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コンビニ


  西暦2000年の12月25日、
  クリスマスは月曜日であった。

  普通に出社。
  9時半頃、オフィスを眺め回す。

  人口密度がやけに低い。

  10時頃。
  変わらず。

  10時半頃。
  ぼちぼち人が増えてきた。
  遅刻組、一様に眠そう。

  色々あったのだろうねぇ。
  ごくろーさん。

     ミ☆

  さて、いつぞや馬鹿が付くよーな丁寧さで、
  遅刻寸前の某サラリーマンをパニクらせた例のコンビニ。

  12月26日、朝、9時10分過ぎ。
  このampmから会社までは2分ほど。
  十分に余裕があったので、
  スカスカの店内をぶらついてみたり。

  前記の店員は、少々残念だったが、お休みらしい。
  声の良く通る、20代半ばと見えるおねーさんが1人。
  比較的混むはずの時間帯なのにねぇ。
  ま、いいけど。品揃えは豊富だし。

  朝メシを食べる時間がなかったので、
  いつもの昼メシセットの他にパンを1つ追加、
  更におやつを加えてレジへ向かう。

  と、テーブル上、端にエビアンが1本。

  ?

  気持ち距離を開けて、
  パン×2、おにぎり×2、ペットボトル×1、
  プチビットチョコ( ストロベリー )を置く。

  と、そのおねーさん、
  真っ先にエビアンに手を伸ばした。

  あ、それ、違います。

  言うと、いま思い返してみれば、イササカわざとらしく、
  びみょーに言い訳っぽい口調で、

  え、ああ、
  さっきの人、忘れていっちゃったのかな?

  と、のたまった。

     ミ★

  さて。
  忘れたのはどっちだろうか?

  客が、金だけ払って商品を忘れるというのは、
  希にではあるが、ある。

  大概はコンビニでだが、年に数回は目撃するし、
  私自身も1回やったことがある。
  卒業研究が忙しかった頃だ。懐かしい。

  毎日のように入るとはいえ、
  基本的に数分しかいない店内である。
  その頻度はちょっと想像し難い。

  ま、それはそれ。

  仮に客がボケていたとして。
  同時に店員もボケていて良いのかね?

  そりゃぁ人間、間違うこともあるさ。
  ぼーっとすることだってあるけど、さ、うん。

  そーゆー意味では、
  非常に珍しいケースに遭遇したのかもしれない。

  単にビニール袋に入れ忘れたのだろうね。
  つーか、前の客が出ていったのって2分くらい前だよな。
  覚えてないものか?

     ミ☆

  などと考えていると。

  バーコードを読む音、
  正しくは読んだことの確認の為の電子音だが、
  それが6回鳴り、合計で750円でーす、と。

  む、高い……、ま、仕方ないか、ぶつくさ。

  半開きにしておいた小銭スペースを閉じ、
  既に手元で待機していた夏目さんをテーブルの上に置く。

  ソソクサと袋に詰め、
  1000円札を手に取り、レジを開けた。

  ありゃ?

  パンとおにぎり計4個、
  ペットボトル1本を詰めこんで、おしまい。
  テーブルの上に淋しげに佇むプチビットチョコ。

  先に精算、かな?

  釣り銭とレシートを受け取る。

  ありがとーございました〜、
  いってらっしゃいませ〜。

  と言うのを途中でさえぎり、
  あの、これもなんですけど、
  と、イチゴ色のパッケージを指差す。

  おねーさん、慌てもせずにレシートを確認。
  あ、これも入ってますね〜、と。

  おみゃー、さっきバーコード読んだばっかやろか。

  いってらっしゃいませ〜。
  心なしか、さっきより声が高い。

  どーやら、天然さんらしいぞ。


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