音戸山通信 2004/04/11

カンボジア旅行記より 第三日目の1

 今日は午前中に、市内から北西に40kmほど離れたバンテアイ・スレイ寺院を見学し、午後から南のトンレサップ湖に行く予定である。朝、用事があって、市内のマーケットに立ち寄った。夜中の2時ごろまでわいわい賑やかなあたりだが、朝はもう店が出ているものの、まあまあ静かである。青白いきれいな花をたくさんつけた樹木があった。後で友人に聞けば、サルスベリの仲間だという。隣でガソリンをペットボトルに入れて売っている。バイク用のものであるが、赤いものが高く、黄色いものは安い。赤いものでないと、バイクがすぐに壊れるのだそうだ。オートバイはやはり日本製が人気があり、中国製は安いが、すぐに壊れてしまうのだそうだ。多くは中国やタイで見たのと同じ125ccである。

朝の市内中心部 路上マーケット              ガソリンをペットボトルで売っている

 アンコールワットに向かういつもの道ではなく、東に新しくできたバイパスを行くと、途中できれいな沐浴場スラ・スランに出る。ここは翌日見学する予定。森の中を走ると遺跡が目の前に現れた。プレ・ループである。中心にピラミッド状の基段があり、5基の塔がある。バスから見えるのは東に面している左右に3基ずつある塔門。停まることもなく、バスはさっさと目的地へと急ぐ。途中からシェムリ・アップ川と出会い、ほぼその上流に向かう。このあたりでは道路沿いに家が見かけられる。かつてポル・ポト派によって埋められた無数の地雷で、人が住めなくなってしまったが、近年、アメリカや日本の援助で地雷が撤去され、人が戻って来たとのこと。それでも地雷はまだその向こうの森林には埋まっているので、危ないのだと。

途中で見かけた遺跡 プレ・ループ

バナナの葉を巻いた屋根葺材を運ぶ女性

バンテアイ・スレイ

 バンテアイ・スレイは、アンコールワットよりも古い10世紀後半の建築。赤い上質の砂岩でつくられた小振りのヒンドゥー教寺院である。「女の砦」という名前にふさわしく、細かい装飾が肌理細やかに配され、小さくまとまりのあって愛らしい。全体は東に向けられ、3つの壁によって囲まれている。

東門

 

発掘調査を行っている案内図があった

参道の風景 両側にリンガを模した牌が並ぶ

参道途中の門で

第一周壁の門

同上 破風飾り 独特の形態は波模様ではなく、ナーガ(大蛇)と言われている

第二周壁の門とレリーフ ラクシュミーに象が水をかけている

 

中央祠堂と北塔  各建物の正面に一対のシンハ(獅子人)が置かれている

北塔の北側のレリーフ 開かない扉

経蔵の破風端に彫られたシンハを支えるマカラ

第二周壁を廻る濠 南東から望む全景

参道の脇で楽隊が演奏をしている 地雷で脚を失った人たちもいる 樹の葉による草笛がリードしている

 帰り途中、沿道の民家に立ち寄った。高床式の粗末な家が並んでいる。雨期にはどのくらい水が出るのだろうか。高低差があまりなく、川幅も狭いところから、おそらく、ここら一体は水没するに近い光景となるのかもしれない。飲料水は各家ごとに井戸を掘っているようだ。水かめにはきれいな水があった。簡素な切り妻の家が多く、壁も屋根もバナナの葉を葺くものが多い。昼間は陰でハンモックで寝ている姿をよく見る。子供たちの姿もよく見るが、学校は最近、日本の援助などでどんどんつくられているそうだ。学校は無料ときくが、物売りを手伝う子供もよく見かける。

ほとんどの住宅はピロティの2階建て

子供たちとハンモック

ジャングルの果実やさとうきびから取った砂糖を売っている

この家では10人の子供がいるそうだ

市内にある子供病院 たいへん美しい設計である

子供病院の夜景 ルーバー(日除け格子)は竹

  

(文と写真 さのはるひと)