小林会長の「時節一言」 過去の掲載文 |
第52回目掲載 「時節一言」 「文化の光を見出したい」 会長 小林正明 平成22年度 定期総会 会長挨拶より |
皆様、こんばんは、夜分、肌寒いところご出席ありがとうございます。なんともすっきりしない天候がつづいておりますね。今この時期、晩春の季語に「蛙の目借り時」とか「田鼠(でんそ)化して鶉(うずら)となる」というのがあります。春深く眠りもようして、眠くてたまらない夜が続く。冬眠の蛙が人の目を借りてしまうから一層眠気をもよおす。田鼠(でんそ)とはモグラのこと。この時期には、モグラが小鳥のウズラになるという。この時期の動物の活気を幻想的にあらわすおもしろい季語だなあと思いませんか。ところが、この天気では、「春眠暁を覚えず」どころか寝ていても眼が覚めてしまう。
「宇宙から見た地球美しい」とは女声宇宙士山崎さんの一声、ところがどうも地球の方がおかしい。アイスランドの火山噴火、中国青梅省の大地震、タイ国やギリシャの暴動、そしてわが国の米軍基地問題など、これから一体どうなるのか。人々の不安は大きい。
「国をはじめ地方財政の困窮は、文化団体の活動に光より陰のほうが急速に大きくなっている。今年度は助成金20%の減額です」と過日の道文協理事会での阿部会長のことばです。
このような状況下で、当文協は各団体、高齢化と後継者不足や活動資金の不足という問題を抱えつつも「市民文化祭」に現れるような事業活動を通して、一丸となって研鑚努力を重ねている。先人の築いた成果を踏まえ着実に歩み続けている。「町づくりは人づくり、人づくりは文化づくり」市民のために寄与しているのは確かだ。皆様の精進努力の中で、このことを共有できていることを誇りとしたい。常に理事、役員、事務局が一体となって邁進していることを誇りとしたい。当会の自慢、それは加盟団体の結束力、この努力エネルギーの蓄積を私は「市民信用の地域文化力を身につけた」と称したい。
地域文化の創造と発展の役割をみんなが体験している。
今年度も皆様のご理解、ご協力に改めてお礼と感謝をいたします。
さて、この後、昨年度の事業について報告がありますが、8月、北海道及び北海道文化団体協議会の要請を受けて、中国黒龍江省芸術団の公演を成功させました。11月、
白石市文化協会との交流事業も再開できました。交流が具体的に進んできました。
当会の活動、運営のための資金については、切り詰めた予算のもとで如何に執行を継続するか役員を中心とする「会計執行プロジェクト」のもとにいろいろ検討してまいりました。各会議の結果を重んじた提案をいたします。ご審議よろしくお願いします。
22年度は、創立45周年を迎えて、新しい執行体制のなかで、活動が実施されます。北海道及び北海道文化団体協議会の要請を受けての「北海道文化集会」開催地としての提案があります。
次に白石市文化協会との交流事業です。7月訪問団を結成して白石市へ参ります。
次に4月オープンの「市民活動センター」に積極的に活用と協力が求められ、特に「文化事業」の展開が6月が予定されております。
登別の団体が一同に会した「元鬼まつり」の参加もきたいされています。
大切なことは、先人が創りあげた伝統を重んじつつ、新しいものに挑戦をつづけるということです。新しい文化創造、魅力ある文化団体の創出「動く文協」の原点と考えます。
そこから、「他人を思いやる優しい心は、登別市文化協会に接し、親しむことで生まれる」と思います。
明るい笑顔で、地道に粘り強く登別の魅力ある自立した文化創造に努めたいと思います。
大切な議事がございます。きたんのないご意見をいただきながら審議のほどよろしくお願い申し上げます。
終りに皆々様のご健康とご多幸をお祈りして挨拶といたします。 (平成22年4月21日)
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第51回目掲載 「時節一言」 1年間を振り返って ―室蘭民報トップインタビューに答える(要旨)― |
Q1 昨年一年間を振り返って ◇ 21年度は、平成17年創立40周年の成果と反省を踏まえて新たに出発を決意しての「再生元年」と称してから4年目の年であった。 ◇ 21年度を振り返っての概括を述べると、これまでの成果を踏まえ着実に歩み続けていることである。各団体は諸活動を展開する中で、先人が残された血と汗の結晶である文化遺産を継承することの大切さの認識を高めている。そして文化の香り高いまちづくりのために、会員一丸となって研鑚努力を重ねている姿がある。会員は日々の積み上げが、実は地域文化の創造と発展に寄与することになり当文化協会の目標、役割であることを活動の広がりの中で体感している。「まちづくりは人づくり、人づくりは文化づくり」という基本精神の実現のため惜しまず精進努力することが最も大切なことであることを共有できてきた。新時代に即応する文協像を見出そうとする課員の思いを知ることができる。しかるに、今日ある文協の歩みを、市民の目線に立った多角的に且つ客観的な反省と評価をすることが大切である。すなわち、文協が自主自立して真に社会貢献する団体となるためには、他機関、団体や色々な機会に市民各層の願いや要望意見を謙虚に聞き入れて、適確正確に把握することが大切である。その内容を分析して議論を重ね文化団体の存在の意義と責任を明確にしなくてはならない。まさしく「動く文協」をスローガンにして実践を積み重ねることが大切である。 Q2 21年度の主な事業やできごと等について ◇ 仮称「市民活動センター」企画・運営に積極的参画 ・施設の見学会 ・会長はセンター運営委員会委員として任命される。十数回の会議に出席提言 ・文化事業の開設に向けた具体策を提言 ◇ 道文協主催「中国黒龍江省芸術団公演」を主管 ・公演は、大ホール満席の盛況、室蘭工業大学留学生をバス代支給で招待する。 また、介護施設入居者の特割、胆振市町からの協力が特筆される。 ・登別市社会福祉協議会50周年記念事業に協力。「三遊亭夢の助」講演会助成 ・登別合唱協会が道文協の団体奨励賞を受賞。11月17日 ◇ 「市民文芸のぼりべつ」第28号刊行。執筆陣が多彩、内容充実 創作・郷土史・随筆・登頂記・自分史・俳句・短歌・川柳と広いジャンル ◇ 「第5回新春ダンスパーテイ」3月7日(日)登別社交ダンス愛好会協力。
◇ 「文化大集会」文化・スポーツ振興財団、体育協会三者連携事業 Q3 秋の市民文化祭など課題について ◇ 毎年恒例の「市民文化祭」第45回目9/4から11/26までのロングラン ・加盟36団体中31団体が参画、財団・文協の共催 ・ 主会場は市民会館、鷲別公民会館、鉄南ふれあいセンター、11/1〜3の 地区展は光和園、旭ケ丘三恵園、若草つどいセンター等の公共施設で開催。 ・ 11月2日各団体代表等による鑑賞会を実施。市長、副市長、教育長も同行。 今年度の特徴はステージ、展示共ジャンルの広がりとレベルアップ ◇ 地区展は小・中学校、保育所、幼稚園、病院など多くの子どもから高齢者が参加。魚拓、書道連盟、美術協会等加盟団体との連携が成果を上げる。一層の連携が課題。各地区諸文化サークルに加盟PRすることが必要である。 Q4 今年度の表彰、入賞等 ◇ 登別合唱協会が道文協の団体奨励賞を受賞。11月17日 市民文化会館にて ◇ 21年度 登別市文化協会表彰者 功労賞7名 芸術賞3名、奨励賞1名 ・功労賞 加藤 清(棋道連盟)、小林蝶子(吟道連盟) ・芸術賞 斉藤 勉(魚拓同好会)、平塚圭子(合唱協会),縫部節子(俳句協会) ・奨励賞 松島翔香(民謡連合会) ◇ 登別市表彰受賞者 登別市功労者 佐藤逸夫氏 教育文化賞受賞 須田諒子氏(バレエ協会) 上石玲子氏(文協舞踊部) ◇ はやて太鼓(室蘭登別太鼓連盟)が第11回太鼓ジュニアコンクール特別賞 ◇ 諏訪英雄氏(文協顧問・美術協会顧問)歌集刊行 Q5 そのほか今年に予定している取り組み、抱負、意気込みなど ◇ 生活そのものが文化、豊かな心づくりを目指す、人づくりまちづくりの基本、 夢や希望、ロマン文化の炎を灯し続けて元気、勇気、やる気 “三気の精神” 創意、総意、熱意 “三意の精神”、創出される知恵、人間力を地域経済、観光の繁栄に繋げたい。 ◇ 魅力ある団体として地域文化創造に努めたい。 ◇ 厳しい財源状況は続く、会員の確保、自主自立を目指す意識と事業の取り組みが必要。 ◇ 平成22年度、23年度 胆振文化団体協議会事務局担当となる。 ・胆振管内11市町の文化団体統括、会長、事務局長配置 ・道民芸術祭、胆振芸術祭の推進 (書道展…苫小牧市、いぶり文芸…室蘭市、短歌大会…白老町、写真展…登 別市) ・胆振文化交流会の実施他 ◇ (仮称)市民活動センター会館に向けた積極的支援の確立 ・設置委員会委員としての重責、施設の設計、有効活用、特に文化会館活用 の参画 ・土、日曜日の管理等の業務の受け入れ ・事務所移転を視野においた協力体制の確立 ・総括的事業の展開のあり方の提言 ・年間文化事業の具体的計画案の提言、青少年健全育成事業の構築 ◇ 白石市文化協会との交流会実施。7月3〜4日 交流団を結成。ステージ・展示交流会、物産展とのコラボ検討、今後の文化交流のあり方討議 ◇ (仮称)登別フエイステイバル開催日時成功の主眼団体の役割発揮 ・平成22年7月31日(日)、8月1日(日) ・登別市民会館を会場に多彩なイベント構成 ・実行委員会幹事として重要団体の」位置付け ・文化事業の企画、運営―展示、バザー、発表会 ◇ 第52回「北海道文化集会」を主管して開催 ・期日…11月23日(火) ・会場…登別市民会館 大ホール ・主催…北海道文化団体協議会 ・主管…登別市文化協会 ・後援…北海道・北海道教育委員会他地元 ・ ねらい…創立50周年を越えた北海道文化団体協議会の歴史を振り返り、 今後あるべき未来像を語ると共に北海道の芸術文化をどのように創造し発展させていくかを考える。登別市制40周年、道民芸胆振胆振芸術祭、登別市文化協会45周年記念事業とする。 ・ 日程、内容…北海道文化団体協議会表彰式、基調講演、特色ある事業 ◇ 「第6回新春ダンスパーテイ」3月予定 ◇ データバンクの活用集 ホームページ19年1月19日に開設4年目 独 自ホームページ 江別市と二市のみ 時節一言 ヌース 活動報告 文協紹介 加盟団体 文化伝承ふれあいバンク等詳細に掲載 人材バンク活用広めることが課題。 ◇ 加盟団体の特色ある事業の奨励と支援(7部門 36団体 約2千百名の会員) ◇ 登別伊達時代村の事業「ものづくり工房」「菊花祭」「雛祭り」等への支援 ◇ ミニコン、ジョイントコンサートの企画 「音・楽しむ会」の支援 ◇ 「登別文化交流館」の有効活用に協力 ◇ 青少年健全育成の各団体ボランテイア活動の推進、小中学校との連携強化 ◇ 事務所移転を視座にした運営と活用・事務処理の有効効率化 ◇ 登別市民憲章の唱和拡大活動に積極的に協力 <追 録> ◎ 「市民文芸のぼりべつ」について ・文芸誌は平成4年に諸事情のためやむなく休刊、復刊は平成14年4月、第21号 その間10年であった。市民も会員も待ちに待っての再発行であった。「編集委」スタッフの粘り強い取り組みが奏を効した。 ・ 登別市の唯一の文芸誌の刊行に拘る理由 情報化ハイウエイ時代到来 故に負の遺品か活字文化の衰退 古来より漢字、ひらがな、カタカナの活字文化が人間社会の情報を支えてきた。市民の活字文化を通した出会いとふれあい,学びあいのステージ 「市民文芸のぼりべつ」は活字コミュニケーションを拡充
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「時節一言」 第50回目掲載 病院の待合室でもらった元気 川柳のぼりべつ12月号巻頭言より 代表 小林 碧水 |
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「時節一言」 第49回目掲載 文化の継承の礎に (21年度文協表彰式式辞抜粋) |
晩秋の日だまりの温かさが静かに残り、菊花の香りがこころを和ませる、このよき日に平成21年度の登別市文化協会表彰式を行なうとご案内申し上げたところ登別市長 小笠原春一様、北海道議会議員 堀井学様はじめご来賓各位のご臨席をいただき、加盟団体代表及び会員出席のもと、かくも盛大に挙行できましたことを衷心より厚くお礼申し上げます。 今年度栄えある受賞となりました方々は、功労賞7名、芸術賞3名、奨励賞1名の 11名であります。心からお祝いを申し上げます。誠におめでとうございます。 只今、今年度受賞となりましたお一人お一人に敬意と感謝の気持ちを込めて表彰状をお渡ししました。受賞されました方々は、当協会の創立以来、変化する時代の中で、地域文化の継承と発展のために誠心誠意の活動を続けられ、加盟されている団体のため、また当協会の事業や運営に多大なるご貢献をなされました。改めまして感謝とお礼を申し上げます。誠にありがとうございます。 さて、今年度は例年と比べての特徴として三点ありました。一つは団体からの受賞推薦者が多かったこと。二つには三名の方が芸術賞を受賞されたこと。そして、奨励賞に民謡全道一に輝いた九歳の松島翔香さんの受賞であります。 私は団体からの推薦書を拝見しまして感じたことは、受賞の方々がいかに会員から信頼と尊敬されながら絆を広く強く結び合いながら、長期にわたり文化振興のため献身をされた尊いお姿であります。 今後当協会が粘り強く歩んでいくための心に響き届くメッセージとなりました。今、私たちが愛するふるさとのために為すことは、文化の香り高い町づくりを目指して自らの文化芸術性を高めながら、未来を担う青少年のために、忍耐と熱意を絶やさず、慢心笑みをもって登別市文化協会の推進に一生懸命に努力することが大切であります。 「日々是好日」に、自らにやる気と勇気と元気を奮い立たせて活動するならば、必ずや夢、ロマンは広がって実現できるという人生訓を学ばねばなりません。 どんな時にも希望を持ち続けながら、率先して努力することそのことが、どんなに大切なのか。湧き出る豊かで生きがいのある町づくり、人づくりになるという社会の哲理を学び会おうではありませんか。 さて、わが国は政権交代して、新しく生まれ変わることを期待していますが、今日的課題は私たち大人は、未来を担う子ども達に、何を、いつ、どのように引き渡すとよいのかを真剣に考えなくてはなりません。確固たる後継者を育てて、今こそ世代から世代へ受け継がれる文化遺産を見直して、価値や理想像を明らかにすることが求められていることを再認識しなくてはなりません。 私たち会員は、先人達が並々ならぬ努力と献身を続けて残してくれた文化遺産を継承して、市民の願いや求めを察知して文化活動の基礎基本に立ち返り結束力を高めて、文化の香り高いふるさと登別の活性化のために歩み続けることを誓おう ではありませんか。 日常の地道な活動を積み重ねることにより、自分や皆のための癒しや生きがいが培われ文化創造のエネルギーが醸造されると思っております。 まさしく、楽しみと喜びを体得できる文化事業や活動の展開であります。そのネットワークが功を奏して、夢や希望、ロマンいっぱいの文化の炎が燃えて、文協の願いである町づくり、人づくりの一役を担うことになるのだと確信しています。 私たちは8月23日「黒龍江省芸術団」を招聘して成功させました。11月9日には、 我が町で「白石市文化協会」と交流します。まもなく「市民活動センター」がオープンしますが、私たちにできることを明確にして、活性化のために全力協力していきたいと思います。このように私たちは、市民の希望と期待をキャッチして、加盟団体を軸にして一生懸命に文化の創造に励むことをこのよき日に誓い合いたいと存じます。 「ローマは一日にして成らず」「継続は力なり」の格言がありますが、自主・自立を根本精神においての具体的実践が、必ずや「市民と共に歩む文協」の高い評価を受けて、登別であればこそ、登別でなければという特色ある地域文化を創造し、そのこと自体が地域の経済や産業、観光の推進に寄与することになると思っております。 平成21年 11月 3日
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「時節一言」 第48回目掲載 心晴れやかにする言葉、元気をいただく言葉(5) 「随所に主となれ」 |
この言葉は今から600年近い昔、大澄国師の言った語であります。
どこにいてもどのような立場にあっても主体性を失わない、いかなる場合でも他によって自己を乱されることなく、自分を見失うことなく自由である。そうあればあ幸せというほどの意味であります。
正直、私も若い頃いや60代まではこの言葉にはなじまなかった。人は謙虚にあまり前列に出ることなく“縁の下の力持ち”的な生き方が大切であり、そういう生き方をしている人に敬意をいだいていたのであります。しかし、現職を退いて70歳に手の届いた現在になって前列に出なくてはいけないと思うようになった。
決して何事にも出しゃばって他人に迷惑をかけるという行動をとるということではない。
「随所に主となる」一見思い上がるといいかげんにしろと思うこの言葉。実は、この年代になって生き生きとたくましく、美しく老いていくには、やはり「主」となることを欠如してはならないと思い出したのである。
具体的に「随所に主となる」ことができるのだろうか。どうすることが主となる要なのか。
ある日ある朝、保育所で保母をしている娘との会話で公案は解けた。
娘は言った「お父さん、上司や部下と仲良くやるのはまず手造りの料理を作って我が家に招待すること」がそれが肝心と。娘は茶飯時やっていることを知った。成る程主たるには人に供応することなのだ。コミュニケーションチャンネルを形成することが第一歩なのだ。
美味しい食物、しにせの店、手料理のパーテイに人を呼んで飲食する場を豊かにつくること、ホストになること、正にあるじだ。ホストは責任もあるが主体性を発揮する喜びも少なくない。気使いなく自由におしゃべりをする。愉快になる。そのうち食べている物の味など問題外になってくる。高齢になっての主人公はくだけた人生論をとくとくと言っても聞いてくれる雰囲気が醸成される。なんと愉快なことか。
こんなことを思っていた折に外山滋比古著の「老楽力」という文著に出会った。
その中で「桃太郎はサル、キジ、イヌにキビダンゴという供応をしたため大将となって仲の悪い三者の争いをおさめ平和を招来することが出来たのだ。
いくら桃太郎が優れた英雄であっても“おれについてこい”と号令をかけるだけだったらてんで相手にされなかったに違いない。キビダンゴというご馳走がものを言ったのだ。酒食のもてなしができたから桃太郎は主となった」。
成る程!私も祖先からいただいた肝機能の恩恵を十分に活用してコミュニケーションチャンネルを拡大して、様々な人との出会い、ふれあい、学びあいを大切に余生を楽しく過ごしたいとつくづく思っているのであります。
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「時節一言」 第47回目掲載 心晴れやかなる言葉 元気をいただく言葉 (4) |
千里の道も一歩から。 小さいことを重ねたことが とんでもないところに行く ただひとつの道 9月13日の米テキサス州アーリントンでのマリナーズとレンジャーズ戦は、雨天のためなんと6時間近く延びてしまった 私は、この日の前人未到の9年連続200本安打の瞬間をこの目で確かめたいという一念からテレビ中継に釘付けになっていた。 待ちに待ったイチロー選手の200本目の打球は相手捕手の目の前でポーンと弾んだ。遊撃手が前進して捕球したが、イチローの足は早かった。 「イチローらしい打ち方で記録は樹立された。大リーグ記録を108年ぶりに更新する大記録。 私は興奮をこらえきれずひとり部屋で大声で万歳をした。妻が何事が起きたかと二階にかけ上がったくらいである。 イチロー選手の顔がテレビ画面にクローズアップされた。表情は実に冷静であり、いつものようにプロジェクターをはずしながら、ヘルメットをとり2,3回スタンドに手を振った。このような大偉業を成し遂げたこの若者がどうしてこのように冷静に振舞うことができるのであろうか。 日本人のもつ独特な心情である側隠の武士道の精神「色即是空」の仏心と感じたのは、この時代に日本の武士の姿を見たのだ。そう思ったのは私だけであろうか。 イチロー選手は、以前テレビインタビューの折次のように言っていたのを思い出した。 「小さいことを重ねることがとんでもないところに行くただひとつの道である」と。 こつこつと内野安打を積み重ねた結果であることを示唆している。 次のイチロー選手の言葉も胸にジーンとくる。 「手を出さないのです。」 「手を出さないためにどうするかが僕。どうやって手を出そうかなと考えるのが普通の選手。真逆なんですよ。」 細いバットを自在に振り、自らを「安打製造機」とすることに徹したイチロー選手のこだわりの文化運動の結果が花を咲かせたのだとつくづく感慨にふけった。 野球の技術についてはよくわからないが、北海道新聞(9/15朝刊)の解説を読んでわかった。 「心にも体にも球を引きつける動きが染み付いている。一気の振り出しはスイングの早さや無駄のない体使いがあってこそ」との記事を読んだ。成る程そうなのかと納得した。(2009/11/19UP)
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「時節一言」 第46回目掲載 心晴れやかなる言葉 元気をいただく言葉 (3) 直心道場(じきしんどうじょう) |
禅宗において重要な経文(きょうもん)である『維摩経(ゆいまきょう)』に直心是道場(じきしんこれどうじょう)という一節があります。これは、物事を正しく見極めようとする心があれば、特に修行の場などいらない。何故かというと、そういう心こそまさに修行するにふさわしい道場であるからだと説いています。
すなわち、求める心さえしっかりしておれば求める場はどこにもある言うのです。私は40代前半公私共に諸事情が重なり、かなり自分の存在そのものに自信を失い、不安な毎日が続きました。この時、今は亡き透禅寺の峰田弘道ご住職が一週間程お寺で寝食を共にし、写経や座禅を共にして下さいました。ある朝の本堂で、ご住職が目に涙して私に説教して下さいました。その言葉が「直心道場」であります。
ご住職は「維摩詰所説法」(維摩経)の教本を手にしておりました。これは大乗仏教の初期の経典であり在家の居士ピラマキールティ(維摩または維摩詰)が主人公であります。病床にある維摩と見舞いに訪れた文殊菩薩との対話を軸として、空(くう)の真義とその場に立つ菩薩の実践が明らかにされていくのであります。私にはとても難しい内容で到底理解に及ばないものでありましたが、その時の私にとっては正に藁(わら)をも掴む心境であり、嘘のように心身がよみがえったのを覚えております。
わが国において最も早く知られた仏典のひとつである「維摩経」は、6世紀には聖徳太子によって「維摩経義疏」が著され、“無言無説・黙然無言”という禅家の推賞する個所となったことも、後に武者小路実篤著「維摩経」を読んで分かったことでありました。
「求めてやまない心があれば、人は必然的に行動を起こしているのです。求めずして学ぶことは出来ないのです。」と自分にも言い聞かせるように(ご住職も同じように悩んでいたことを後に知らされました。)、朝陽に透き通るような低音で説いていた透禅寺の亡き峰田ご住職に只々合掌している最近であります。
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「時節一言」 第45回目掲載 心晴れやかなる言葉 元気をいただく言葉 (2) 「そっ啄の機」(そったくのき) |
昭和20年5月 私たち一家は神戸から富良野の山村に疎開しました。本当に食べ物が不足の時代でありました。伯母は4羽の鶏の雛を小脇にかかえて持ってきてくれました。雛はすぐに大きくなり、まもなく卵を生み食卓に花を咲かせました。 その鶏の1羽がある日突然に消えたのです。私たち兄弟は、周りを懸命に捜しました。そして、3日後の夕方近く裏庭の竹やぶの中にうずくまるように卵を抱いている鶏をみつけることができました。静かに近づきみていたら、なんと卵を一個胸元においてやわらかく口先でつつき始めたのです。あっけにとられて見ているとどうも卵の内側からも割れかかっています。卵が割れた瞬間、私は目玉も体もいっぱいになり驚きで動けなくなりました。 「そっ啄(そったく)」の言葉を知った私は20歳になっていました。この言葉のもとになっているのは“卵の孵化”です。「そっ」とは鶏の卵が孵化しようとするとき雛が殻内からつつくことであり、「啄」とは母親がそれに応じて外から殻内をつき、殻を破ろうとする意味です。 もし、親鳥のつつくのが早すぎると卵の中はどろどろになり、雛は死んでしまいます。逆に遅れると中の雛は呼吸できなくなり死んでしまいます。言うまでもなく、「そっ啄の機」というのは、親鳥が孵化しようとしている卵をつつく、雛が卵の中からつつく殻を破ろうとするその呼吸がぴったりと合うことであります。正に命がけの行いでありました。教師であった私はこの言葉を大切にしてきました。 子ども一人ひとりの成長をしっかりと見つめ、「今がチャンス」「今時しかないチャンス」と言う好機を見逃すことなく、適時適切な指導が出来なくてはプロフェッショナルとは言えないのだと自分に言い聞かせてきました。 しかし、なかなかうまくいく場合は少なかったかもしれません。教育だけでなく、人間関係の中でもタイミングが早かったり、遅くなって失敗したなあと思ったり。しかし、「早すぎず、遅すぎず、まさにこの時」と思うタイミングを逃さぬようにと意識していることが大切であろうと思っています。 後になって「そっ啄」は禅宗の修行の言葉であることも知りました。それは機を得て、学人と師家との両者の心が投合することを例えたのでありました。そういえば、私が満5才という幼少時にそっ啄の鶏に出会ったのも、ものの見方、考え方を培う「そっ啄の機」であったかも知れません。
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「時節一言」 第43回目掲載 中国黒龍江省芸術団の公演においでください 会長 小林正明 |
お盆が過ぎると周りも秋の気配を感じる頃となりました。。 さて、8月23日(日)午後4時30分 登別市民会館 大ホールで上記のイベントがあります。 北海道と黒龍江省とは、今から22年前に友好提携の調印をしました。以来、文化交流が始まり、隔年相互訪問が道文協を中核として行われてきました。 この度、道文協の推薦を受けて登別公演が実現しました。 歌曲や劇、二胡の演奏など素晴らしい中国伝統舞台芸術を堪能していただけると思います。当日券は立見席となり限りがありますが、皆様方のお出でをお待ちしております。(2009/08/20) 問い合わせ 登別市文化協会 事務局 TEL0143−85−8886
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「時節一言」 第42回目掲載 人間(ひと)はカルチャー(文化)に憧れる 会長 小林正明 |
20年度を振り返りますと、これまでの成果を踏まえ着実に歩み続けていることです。
平成22年には創立45周年を迎えます。各団体は諸活動を展開する中で、文化の香り高いまちづくりのために、会員一丸となって研鑚努力を重ねている姿があります。各ジャンルは、全国全道の大会等で高い評価を受けております。自分がこだわり続け追求していることは自分達だけのものではないのです。市民の豊かな心づくりと生きがいに寄与しているのです。日々研鑚の積み上げが、地域文化の創造と発展に寄与することになり、私共の役割であることをみんな体感しているのです。諸活動を通して「町づくりは人づくり、人づくりは文化づくり」のために精進努力することが最も大切なことであることを共有できていることを嬉しく思います。
「文化」という言葉は、英語では「カルチュア、カルベート」で、「土地を耕す」という意味のラテン語に由来するものです。それぞれの国に、また、それぞれの土地には、そこに根付いた固有の特色を生かした文化があります。それは、長い年月をかけて、生活と密着して培われてきたもので優れた才能による創作活動の成果が人々に受け継がれてきたものが伝統として今日あるのだと思います。そして、この創造の中には、一見伝統に反逆するような大胆な試みが内包されなければならないと思います。そうして栄えるものだということは、歴史が証明しています。すなわち、先人が創りあげた伝統を重んじながら、新しいものへのあくなき挑戦を続けるということです。あたらしい文化創造、魅力ある文化団体の創出、いつも私がいうところの『動く文協』の基本の考えであります。そこから、「他人を思いやる優しい心は、文化に接し、親しむことで生まれる」と言えると思います。
地域の文化振興と発展に寄与するための活動を創意と工夫を凝らした勇気を持って実践することが市民に期待され愛される文化団体の生命です。社会的地位もこのことが原点です。
さて、21年度の事業について、私から次の三点について簡潔に話します。
一つに、北海道及び北海道文化団体協議会の要請を受けて、中国黒龍江省芸術団の公演を8月23日に開催します。ご存知の通り本市は中国の広州市と姉妹都市提携を結んでおりますが、中国文化に触れる機会がありませんでした。これを機会に市民の方々に中国芸術を鑑賞する機会を提供して、国際化社会の中の登別の1ページを作りたいと思います。皆さんに趣旨しっかりとご理解いただき、成功のために是非とも一丸となって力をいただきたいと思います。
二つに、白石市文化協会との交流事業についてです。実は私共の40周年記念事業として、平成17年2月に交流団を組織して、白石市を訪問いたしました。22年に白石市文化協会が40周年を迎えるにあたり、当市を訪問したいとの要請がありました。日程など詳細になっておりませんが、私共温かい歓迎をいただいたので、具体的になりましたら改めて理事会で決めていただきたいと思います。
三つに、先ほど申した「動く文協」をスローガンとして進めている我が文協、会費を値上げし、ぎりぎり切り詰めた予算のもとでの執行であります。皆様方の協力は勿論ですが、会計担当や事務局の並々ならぬ切り詰め努力で、何とか乗り切っております。 会計プロジェクト」のもとに今後のあり方をいろいろ検討してまいります。このことを視座に入れて取り組みます。 「登別窯の会」から加盟申請があり、総会にて承認されました。これで加盟団体は37となりました。どうぞ仲良くしてください。
何より大切なことは、各団体の活動が自分達のためだけでなく、市民の目線に立った多角的に且つ客観的な反省と評価をすることです。そして、文協が、真に社会貢献する団体となるためには、他機関、団体をいろいろな機会に市民各層の願いや要望意見を謙虚に聞き入れて、適確正確に把握するとともに内容を分析して論議を重ね、方向付けることがも大切です。具体的に何をどのように実現していくことが、文化の香り高いまちづくりを目指すことになるのか。「市民活動センター構想」や「文化交流館・カント、レラ」「知里真志保生誕100年、知里幸恵記念館などのアイヌ文化振興」などに文化の振興と発展に寄与することは何をなすことなのか。真剣に考え取り組みます。新時代に対応する文協像を見出し、将来の展望を構築したいです。
確かに、今日の日本には、厳しい状況にありますが、「元気、勇気、やる気」の三気の精神を大切にして、明るい笑顔で地道に粘り強く登別の魅力ある自立した文化創造に努めたいものです。
(21年度 第一回理事会 挨拶要旨)
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「時節一言」 第41回目掲載 桜花点描その3 会長 小林正明 |
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