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皮算用


  通勤ルートは、和光市駅から有楽町線で永田町、
  永田町から赤坂見附まで歩き、銀座線で虎ノ門まで。

  いつもなら8時17分の始発に載る。
  それが駄目なら8時20分。

  どちらも始発なので、当然、着席を狙う。
  タイミングが難しいのは昔どこかで書いた通り。
  最近はうまいコツを得たが、ともかく。

  17分なら大体9時22分頃に会社に到着する。
  永田町〜赤坂見附の乗り換えで7分前後歩くので、
  実は20分でもやはり同じ頃に着く。
  気持ち、急ぐからだ。

  もっとも、経路、7〜800mくらい歩くらしいが、
  その混み具合、それに銀座線の様子で数分の誤差も生じる。

  無茶混みの朝の銀座線、赤坂見附〜虎ノ門付近。
  不思議なことに、希にではあるが、
  スカスカの電車が入ってきたりもする。
  始発と終点の都合かダイアの隙間なのかは、知らない。

     ミ☆

  12月18日、寝坊気味。

  凶悪な早足で駅のエスカレータを駆け上がったが、
  20分には間に合わなかった。

  次は22分の、東武線からの直通電車。
  和光市到着の時点で十分に混んでいるし、
  途中駅での増分を考えると、気が滅入る。
  いちど試して、ひどい目にあった。

  その次の始発は26分。
  既に長い行列が出来ていたが、
  これに載らないと遅刻になる。

  諦めて列を長くする。

     ミ★

  8時26分の始発。
  単純に足し算すると8時28分頃に会社に着く。
  始業の2分前である。かなり危険である。

  永田町の乗り換えを急ぎ、
  激混みの銀座線に強行突入すれば、
  まぁ、なんとか間に合うだろう。

  ファジィな要素が多いので、ちと焦る。
  引き算なら良いが、運が悪いと足し算にもなる。

  少なくとも乗り過ごさないように、
  それなりに気にしながら文庫本に意識を移す。

     ミ☆

  銀座線は普通に乗れた。
  乗り換えも快速だった。
  が、有楽町線が遅れた。

  結局、虎ノ門で地上に出たのは9時22分。
  会社までは徒歩6分、急げば5分。余裕は3分。

  さて、ところで。

  昼メシを買い込まねばならない。
  買う物は大筋では決まっているので、
  問題は店内の混み具合とレジである。

  駅から会社まで、候補は4店舗、
  セブンイレブン、ファミリーマート、
  ローソン、そしてampm。

  セブンイレブンはお気に入りだが、店舗が狭い。
  ファミリーマートは広くて良いが、レジが無愛想。
  ローソンはレジが優秀だが、基本的に嫌い。
  ampmは店舗が広く、客が少ない。

  無限とも思える組み合わせの中から、
  ampmを通過する最短ルートを考える。

     ミ★

  入り口で、中に入ろうかと迷っているアホがいた。
  しかも観音開きのドアの真ん中で。
  近づきながら数回、わざと靴の底を摺り、音を立てる。

  気付いたらしい。
  が、動きが鈍い。

  失ったのは5秒ほどだが、
  リズムがびみょーにズレる。

  ドアを押す、予想通りガラガラ。
  広い店内に散在する客、その数3〜4。

  500mlのペットボトル1本、
  パン1個、おにぎり2個、
  目に付いたものを引っ掴み、レジへ急行。

  おにぎり売場の先客にフェイントを食らい、
  ここでも5秒ほどのロス。
  とまれ、入り口からレジまでの所要時間は約20秒。

  レジは2つ、店員は2人。
  稼働しているレジは1つ。
  精算中の客が1人。

  もう1人は中華まんを補充中。
  残りのレジを開けてくれる気配は無し。

     ミ☆

  歳の頃は20代の後半であろうか。
  スラリとしたシルエットが美しいOLさん。

  って、OLって言葉も古びてきたなぁ。
  ま、いいか。

  ダイエット系のビスケットとのほほん茶。
  大変なんだねぇ、うむ。

  レジのおっちゃんの様子を眺める。
  丁寧な手つきで先の上記2点をビニール袋に詰め、
  手で持つ部分をくるくる巻いて、
  台上に置かれた数枚の100円玉を回収した。

  どこか、ぎこちない。
  嫌な予感。

  レジはスローモーでも客は早い。
  肩までソバージュのおねーさん、
  ひょいと袋を掴んでぶら下げると、
  釣り銭待ちの体勢に入った。

  この時、レジの前から移動するのがスマートである。
  次の客が商品を載せ易くなるからだ。
  釣り銭の受け取りは手を伸ばせば済む。

  因みにこーゆーところ、
  中年のおっさんおばはんは、まず意識しない。
  自分は客なんだぞ、ってのがよほど強いのか。
  後ろに並んでるのも客なんだけどね。

  幸い、慣れている人だった。

  状況が状況である。
  4つの商品全てバーコードを上に向け、
  しかも横一列に並べてあげる。

  読取装置を横に滑らせれば、5秒もかかるまい。
  なんてありがたいお客さんであろうか。

  だのに。

  なんで、キミは、さぁ、1個ずつ手にとって、
  しかもクルクル回してバーコード探すのさ。
  ペットボトルなぞ2週半も回しおってからに。

  袋詰めも遅かった。
  精算も遅かった。
  レシートを取ろうとして2回も空振りしやがった。

  釣り銭を受け取って出口へダッシュ。
  転げ込むようにビルへ入り、階段を駆け上がる。
  タイムカードに打たれた文字は9時30分。

  ぎりぎりOK。
  危なかった。

     ミ★

  さてさて。

  こんなことを書くと、
  低速レジ係のせいで危うく遅刻しそうになった、
  なぁんて具合になり、仮に遅刻でもしようものなら、
  そのおっちゃんの責任を追及したくもなってしまう。

  が、そう、それは逆恨みの類いである。

  アパートから駅、有楽町線、永田町〜赤坂見附の乗換、
  銀座線、駅から会社、途中で寄るコンビニ。

  自家用車通勤に比べればかなり振幅は小さいが、
  分単位でスケジューリング出来るほど、
  世の中うまい具合には動いてはくれない。

  見積もりにはある程度の余裕が必要なのである。
  それをどの位にするかは、まぁ、経験であろう。

  それはそれとしても。

  結局のところ、
  寝坊したヤツが悪いのである、うむ。

  反省。


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