HPV - 2006 -

*** HPV最新?事情をちょっとだけ ***

私が最初にサイトでHPVについて書いたのは、'99年10月のことでした。
気づけば、あれからもう7年!
、、、どんだけ時間経ってたんだよ、って感じですね。いやはや面目ない。

その間、HPVについての研究は飛躍的に進んで、不勉強きわまりない私なんぞ、永遠に追い付くことなどありえない勢いで、様々な事実が明らかになりました。
当然それに伴い、技術的にも政治的にも様々な動きがありましたし、現在もなお、その変化は絶えることなく続いています。
HPVと子宮頚がんを取り巻く環境は、ここほんの数年の間に、飛躍的に変化しています。

一方で、インターネットの世界もますます広く、豊かになって、様々な詳しい情報が、誰でも簡単に世界中から手に入れられるようになりました。
正直、更新もろくすっぽ出来ない、このサイトの役目は終わっていると思います。
個人が趣味で作る、個人サイトの提供する情報の、信憑性や速報性には限界があり、むろん大変な努力をなさって素晴らしいサイトを運営している方は沢山いらっしゃいますが、私自身にそれは無理だからです。

だからといって古いままの情報を、最新のものに差し替えることなくそのまま放置していた点については、もうこれは申し訳ないとしか言いようがありません。 私本人が研究者ではない、一介の検査技師の趣味のサイトとはいえ、怠惰だと言われればその通りです。
今回の更新には、研究者の間ではいまさらな話題も含まれますが、私のスキルではこれが限界です、必要最低事項はできるだけ載せたつもりでいますので、どうぞご容赦いただきたいと思います。

また、過去に書いたものに関しても、辞典や辞書であるなら最新のものと差し替えるのが普通だと思うのですが、ここは私個人のサイトですから、サイトの遍歴として、そのままの形で残すことにしました。現在の情報とは食い違っている部分もありますが、その当時の段階での私の知り得た最新、最良を書いての結果ですので、ご理解頂きたいと思います。
そう書いている現時点での情報も、来年以降にはひっくり返っている可能性のあることも、留め置き下さい。
もっと詳しい情報は、専門サイトを検索していただければと思います。

ここを御覧になった読者の皆様が、知識を得ることで少しでも前向きな気持になれること。
今も昔も、その目的だけはずっと変わらないつもりです。
少しでも、参考になれば幸いです。



さて、Q&Aを掲載したのを最後に、HPVについて4年も(!科学の進歩にとってとんでもなく長い時間です;)更新をしなかった私が、今回覚悟を決めて更新をするのには、きっかけがあります。
それは、今年になって知った(私が不勉強なせいです;)、アメリカの研究で 性活動の活発な人は、当然HPV感染の機会は多いが、そのことと、子宮頚がんの発生に因果関係はないということが分かった、という情報です。

驚きました。
以前は、HPVの重複感染に、因果関係はあるとされていたはずです。私のサイトもそれに基づいて、さまざまな提言をし、がんにならないよう、自分の子宮は自分で守ろうという、呼び掛けをしていたのです。
むろん今でも、自分の子宮は自分で守ろうという主張は正しいし、下げるつもりも必要もありません。
が、どうやらことHPV感染に関してだけを絞って言うなら、それは当てはまらない情報だったらしいのです。

具体的に書くと、

・HPVを排除できる人は、何度感染しようと、いつの間にか自然に治ってしまうらしい。
・一方で、排除できない人は、たった一回の感染でも細胞内にHPVが居座ってしまう(=持続感染する)らしい。
・つまりこれは、その人その人(その時その時?)の、個人の免疫力の差によって、癌になってしまう人と、そうでない人が分かれてしまうということらしい。


子宮頚がんの原因が、ヒトパピローマウィルス(HPV)の感染であるという点は、このサイトで最初に書いた頃の、”ほぼ”、という曖昧な言い方はすっかり影を潜めて、子宮頚がんの99%以上の原因であると限定されるようになりました。
子宮頚がんの原因はHPVである、これはもう 揺るぎない、世界の常識 です。

一方で、HPV-DNA検査の普及に伴いHPVの感染率についても多くのデータが取れるようになりました。
その結果、30歳未満の女性の感染率は15〜25%程度もあり、50〜80%の女性が生涯に一度は感染することのある、非常にありふれたSTIであることが、はっきりしました。
(STI=Sexually Transmitted Infection:以前のSTD=Sexually Transmitted Deseaseという言葉ではなく、最近はこちらを使うようです)
HPVは、以前の予想をはるかに上回るほど、ごく一般的なウィルスだったのです。

また、持続感染は、HPV感染者のうちの10%程度に起き、それは高リスク型HPVが原因であることもわかりました。
その先、HPVに持続感染してしまった細胞が、どれくらいの割合が前がん病変に移行していくかは、感染した型ごとに率が違っているようで、16型の場合は40%が移行してしまうという高率で、残りの型の場合はおおよそ10%程度が前癌病変へ移行するとされています。



子宮頚がんの発症率は0.01%




つまり、セックスをしたことのある女性の、五〜八割が一度はHPVに感染することがあるのに、癌になってしまう人は、そのうちのほんのわずかしかない。
子宮頚がんは、HPVというありふれたウィルスの引き起こす、ごくごくまれな合併症 だと確定したのです。

 参照:ACCP(Alliance for Cervical Cancer Prevention) *別窓が開きます。


子宮頚がんの要因 感染後のがんの発症の要因は、右の表に揚げたとおりです。
当然ながら、自己免疫不全であるHIV感染者において、癌になる率は上がっています。
喫煙ががんの原因であることは、何も子宮頚がんに限ったことではないし、早婚や初交年令の低さは免疫力の未成熟さを表わすのかもしれません、多くのお産を経験して妊娠期間が長くなれば、妊婦の体力、さらには免疫力への負担は大きくなるでしょうし、高濃度のホルモンに長時間さらされることにもなるので、その影響もあるでしょう。

ただし、あくまでこういう要因のある人に発症する率が高い、というだけで、これらの要因のどれにも当てはまらなければ安心だ、という意味ではありませんのでご注意を。

もうひとつ。初期の細胞異型の場合、年齢が30歳以上である、喫煙している、などの条件によって、病変が存続してしまう率が高くなるらしい、という報告があります。
それらの条件によって病変が持続するだけ=治りもしなければ、がんにもならない、同じ状態でずっと続いてしまうらしい、ところがポイントです。
病変が進展してしまう=がんになるわけではないのです。
どうやら悪くなるにはもうあと何か、HPVに感染したことによって細胞内の遺伝子に変異が起き、その細胞ががん化する必要があるようです。
一番上に書いた、性活動の活発なことと子宮頚がんの発生に因果関係はない、というのは、おそらくこのことからくるのでしょう。
ただし、どの遺伝子が何によってどう変化していくのか、その辺りの具体的なことはまだまだ研究途上で、門外漢の私の耳に届くほどではありませんでした。

ずっと感染しなかった人が、今回はHPVを排除できなかったようだとか、逆に、免疫力が高まったことによって、居座っていたHPVをちゃんと排除できたらしい、とか。
年令や、環境や、その時々の体調や、その他の要因の何が自己免疫と関わり、何ががん化に関わるのか?などなど。
具体的なことが判ってくるのは、まだまだこれからだと言えます。



HPVに感染しても、10-20代の女性では、約70%は1年以内に、約90%が2年以内にウィルスは消えるとされています。
若い人の免疫力は高齢者よりも高く、当然HPVの排除能力も高いので、多くの人は感染したことにすら気づかずにやり過ごしているのです。
では若い人は感染しても心配ないのか?というと、もちろんそんなことはありません。
現実に、20代の若年者の子宮頸がん罹患率は著しく上昇しています
一見、例の、感染機会が多くても発病との因果関係は無いという報告とは矛盾しているようにも思えます。が、よく考えれば、若いうちにHPV感染にさらされる機会が無かった(若いうちにセックスをする機会の無かった)一世代上の時代とは違い、今はもっと若い世代がどんどんセックスを経験しているせいだと判ります。
感染母数が増えれば、どんなに若い人は抵抗力があるといっても、中には発症してしまう人が出てきてしまうだろうし、結果、総数も増えてしまうのは当然でしょう。

若い世代の増加率は本当に驚くばかりで、このサイトでHPVのことを初めて書いた7年前には、20代前半で初期がんが見つかるようになったと驚いていたのが、今ではもうしょっちゅうです。毎日の検査をしていて、実感として若い世代の病変が増えていることを感じます。
晩婚化が進み、出産の高齢化が進み、少子化問題だと大騒ぎしている中、若いうちに子宮がんになってしまう人が増えていることは、もっともっと問題にして、皆が意識してもいいはずです。
私達は、性体験において、一世代前の人たちの常識の通用しない、新たな時代に入っています。
今までとは違う考え方、今までとは違う教育方法を、皆が早急に受け入れなければいけません。


下のイラストは、HPVに感染しても多くが自然に排除してしまうところを表したつもりです。
グラサン姿の悪者HPVのうち、16型、18型は世界的に感染の割合の高いタイプで、日本ではその他諸外国に比べて52型、58型の割合が高く、またいくつかのHPV型の混合感染も50%近くと多いようです。


HPVのほとんどは自然に排除される




ただ、繰り返しますが、それが低リスク型のものであれ、高リスク型のものであれ、HPVに感染することは少しも珍しくないことです。感染してもほとんどが排除され、滅多に悪性化することも無いので、HPVに感染したこと自体を悲観する必要は全くありません。

もちろん、クラミジア等、他のSTIが、性活動の活発化によって蔓延し、不妊症等さまざまな問題を引き起こしていることは問題ですし、それらの感染によってがん化の危険度が上がることが、完全に否定されたわけでもありません。
なんの心配もなく、すっきり全部安心、というわけにはいきません。

増える一方のHIV感染の予防にコンドームが一番大切であることも、変わらない事実です。
HIVは、HPVよりもずっと感染力が弱く、コンドームの使用が有効だからで、蔓延するSTI防止のためにもお互いのことを考えたセックスをしましょう、という考えになんら変化はありません。

HPVとコンドームの関係については、オーラルセックスが一般化した現在では、感染率の高いHPVに使用しても予防的意義は薄いという報告がある一方で、やはり挿入時からの装着は予防効果を高めている、という報告もあります。
男性性器の場合、前立腺に多くのHPVが溜まっているらしいとも、亀頭や冠状溝の方に多くあるとも言われていますから、いずれにせよ、コンドームの効果が全く無いということはないのでしょう。

ただ、男性の場合、問題となるのはイボを作る低リスク型のHPVについてばかりで、ほとんど症状の無い高リスク型の感染の有無を問うことに、あまり意味はありません。
男性だって1回のセックスでそのままずっと、HPVを保持している人もいるかもしれない、何度感染してもさっさと排除できてしまう人もいるかもしれない。
HPVが陽性だったからといって、その男性が不貞だとは限らないし、その逆もまた言えるのです。
そもそも、癌化しない男性のHPV感染についての研究はほとんど無く、その辺りの詳しいことは未知なままですし、男性のHPV感染の有無を検査するのは、研究目的などで一部医療機関が行っているだけで一般的ではありません。

*ここでちょっと注釈です。HPVはウィルスですから、麻疹やインフルエンザと同じでワクチンが効きます。 実際、欧米では予防的ワクチンを、実験ではなくそろそろ臨床の現場で使おうというところまで、来ているようです。
このようなワクチンを打ってできる免疫は血液中の抗体価が高く、一度出来てしまえば二度と同じウィルスには感染しなくなります。
それに対して、自然感染でできる抗体価はそれほど高い血中濃度を示しません。そのため再感染しないとはっきり言うことは出来ませんが、だからといって血中濃度が低いことが必ずしも免疫力が低いことを示すわけでもありません。 自然免疫の場合、血中濃度は低くても直接接触する粘膜部分での抗体価は高いので、実際の働きは強力なのです。夫婦間などでの再感染をやみくもに心配する必要はなさそうです。
いずれにせよ、免疫が上手く働かずウィルスが排除できないまま、感染が持続してしまうと、何年もかけて細胞が悪性化してしまうことになります。

ウィルスを排除しきれずに持続感染してしまうのとは別に、同じ人が何度もHPVに感染してしまう場合もあります。これは前節にも書いた通り、HPVには全部で100種類以上、女性性器に感染するものだけでも30種類以上もの種類があることによって起こります。
冬の始めにインフルエンザワクチンを打っても、大して効かずに酷い目に会ってしまうことがあるのは、その年ごとに流行する型が違ったり、ウィルス自体が形を変えて新型に変化してしまったりするからですよね?
HPVは、インフルエンザのようにウィルス自体がしょっちゅう変成して型が変わっていくということはありませんが、その分既に沢山の型があるので、せっかく一つの型に対して免疫ができても、他の型のものに感染してしまうことがあるのです。

例えば、欧米と日本では感染しているHPV型の割合が大分違うので、欧米で有効なワクチンをそのまま日本で使っても、効果は少なくなってしまうと考えられています。
どのワクチンを使用すれば最も有効かは、大規模な調査結果を待たなければなりません。 また、接種を行うのは小児科なのか、それとも産婦人科なのか等、性行動を伴って感染するウィルスであるだけに、教育も含めた慎重で充分な議論が、今後必要となってくるでしょう。



なんだよ、HPVで癌になるだの感染予防しろだの、散々脅かしやがって、と思われたかもしれません。
一方で、現実として若い人の子宮頚がんが増えているなら、もしかしたら自分は持続感染してしまうかもしれない、やっぱり怖いわ、と思われる方も居るでしょう。

どちらもその通りです。
だからこそ、ここで再び三たび、声を大きくして、言わなくてはいけません。

子宮頸がんは、誰もがなる可能性のあるがん ですが、きちんと定期的に検査を受けて初期病変のうちに治療してしまえば、妊娠も出産も可能で、少しも恐れる必要のない『予防できるがん』なのです。

定期的に検診を受けて、自分の子宮は自分で守りましょう。

形態学検査である細胞診の基本について、あまり大きな変化はありませんが、行政の対応やHPV検査技術については、このサイトを開設した当初と今とでは大きく違っています。
それについてもう少しだけ書きます。

 

 


*** 子宮がん検診を取り巻く環境の変化、いろいろ ***



子宮頸がん検診について、サイトを放置している間に起きた(汗)もっとも大きな変化は、検診を受診できる年齢が、2004年に、これまでの30歳以上から、20歳以上まで引き下げられたことでしょう。

「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」の一部改正について(厚生労働省ホームーページ内。クリックで別窓が開きます)

これの、第3がん検診>1総論>(2)対象者>イのところです。<細かい;
『子宮がん検診については、当該市町村の区域内に居住地を有する20歳以上の者を対象とする。』とはっきり書いてあります。以前より一挙に10歳も若くなりました。すごいっ!
これまで、若い人が受けなきゃダメだ、若い人にこそ受けて欲しいと思っていても、何の自覚症状もない若い人が自費で検診を受けるのは、正直、敷居が高かったと思います。それが、

『がん検診等については、平成16年度中に全ての市町村で改正後のがん検診指針に則して事業が実施されるよう、貴管下市町村及び関係団体と連携を図り、特段のご配慮をお願いする。』

となったのです。なんとも頼もしい。(笑)
これでとりあえず、お金の心配をすることなく、全国どこでも20歳から子宮頚がん検診が受けられるようになりました。

子宮頚がんは、HPV感染直後にがんになってしまうわけではありません。
ほとんどが(ごくごくまれに急性変化する例も無くはないです=何事にも例外はつきものです)数ヶ月〜数年の感染期を経て前がん病変に至り、その後さらに数年〜十数年に及ぶ期間を経て、がんになっていきます。
20歳からカバーできれば、初交年齢がかなり低くて、感染による細胞の変化が始まってしまっていても、ちゃんと前がん病変のうちにキャッチできます。
くどいほど何度も書きますが、子宮頚がんは、早期発見、早期治療すれば、妊娠も可能だし出産もできる、少しも恐れることのないがんなのです。
『セックスを経験したらがん検診を受けましょう!』は貼りっぱなしになってる私のサイトバナーですが、金銭的に問題が無くなったからには、もう言い訳せずに、20歳を越えたらとっとと検診を受けるべき(新たな標語?(笑))、です。

検診実施機関は市町村ベースなので、もよりの市役所に問い合わせをすれば、いつどこでどうやって受けたらいいのか、それぞれ教えてくれるはずです。必要なのは、最初に検診に行く勇気だけです。

実は良いことばかりじゃなくて、検診の実施回数が『原則として同一人について2年に1回行うものとする。』となってしまって、あらら;な所もあるのですが、それについては、最後の方に書きます。



もう一つの大きな変化は、かつては研究機関でしか調べられなかったHPV-DNA検査が、ぐんと身近なものになったことです。
以前Q&A内で、HPVのDNA検査は研究機関でしか行われていないと書いたことがありますが、今はもっと簡単に、もっと安価に検査を受けることができるようになりました。

HPV-DNA検査 HPV-DNA検査は、子宮頚部からブラシや綿棒などを用いて拭ってきた検体から、ウィルスのDNAを検出する検査です。
細かく、どのタイプのHPVなのか型を割り出すものも、大雑把に高リスク型の有無だけを検出するタイプのものも、両方あります。(その分値段に開きはあるようです=まだ保険がきかないので自費で払うしかありません。ちなみにだいたい5千円〜1万円くらいのようです)
病院で細胞診標本と同時に採取するのが、今のところ一般的だと思いますが、膣粘液からでも検出できるので、自己採取法でもきちんと結果が出ます。
自己採取法での郵送検査を実施する施設も、少しずつ出てきています。

HPV検査は病変検出感度96%、つまりCIN2以上の患者100人に対し検査を行った場合、96人にちゃんと陽性の結果がでる、非常に高感度な検査です。(CINの用語解説表はこちら。国内での細胞診分類と違うのがややこしいですが、HPV検査については国際基準に合わせてCIN分類を使うのが一般的です)
ですから、頸部に病変があれば、ほぼ確実にHPV陽性と出ます。

ただし、一度の検査で陽性であっても、その後ウィルスが排除されて陰性になる可能性の方が高いので、陽性であることをむやみに心配する必要はありません。
半年〜1年ごとに検査してみて、毎回陽性であった場合は、持続感染していると考えられるので、がんになる可能性は高くなります。
いずれにせよ、HPV検査で高リスク型HPVの有無を確かめ、細胞診で実際に病変があるかどうかを見て、早期の異常があれば、それを確実に発見し、がん化していかないか、しっかり見張っていれば大丈夫です。

逆に、HPV検査が陰性で、細胞診にも異常がなければ、当分、子宮頚がんになる可能性はありません。
アメリカでは実際に検診にHPV検査を導入していて、細胞診と両方が陰性の状態が続いた場合、次の検査は3年後で良いとしているそうです。
これも、HPVが99%子宮頸がんの原因であると確定したからできることですね。原因となるウィルスが存在しないとわかれば、がんの心配はいらないのです。
これについては、先ほど後で触れるといった隔年検診のことも絡めて、またちょっと触れます。

30歳以下の女性の場合、ウィルスが排除される場合が多く、それと同時に、パートナーが固定せずに新たなHPVに感染する機会も多い→その後排除される可能性も高いので、HPV検査をする意義は少ないとされています。
もっともこれは欧米での話で、私自身は、若年者のがんの割合の高い日本では、本人の希望があるなら若年者でもHPV検査を行って、しっかりと追跡調査をするべきじゃないの?と思っています。
少なくとも、高リスク型に感染していることが判れば、検診をすっぽかす率が減るんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。


あらでも、私の通ってる医院ではHPV検査なんて全然話しにも聞いたことないわ、、、。
そう思われた方もいるかもしれません、というか、ほとんどの方がそう思ったかもしれません;;
実は、検査する側の打ち明け話になりますが、もうすでに検査の体制は整っているはずなのです。というのも、バスや体育館で行うような集団検診は別として、医院で細胞診検査をしているような所なら、どこの医院でもほぼ間違いなく何らかの形で検査センターと関わりがあるはずで、その検査センターの方は既にほとんどの所で、HPV-DNA検査を受け入れられる体制になっているからです。

貴女の通っている医院でHPV-DNA検査を受けられないのは、そういう需要がないからです。
興味がある、検査してみたいと相談したら、ひょっとしたら検査を受けられるようになるかも?しれません。

自分の体のことは、医者任せ、政治任せにせず、自分で知りたい、守りたいと思いませんか?

自戒を込めて自分も含め、動きの遅い検診事業者側のやることに任せず、検査を受ける側のもっと能動的な働きがあると、よりよい検診が受けられるようになるのではないかと思います。



最後に、先延ばしにしていた隔年検診についての話と、それに絡めて検診の受診率の話を書きます。
さきほど検診のできる年齢を20歳まで下げたのはえらい!と書きましたが、一方で、毎年受けられなくなってしまったことを私はとても残念に思っています。
政治的なことはよく判りませんが、おそらく年齢を10歳も下げた分の財源を確保するのに、子宮体部検診をやめた(のです。はい。もっともこっちは頚部と違って初期病変のうちから不正出血があるので、わざわざ検診にしなくとも発見しやすいという事情があります)だけでは、足りないからかなぁと思います。
あとはもう一つ、さきほどのアメリカのように、3年ごとの検査で大丈夫だという海外の報告があったからかなぁとも思います。

当て推量でしかないのですが、もしそうならば、むろん大間違いです。
アメリカでの検診期間の延長は、細胞診とHPV検査を併用して、高リスク型のHPVが無い=当分がんになる可能性が無い、と複数年にわたって充分確かめた後だからこその、3年ごとなのです。アメリカだって、ちゃんと初回から最低3年は毎年検診を受けるように指導があります。
今年の細胞診で異常が無かったから来年も無いでしょう、受けなくていいですというのでは不十分です。
「なぜ検査結果がくいちがうの?」の項目で詳しく書きましたが、今年の検査でがんが無かったのは(まぁまず間違いなく本当にがんが無かったからだ、とは思うのですが)、でもひょっとしたら細胞の採取量が不足していたり、炎症が強くて紛らわしかったりで、たまたま見つからなかっただけかもしれない、のです。

感染から異常細胞が出るまで、ましてやがんになるまでは何年もかかると書きましたが、それでも一旦病変が進み出すと、あっという間に進んでしまう場合があります。
毎年の検診だったら、そんなに広がらないうちに発見できたはずの病変が、間が空いてしまったために一気に進んでしまう可能性だってあるのです。
例えば、毎年誕生日前後に検診を受けていたのに、隔年になったがために面倒になってしまうということは、ほんとに無いですか?そのまま何年も間を空けてしまったら?その間に万が一が起きてしまって、がんが進んでしまったら?
笑い事のようですが、実際もうすでに、隔年になったせいで検診率が低くなった、という報告があります。
毎年検診を受けていれば、早期に発見できたはずのものが、そんなことになってしまうのは残念です。

さらにさらに残念なことに、この、検診率が、我が国は世界の先進国の中で、ダントツといっていいほど低いのです。
欧米は平均80%程度、先ほどの例のアメリカなら、2002年の調査で18〜44歳の女性の検診受診率89%(!)という値です。
それに対して我が国の受診率は、行政の行っている分だけだと20%足らず、職場や人間ドッグなど個別で行っている分まで掻き集めてもようやく30%にいくかいかないかです。
毎年ちゃんと受けている人が、ずっと異常がないから来年は受けなくてもいいですよ、というのと、滅多に受けない人が、今年は異常がなかったから来年もたぶんないでしょう、というのとでは、意味が違います。

初期のうちにがんを見つければ、その分治療は簡単に済み、崩壊間際といわれる健康保険を沢山使わずに済むはずです。
予防医療にこそ、お金と手間と時間をかけても、無駄にはなりません。ぜひ隔年検診の再考をお願いしたいと思います。

そして、こんどこそ最後に。

私達細胞検査士がどんなに一生懸命検査をしても、HPV検査がどんなに正確に高リスク型HPVの感染を検出しても、

検査を受けていない人のがんは、見つけることができません。

がんになった人の調べてみると、ほとんどの人が検診を受けていなかった、という調査結果があります。
税金を払っている人が検診に行かないのは、せっかくのお金を無駄にして、損をしてしまっていることでもあります。

誰もがあたりまえに検診を受ける日が来る事を、心から願ってやみません。




細部に渡り学術的なアドバイスをして下さった、金沢大学の笹川先生、 ならびに、私の力では手に入れることも叶わない数々の論文や統計資料を提供して下さった、三菱ヤトロンの松岡さんに、心より感謝致します。
私のような不勉強者が、現時点での最新と言える情報を書けたのは、お二人のおかげです。 本当にありがとうございました。





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