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台風6号


  6月20日夜。

  テレビは台風情報ばかり。

  台風そのものは、
  関東からすればはるか南の海の上。

  でも、風は強い。

  もっとも、いま住んでいるところは妙に風が強いので、
  案外いつものそれかもしれないのだが。

  室温は高く、湿度も高い。

  ベランダに出る。
  強風が体温を奪い去る。

  雲の流れは速く、
  時たま、水滴が肌を叩く。

  翌朝の天気を恐れつつも、
  窓を2つ開け、風の通り道をつくり、就寝。

     ミ☆

  6月21日朝。

  アホみたいに風が強いが、雨はまだ降っていない。

  降られそうな気配はないが、気持ち足早に、
  あっちゃこっちゃから吹き込む風に翻弄されつつ、駅へ。

  約1時間後、会社最寄りの駅へ到着。
  ずーっと地下鉄なので、地上の天気が気になる。

  階段を下りてくる人達の手元を観る。
  傘に、使われていた気配はない。

  雨の代わりに、熱気。

  汗に濡れて会社に到着。
  雨の方がまだマシか。

     ミ★

  6月21日昼。

  次第に風が強くなっていく。
  4階の窓には、街路樹のうねり、うねり、うねり。

  打ち合わせから戻ると、ついに降り始めていた。

  激しい雨。
  激しい風。

  いつも早めに退社し、保育園へ子供の迎えに行く人がいて、
  たまに、窓から外の様子を探りつつ、窓際席の私と雑談。

  すごい風ねぇ。
  待っててもしばらく治まりそうにないですね。
  あーあ。
  夜まで待てば、、、いや、お迎えですよね。

  乾き気味の笑い。

  電車、止まったりしないかしら。
  なに線ですか?
  東武東上線っていう、マイナーな路線。知ってる?
  なんだ、近所じゃないですか。

  マイナー、かなぁ。

     ミ☆

  6月21日夕方。

  雨も風も弱まりつつある。
  日本海側へ抜けたとかなんとか。

  PCをシャットダウンしながら、
  揺れる街路樹の向こう、通行人を眺める。

  あれ?、傘、差してないよ。
  あら、やんだんですかねぇ。
  ま、いっか。おつかれさまー。

  そそくさと退出。

  階段を下り、ちょっと広めの玄関を出口へ向かう。
  しぜん、外の様子が目に入る。

  やはり傘は閉じられている。

  そのまま外に出る。

  と、弱い雨が、じわり、と、上半身を。

  雨は弱いが、風は強い。

  なるほど、風にあおられて傘が壊れるよりは、
  少しくらい濡れた方がマシ、というわけ、か。

  濡れるのは嫌なので、傘を両手で支えながら、駅へ。

     ミ★

  6月21日夕方、その2。

  約1時間後、自宅最寄りの駅へ到着。

  雨は弱いが、風は強い。

  こちらでも傘を使わない人が多く、
  ほとんどが濡れることを選んだ模様。

  傘を引っ張り出し、開く。

  しばし、風との格闘。

  眼鏡が濡れると困るし。

     ミ☆

  6月21日夜。

  風が強いので窓は開けられない。
  今年初めてクーラーを使う。

  静かに、団子と緑茶と、文庫本。
  司馬遼太郎、燃えよ剣、3回目か4回目。

  鉄筋コンクリートの壁に響く、風の、低い唸りは、
  なぜか、子供の頃に聞いた、遠くの太鼓の音に似ていた。

  と、電線が鳴り、ひゅんひゅんと、高い音。
  こちらは祭囃子の、笛の音に、聞こえないこともなく。

  たまに、何かが風に飛ばされる、得体の知れぬ音。

  無理矢理な喩えは、
  土方歳三の死が呼んだ、感傷の類いか。

  台風の余韻の中、ちょうど読了。

     ミ★

  6月22日朝。

  台風一過。

  快晴。

  晴れすぎ。

  馬鹿みたいに青い空。
  ヤケクソみたいに青い空。

  間違いなしに、夏の空。

  日本の天気は忙しいね。


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