検査を受けるということ、精密検査をすると言うことの特徴と意義を、私なりに絵を見て頂きながら説明していくことにします。

ここで、お約束のようにくどいのですが(^_^;;ゞ、改めてもう一度。私は一介の細胞検査士であって、医者ではありません。だから、検査結果によってはそれからの患者さんの生活が大きく変わることになる、クラスIIIについて、医者に代わってあれこれ指示を出すことはできませんし、するつもりもありません。誰でも見ることのできるHPという媒体を使って、私がどこまで何を書いていいものなのか、、、いつもいつも悩んでいます。ここに書いてあることはあくまで参考として御利用頂き、まずは御自身が充分納得行くまで主治医に説明を求め、治療や検査を進めて頂きますよう、くれぐれも、よろしくお願いします。

それからもうひとつ。
class IIIについて、と一言で言っても、実はその内容は多岐に渡ります。が、ここで取り上げるのは、扁平上皮系の疾患である軽度〜中等度異形成(IIIa)および、高度異形成(IIIb)についてだけで、腺の異型については(頚管腺についてはもちろん内膜についても)取り上げません。すんません。(腺細胞、腺癌についてのリクエストは非常に多く、私としても最低限どんな組織でどんな細胞なのか、くらいの事は書きたいと常々思ってはいるのですが、、、m(_ _)m)とりあえず、異形成の組織図や細胞像については、クラス分類内の異形成の項目の方を見て頂くことにして、ここでは、以前アップしたIIIaと言われた後なにをするの?の続きとして、細胞診と精密検査の関係について、具体的には、細胞診とコルポスコピー、狙い組織診の3者の関係について、もうちょっと詳しいことを書いてみることにします。

 
*** 集団検診と細胞診 ***



では改めてもう一度、IIIaと言われた後なにをするの?でいきなり、集団検診だの、自覚症状があっての検査だのと、書いてしまったことを、具体的に説明してみましょう。

集団検診
集団検診というのは、一般には各地域ごとに行政が行っているものを指しますが、内容的には、企業の行っている職場検診や、人間ドッグなどで行っている検査の大半もこれに準ずるものだと思います。
要するに、出血したとか、お腹が痛いとか、そういった自覚症状が何も無い状態で受けることを前提にした検査であり、細胞診検査と内診を中心にした、文字通りのスクリーニング検査=異常のある人をピックアップする為の検査だ、ということです。
左の絵では検診バスを描きましたが、実際には市町村によってそれぞれ、バスであったり、保健センターであったり、地元の産婦人科医のところに市から配られたハガキを持参すればよかったり、色々だと思います。
いずれにせよ、問診→膣鏡による観察→細胞診採取→内診、でワンセット、の場合がほとんどでしょう。

少し余談になりますが、検査をする時の問診というのはなんの検査に限らず非常に重要ですので、勝手に省いてしまったりすることなくきちんと答えるようにして頂きたいと思います。子宮がん検診では、実際に看護婦さんや医師などの担当者が色々と質問する場合や、渡された用紙に自分で記入する場合があるかと思いますが、その内容には、最近不正出血があったかどうか、かゆみがあったかどうかといった、いかにも検査に関わっていそうな質問の他に、結婚歴や妊娠出産の回数など「え?なんでそんなことまで教えなくちゃいけないの〜?」と人によっては不満を感じたり、疑問を持つ内容もあるかと思います。けれど、それらはみな検査の時の参考になることばかりですので、できる限り正確に答えて欲しいのです。もう少し具体的に書くと、例えば、出産回数が多ければ頚癌のハイリスクを、無ければ体癌のハイリスクを想定しながら検鏡しますし、結婚しているかどうかは、妊娠の可能性を(結婚していなくても妊娠の可能性はありますが)大きく考慮する必要があるかどうか、などに関わってきます。
ことに絶対に忘れず書いて欲しいのは、
現在の年令(生年月日)と最終月経がいつだったかです。
子宮内の細胞は、加齢によっても、また、月経周期の時期によっても、同じ人とは思えない程に変化します。高齢で閉経後の方のスメアに若い人と同じような内膜細胞が出ていたら、増殖傾向のあるなんらかの病変(場合によっては癌かもしれない)があるかもしれないし、若い人のスメアが、ホルモン活性の無い状態だったら、それはそれでなんらかの異常がある証拠かもしれません。問診で尋ねていることは、全て検査を補完するための重要な情報源なのです。検査をする私達には秘守義務があり、外にもれることはありませんから、省略してしまったり、ごまかしてしまったりすることなく、どうぞ正確に伝えて下さい。


 ○臨床の皆様へ:問診票の不備は、検査精度に著しく影響します。年令と最終月経の記載は特に重要です。後から問い合わせる手間を省くためにも、必ず確認して提出して下さい。(泣)くれぐれもよろしくお願い致します。m(_ _)m

さて、話しを集団検診に戻しましょう。
自覚症状が無い人を検査する、のが集団検診の基本で、多くの場合、コルポスコピーは省略されます。
平成9年11月に発行された「子宮がん検診の手引き」(社団法人 日本母性保護産婦人科医会発行)を見ても、「検査項目は、問診、視診、子宮頚部の細胞診および内診とし、必要に応じてコルポスコピーを行う」とあり、実際にWeb上で色々な自治体が行っている子宮癌検診の説明を検索してみるとわかりますが、一次検診でコルポスコピーの導入を行っている自治体は(皆無ではないようですが)、ほんのわずかです。
何がいいたいのかというと、繰り返しになりますが、集団検診というのはあくまでも症状の無い状態から異常をピックアップすることが主目的であり、何か問題があった場合の検査とは少し質が違っている、ということです。

では、集団検診とそうでない検査の場合とで、どこにどう違いがあるのかを書く前に、まずはその基本である子宮頚部における擦過細胞診というものがどういうものか=どんな場所から取った、どんな細胞を見るものであるかを、もうすこし詳しく書いてみましょう。



細胞診で採取される部分と細胞像

細胞診は、上の絵の右下の組織図、水色の線と「↑」が現しているように、浅く組織表面全体を撫でて細胞を採取する検査です。(この図は、あくまでもイメージ図であって、実際に一番上1〜2層だけを取っている、というワケではありませんので、そのつもりで見て下さい)また、採取される範囲(広さ)は、この絵の左側のコルポ像(膣の側から子宮頚部を覗いて、コルポスコピーで拡大したものの略図)のピンクの丸に点々で書いてある水色の点線部分、全体からです。 (子宮の詳しい構造については こちらの図を御覧下さい。また、コルポの図は後でもう一度出てきます&そこでもう少しコルポ診について詳しい説明をしますので、ここでは、こんなもんだ、って感じで見て下さってかまわないです。)
浅く広い範囲の細胞を一枚のスライドグラスに載せて端から端までを丁寧に検鏡するのが細胞診検査であり、実際の標本では、絵の右上部分のように、様々な細胞を一度に沢山観察することになります。

ここで先ほども書いた「子宮がん検診の手引き」に基づく子宮頚癌検診の検査手順について、もうちょっと詳しく説明してみましょう。

一般的には、

問診 → 膣鏡を挿入 → 頚部の状態を視診で確認 → 細胞採取 →<<必要に応じて>>コルポスコピー(酢酸加工無し→有り)を使っての観察 → 子宮の位置や硬度、卵巣の性状などを調べる内診 (→ 場合によっては経膣超音波検査も追加)

というのが標準的手順であり、コルポスコピーを行うかどうかは、医師の判断(またはその施設の方針等)によります。
出血やかゆみといった自覚症状の無い人の場合、膣鏡で見て分かるような頚部の異常所見は無いのが普通ですから、多くの場合コルポ診を行う必要はなく、だから浅いが広い範囲の、(視診で確認できない)情報を一度の検査で得ることができる細胞診検査が、スクリーニング(異常をピックアップ)検査として用いられる根拠となっています。

検査自体にかかる時間はものの5〜10分程度、コルポを行ったとしてもせいぜい15〜20分程度でしょうから、待ってる時間の方がはるかに長かったという感想が圧倒的で(笑)、膣鏡の挿入や細胞採取時に痛みを感じる人もいるようですが、たいていは、あれ?もう終わり?というくらいに簡単に終わるハズです。
ただし痛みがひどくがまんできない時は、自分だけ特別なんだ我慢しなくっちゃ、と無理に思うことなく、はっきり言うことも大切なことだと思います。挿入する膣鏡のサイズを小さくしてもらったり、採取器具を変えてもらったりすることで、軽減できる可能性もあります。それに、イヤだということ、辛いということをきちんと伝えることも、長い目で見て医療を良くしていく重要なポイントだと思います。って、また余談ですが。

細胞診採取機具
細胞診採取機具
細胞の採取には、綿棒の他、木製のヘラや、プラスチック製のサイトピック、ブラシなどを使いますが、後からコルポ診を行う場合は、子宮口を触ったことによって出血がおき観察に支障が起きるのを嫌って、綿棒(やわらかく、血管を傷つけにくい)で採取する場合が多いようです。
右の写真の上は(前に出したものの使いまわしですが(^_^;;ゞ)一番上がサーベックスブラシ(UNIMAR社)、2番目がサイトピック(アンネ社)、下のふたつは内膜細胞の採取器具です。縮尺が違っていますが、下の写真は上の二つがサイトブラシ・プラス(曲がっている方はびらん面に合わせて曲げたもの)(帝国臓器製薬)、一番下が綿棒の写真です。

実はかって、細胞診の主流は綿棒採取でした。
ところが、綿棒採取ではどうしても表面上の粘液と共に細胞を繊維の中に巻き込んでしまってガラスへの塗沫が薄くなったり、柔らかい為採取できる深さが浅くなってしまったりするので、きちんと全面からまんべんなく細胞採取がしきれない場合が多く、徐々にその他の採取器具を使った検査に移行しつつあります。
私自身、かってはほとんど綿棒採取の標本を見ていたのですが、今はブラシを使ったものの方が多くなっていて、一旦ブラシで採取されたものを見なれてしまうと、綿棒での採取は細胞量が少なかったり、細胞がバラバラになってしまって構築がはっきりと分からなかったりで、もっと沢山細胞をくれー、情報が足りないぞー、と思うことがあります。ただし、細胞の採取量よりも、細胞の固定の善し悪しの方が大切なことも多く(細胞診検査をするためには、新鮮な状態で細胞をきちんと保存できているかどうかが、非常に重要な問題です。つまりどんなに良い器具で大量の細胞を採取できたとしても、固定が悪ければダメなのです。)、また、ブラシ等の道具は綿棒よりも高価なこともあって、全ての検査機関で移行済みというには、程遠い現状のようです。
細胞診の固定については細胞検査士イナさんのHP、Hand Made Camper Laboratoryの「細胞診--癌をみつけるために--」の中に、細胞の固定の世界へ!という特別講座がありますので、ぜひぜひそちらを御覧下さい。特に、医療関係者の方で細胞診の固定に関わることのある方!お願いですから読んで下さいっっっ!!(号泣哀願中)m(_ _)m

 
*** 異常があった場合の検査とコルポスコピー ***



さて、膣鏡で見た段階でなんらかの異常が疑われたり、びらんなどで、触ったら出血の怖れがありそうだと思われる場合などは、先にコルポスコピーによる検査を行ってから、細胞診を行います。また、前回の検査である程度異常のあることが分かっている場合など、コルポ下で観察しながら細胞を採取するということもあります。

コルポスコピーというのは、子宮口を見るための虫眼鏡みたいなもの(なんて言ったら、怒られそうですが)で、なにもいじらずそのまま拡大して観察(単純診)した後、3%酢酸溶液によって表面を加工、白濁させて(加工診)さらに詳しく観察し、表面の色や血管の流れ具合(血管像)などの差によって、異常のあるなしを推定するものです。
酢酸加工は、細胞内のケラチンをはじめとするいくつかの成分がこれによって変化し、細胞層の厚みや密度によって白っぽく色々な見え方をすることを利用したもので、上皮の種類や異常の有無によって、白く見える持続時間は長かったり短かったりしますが、いずれ消失します。
(どなたか、コルポ機器、コルポ加工前、後の写真を御提供下さいませ〜m(_ _)m)
単純診と加工診にはそれぞれ、得意不得意な分野があり、両方を行ってワンセットです。

コルポスコピーについては、今回の更新以前にも書いた通り、行政の行う健康診断での1次検診(特にバスの中での検診など)だったり、産科が中心の町の医院で検診を受けた場合などは行わないことも多いと思います。施設によっても、それぞれの受診者の状態などによっても、行われたり行われなかったりします。
中には逆に、コルポのみでスクリーニングを行って、細胞診はやらない、という施設も中にはあるようですが、細胞診をやっているものの意見としては、これは細胞診の軽視であって望ましいものではなく、ぜひ細胞診をやっている医院に転院なさることをお勧めしたいと思います。:-p
このように、集団検診を含め、最初の検査である1次検診では「必要に応じて」行われることが多いコルポ診ですが、一旦class IIIa 以上となって精密検査が必要であるという指示が出ると、コルポ診は必須となり、初診の施設でできない場合(以前にも書きましたが、バスで行う集団検診にコルポを持ち込んでいる所はほとんど無いはずです)は、コルポ診のできる施設を紹介されるはずです。
なぜ精密検査にコルポ診が必須なのかは、この後すぐ次の項目に書きますが、先にコルポ診の概要について書いてしまいます。

コルポ像
左側のピンク色の大きいな丸が、コルポ像の一例です。
コルポ所見は、簡単な略図と略号を使ったスケッチとして表わされて(場合によっては写真も)記録され、病変の広がりを把握し、組織型や浸潤深度の推定をするのに用いられます。後で出てくる、精密検査時に必須であるのはもちろんですが、問診内容と共に、私達細胞検査士が検鏡する際にも重要な所見となります。

この絵では、1990年ローマで採択されたコルポスコピー新分類に基づく略号を少しだけ書いてみましたが、この他にも数多くの略図、略号が用いられています。略語の意味など詳しいことはここでは省略します。
血管像の種類や加工時の白濁の度合いや形状、その消失までの時間などから、病変の組織分類がなんであるか、どれくらい浸潤しているかなど、コルポスコピーによって、多くのことが推定できます。

丸いコルポスコピーの略図の下の小さいひし形は、サービコスコピーといって外子宮口から頚管内部へ少し入った所を観察、記録したものを表わしています。サービコスコピーは頚部腺癌を見つける為にはもちろん、SC-J(円柱上皮ー扁平上皮ー境界部)が頚管の内側にあって通常のコルポ診だけでは見えない場合も重要な所見を得ることができる検査なのですが、まだ、コルポ診をする施設のすべてがサービコスコピーも行ってるというわけでは無いようです。

細胞診では多くの場合、子宮口部分と頚部部分は別々に(一度に両方を採取できる道具もあります)採取して、それぞれをスライドグラスに塗ります。(施設によって、同じスライドグラス上に2ケ所を塗りわけるところと、別々のスライドに塗るところとがあります。)
先にも書いた通り、膣鏡で見て異常の無い状態から、浅いが広い範囲の採取して異常をピックアップするのが集団検診における細胞診の基本的な役割なのですが、これは、見える範囲の表面をただ撫でただけの検査だともいえるわけで、運悪く視診では確認できなかった異常個所の細胞が採取できていなかった場合は、異常が発見できない、ということが起こり得ます。
採取できない、発見できない理由には色々あって、例えば粘液が多い状態だとまず最初に綿棒でぬぐい取るなどして粘液をどけないと、粘液にまみれて細胞がごく少数しか採取されていない標本になってしまいますし、出血がある場合でも同じことが起きえます。
あらかじめコルポスコピーによって頚部を拡大観察して、もし異常が疑われればそれだけ丁寧な細胞採取がなされますし、コルポ所見も情報源として追加されますから、より精度の高い検査を行うことが出来ます。
採取器具によって細胞の採取量や状態が違ってくることは上にもちょっと書いた通りですが、集団検査で出た結果と、病院で診察した時に出た結果に食い違いがある場合などは、このような手順の違いが関係してくる場合もあるのだと思います。

 
*** 狙い組織診 ***



狙い組織診とその病理組織像 さて、細胞診やコルポ診で異常があった場合は、狙い組織診が行われます。

私のHPの掲示板でも、組織診検査を行った、とか、組織診の診断結果を待って、、、という話しが頻繁に出てきますが、それはみんなこの、狙い組織診のことを言っているようです。

狙い組織診はコルポスコピー下で、病変の広がりと境界を確認し、最高病変と思われるところを中心に1〜数カ所を採取します。
切除鉗子(普通上下に開閉する、長い柄のあるものを用います=これもどなたか写真下さいませー〜m(_ _)m )で、パチンパチンと摘むように採取したものを、ホルマリンで固定し、それを薄切りにして病理標本にします。

以前私が勤めていた施設では、ドクターによって違いましたが、おおむね3〜4mmから6〜7mm程度の小さな丸っぽい組織切片を1〜多くて5、6個所程度採取し、それを順番にひとつのブロックに並べて標本にしていました。
左の子宮口部分のコルポスケッチは、先に描いたコルポ像の略図を少し省略したものですが、紫色の文字で「異常所見」と説明書きのしてある、斜線部分とちっちゃい丸ポッチが異常所見部分であり、この部分を、パチンパチンと挟み採ったのが水色の四角で囲ってある狙い組織診で採取した部分、、、のつもりです。絵の縮尺はいいかげんなので、あまり信用せず(^_^;;ゞだいたいこんなもん〜というイメージ像のつもりで見て下さい。
また、この絵では、異常所見では無い部分も採取したことになっていますが、実際には異常部分を1ケ所だけ狙って採取、ということも多く、どこをどう採取するかは、担当医の判断に任されます。

採取した組織はホルマリンで固定するとさらに小さく固まってしまい、また、実際の色はもっと白っぽい薄茶色で、どっちが上皮部分でどっちが支持組織部分なのか、たった2〜3mmの固まりの中で見分けるのは難しいことも多いのですが、切断面を目をこらして見ると上皮の側だけつるんと光って見えるので見分けがつきます。そちら側を揃えて並べ、パラフィンブロックに包埋(ほうまい)し、4〜8μ程度に薄切、染色して標本にします。(ほんとは、顕微鏡で見ると上下逆さまに見えるので、実際に標本を作る時は上皮を下側にして並べて標本を作るのですが、ここでは分かりやすいように上下を同じ方向に揃えてあります)
標本作成は病理担当の臨床検査技師の仕事です。(私も昔はやってました(^_^))




[Home] [Saibousin-Top] [page-top] [NEXT]