★最新の情報はHPV-2006-にあります。★


このページは2000年に作成したページです。ものすごく変わった部分もそうでもない部分もあります。"HPV"と検索して見に来て下さった方は必ず最新ページもご覧下さい。



HPV - おわりに -

*** 子宮頚癌検診のこれからと啓蒙・教育について ***


長々と、しかも不必要なほどに専門的にややこしく(^_^;;ゞ、書いて来たHPVについての項目も、ようやくこれでおしまいです。
あと、もうちょっとだけこの話しにおつきあい下さい。

HPV感染が子宮癌発生の中心的役割りを果たしていること、そしてHPVがセックスによって感染することはここまで書いて来た通りです。
が、だからと言ってHPVに感染したことがすぐに癌につながるものでも無く、さまざまな条件が重なって始めて癌化するらしいということも、わかる範囲で書いたつもりです。

子宮頚癌そのものは、癌検診の普及によって早期発見・治療されることが多くなり、罹患率も死亡率も下がっています。
ところが、50歳代、60歳代では減少傾向、30歳代、40歳代、70歳代ではほぼ横ばいであるのに対して、20歳代だけが上皮内癌、浸潤癌とも増加してきています。
また、上皮内癌の平均年令は、1970年代前半には44〜46歳であったのが1990年代前半には40〜41歳と、20年間の間に5歳ほど若くなり、さらに最近は発病のピークは40代前半から30代に移ったとも言われていて、これは若年者の発病の増加が平均年令を引き下げているからだとされています。

現在の癌検診の基本になっているのは、1983(昭和58)年に施行された第一次老人健康法(老健法)をもとにしたもので、30歳以上の検診が中心です。
実際に市町村単位の行政が行っている癌検診のほとんどが現在でも30歳以上を対象にしており、また、1998年に国による癌検診への補助が一般財源化されたことをきっかけに、行政地区の中には癌検診をのものを取り止めたり規模を縮小するところが出て来ているのが現状で、30歳以下の年令層は癌検診に対してはほとんど無防備に近い状態にいます。
ということは、20歳代に発癌してしまった場合は、自覚症状の無い初期の状態では検診を受けることができず、出血などの症状が出てから初めて病院に行き、進んだ病変として発見されることが多くなってしまう、ということになります。

これまで何度も何度も書いて来たように、子宮頚癌は早期発見、早期治療すればちゃんと治る癌です。
また、検査の方法も治療方法もどんどん変化し進歩していて、より早期に、より確実に見つけるための検査や、より快適な生活を送っていける治療など、様々な方法が検討され実際に行われるようになってきています。

変化、進歩している例を具体的に揚げてみると、たとえば検査方法では、検診で異形成が見つかったら癌になる可能性の高いHPV16型や18型といったhight risk 群かどうかを同定してみる、ということが検討されています。
そうすれば、もしhight risk 群だった場合は早い時期に円錐切除など治療的処置を行ったり、検診のサイクルを早めて厳重な管理を行い、病変の進行具合を確認したり、より確実に効率良くフォローを行うことができます。

また、治療法の方では、円錐切除すらしなくても済む光線力学的療法PDT:これについては、もーりんさんのHP(ここをクリック!)に体験記や、治療を受けられる病院など詳しい話しが載っています)が1999年には保険の適用となり、複数の病院で行うことができるようになるなど、より快適な予後が過ごせるような努力が続けられています。

けれど、やはり基本にあるのは、まず、きちんと毎年検診を受け早期に見つけることなのです。

癌検診の受診率は横ばいか弱冠上昇しているのですが、これは40歳代を中心に毎年熱心にきちんと検診を受ける人が増えつつあるということであって、初めて癌検診を受ける人が増えているということではなく、 婦人科の癌検診事業は頭打ち状態が続いています。
毎年きちんと癌検診を受けることのメリットは、浸潤癌として発見される割合が5年に一度しか検診を受けない場合の1/10に減る(宮城県での調査)、ということからも明らかで、実際、癌検診を熱心に行っている世代で見つかるのは異形成であったり、上皮内癌であったりと、圧倒的に初期の段階のものが多く、治療を必要とする場合でも円錐切除など子宮を温存した状態での治療で済む割合が高くなります。
もちろん、治療そのものも短期間で終わりますし、その後の生活に大きな支障をきたすものにもなりません。
が、浸潤癌になってしまってからの治療は大掛かりで子宮の摘出を伴うことも多く、治療自体も長引きますし、術後の不自由さも増してしまいます。

検査方法や治療方法がいくら進歩しても、見つけた段階ですでに浸潤癌、では癌検診の意味は半減です。
(それでも、子宮癌は予後の良い癌であることに変わりは無いので、見つかった、という事実は大切ですが。)
だから、20歳代の女性が癌検診の枠からもれているのは、子宮頚癌の低年齢化が進んでいる中、自覚症状の無い初期のうちに癌が発見できないということにつながり、この年齢層がこれから出産を迎える年齢層であることを考えあわせると、大至急対策を練らなければならない重要な問題として声を大きくしていく必要があるのではないかと思います。


では、若い世代に実際に癌検診を受けてもらうにはどうしたら良いのでしょうか?

一番に考えらるのは、妊娠時に癌検診もかならず併用して行うことでしょう。
実際、これは現在でも若い人の異形成や上皮内癌を見つける、一番の理由になっています。
もうひとつは、今世間で大きく叫ばれている性教育の中に、HPVや癌検診についての基礎的な知識も盛り込んで、性交渉を一度でも体験した人は定期的に癌検診も行うように、と教えることなのではないか、と思います。

そして、さらにもう一歩踏み込んで、子宮頚癌の若年化は初交年齢の低年齢化によるものに他ならないということもちゃんと話して、多数の相手との無防備なセックスによってHPVの感染機会を増やすことは、子供を産む前に子宮を失ってしまうというという悲しい事態を招きかねないと、しっかり知らせ、自分の将来を守るために、何をし、何を避けるべきか、教えることが重要だと思います。
もっと教育を、女性が自分自身の体を大切に、守ることのできる教育を、男性にはパートナーの体を思いやること、そのことがHPVの感染を予防し自分自身の未来の家庭を守ることにもつながるのだという教育を、できるだけ早いうちから行うことが必要だと強く感じています。


ピルやコンドームといった受胎調整方法について使い方やそれぞれの長所短所についての知識、STDも含めた性教育の徹底は、世界中の教育者、医療関係者が悩むところであり、ジェンダー運動など女性の権利問題とも絡んで、これがいい、と一言で言える問題で無いのは確かです。
私自身は、望まない妊娠、中絶を避ける意味でピルの解禁は歓迎すべきことだと思っていますし、女性の権利としての中絶も、当然のことだと考えています。

が、一方で、1999年の東京都の性行動に関する調査報告によると、高校3年生の男子の性交経験率は37.8%、女子は39%で、ナント女子の方が男子を上回っているという結果が出ており、また、初交時に避妊した高校生は男女とも50〜55%、2回目以降の避妊は「いつもした」が女子23.3%、男子38.9%と、避妊に対する若い女性の意識は想像以上に低いという結果が出ています。
避妊に対する意識の低さに反比例して人工中絶の数はうなぎ上りで、1998年の全国母体保護統計報告では20歳未満の人工中絶数は1955年を1とした場合の2.5倍以上、数の総数にして34,752件にもなっています。
経済的、精神的に無理な状況で産む必要はないのだ、望まなれない出産は回避すべきで中絶もやむを得ないのだ、、、と頭では分かっているのですが、苦しかった不妊治療時代を経験している私としては、感情的な思い入れがついつい入って、やるせなさを感じてしまう数字です。
避妊に対する意識ですらこれなのですからSTD予防を考えている割合は更に低いでしょうし、当然、HPVについてなんぞ、知識自体が一般にほとんど知られていない現状で、誰からも何も知らされることもなく、若い世代の頭に全く無いのは当然のことです。


避妊はもちろんのこと、STDや癌予防について、正しい知識を身につけることは
女性が
自分自身の体と将来を本気で考え、大切にすることに繋がると思います。

細胞検査士という私の仕事は、癌の2次予防、つまり癌をみつけてできるだけ早い時期に治療ができるようにすることです。
けれど、毎日の仕事の中で、20代前半やティーンエイジャーのHPV感染を見つけたり、30そこそこの若いうちに大がかりな治療を必要とする癌細胞を見つけたりするたびに、言い様のない無力感と、知識の普及の早急な必要性、1次予防の大切さを、とても強く感じています。

できることから、できる分だけ、少しずつでも確実に、、、は、このHP「お庭のこっこ」の常に変わらぬ基本方針ですが、今、医療に従事する者の一人として私に何かできないか、、、?真剣に考えてみたいと思っています。




★追記★ 医学の進歩にHPの作成が全然追い付かないのですが、、、。
2006年末に、最新情報としてHPVのページを追加しました。このページから4年も経っているので内容にかなりの変更があります。
ここまでの内容を覆すようなことも書いてありますが、その点については次ページの最初の方の言い訳をご覧頂くとして、このページはこのページとして残しましたのでご了承下さい。
ぜひ、次ページをご覧下さい!


[Home] [Saibousin-Top] [page-top] [NEXT]