負けるな女の子(2)

(* 2002.01.30のつれづれより抜粋 *)

負けるもんか、こんなオヤジになめられてたまるか。
目をこれでもかってくらい見開いて、おっさんに低く静かに言い放った。

ジャンパーめくっていいですか?

そのとき初めておっさんの顔を確認。酔っ払いだ。顔が赤い。酒臭ぇ。
おっさん、気まずそうに私の膝からジャンパーをのける。
周囲の人は、何があったのかわからず「???」といった状態。
それまでうつむいてた私は顔を上げて、
おっさんの顔をキっとにらみつけていた。ずっとずっと。
そしてひたすら考えていた。

このおっさん、どこで降りるんだろう。
あわせて降りて捕まえてつきだそうか。
あぁ、でも私が降りるときに降りなかったら後が面倒だなぁ。
その前に、ダッシュで逃げられやしないだろうか。
あ、でも、走って逃げたら罪を認めるってことだよな。追いかけようか。


おっさんはというと、ちらっと私の顔を見た後は、
社内吊り広告を見てるふりして、視線を宙に泳がせている。

え〜、次はぁ〜新宿〜、新宿でございます〜。・・・

おっさんの体がぴくっと動いた。私はおっさんの目を見た。おっさんと目があった。苦笑いしながらおっさんの口が開いた。

降りよっか、お嬢ちゃん。

(え!なに!?自首してくれるの!?うわぁ案外ワケないじゃん。)
私はちょっと声をやわらげて、じゃぁ、行くとこ行きましょうか(にこにこぉ)と言いながら、
おっさんが着ていた紫色のトレーナーをぐわしっとつかんだ。

 

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