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新人さん


  学校を卒業して、いわゆる社会人となり、
  会社に入って最初に与えられた仕事を、覚えているだろうか。

  私の場合、いきなり大ハズレに当たってしまったので、
  ひどく曖昧でマト外れな指示をもらった為、よく覚えていない。
  が、そのせいでひどい目にあったことは、よく覚えている。

  などと、目の前の席で「最初の仕事」をしている新人さんを眺めながら、
  ついでに年数を数えて遠い目をしつつ、思い返してみた。

  その新人さんは、たぶん、一生忘れないだろう。
  ろくでもない量の資料の、ろくでもない数のコピー。

  400枚のコピー用紙が5束で1箱。
  現時点で、少なくとも4〜5箱ぶんはコピーしている。

  尋ねると、まだ随分残ってますよ〜、と。

  コピーだけでなく、
  平均9.6枚でホッチキス止めしなくてはならない。
  因みにホッチキスは商標で、一般名詞はステープラ。

  握力が尽きたのか、さっきから腕の色々な部分を使って、
  青い、社内用と書かれたホッチキスを押し込んでいる。

  資料を借りて計算してみたら、全部で16670枚。

  部数の合計は1485部なので、
  最少でもホッチキスを1485回握る必要がある。
  失敗や針切れも考えると、1500回は超えてしまうだろう。

  もちろん、コピー機を専有できるわけではない。

  優先順位の高い割り込みも、あとどのくらいか?、
  といった類いの質問も随分されているだろう。

  会社、辞めなければ良いけど。


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