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昼メシ


  パン、おにぎり、サンドイッチの組合せが普通。
  大概はパン1、おにぎり2であるが、
  パン3とかおにぎり3てのもあり。
  サンドイッチ3てのは無い、さすがに。

  このくらいの分量が最大で、
  気分によってはおにぎり1のみとか、
  何も食べないことも希にある。

  栄養は、そりゃぁ偏る。

  が、メシ屋に入っている暇はない。
  並んでまで食べようとは思わないし、
  空いている店もたまに見かけるが、
  それはむしろ避ける、恐い。

  コンビニの混み具合も殺人的である。
  あの時間帯の弁当加熱は気が重い。
  それに、コンビニ弁当は、飽きた。

  道端の弁当屋という手もあるが、
  これもまた長蛇の列。
  見ただけでゲンナリ。

  てなわけで、パン、おにぎり、サンドイッチ。
  朝、出勤途中に買い込んで机に放り込んでおく。

  昼休みは1時間、待ち行列に連なると、
  10分や20分はあっという間。これは痛い。

     ミ☆

  1年ほど前のことになるが。
  中国人技術者J氏。

  この人、昼休みのチャイムが鳴った瞬間に席を立つ。
  食事っ!、と短く鋭い独り言を放ち、
  ある時は上着をひっつかんでドアへ向かい、
  またある時は弁当箱を抱えて給湯室へ走る。
  1台きりの電子レンジ獲得競争。

  で、弁当の場合は、
  加熱、摂取、洗い物を10分くらいで済ませ、
  あとはひたすらゲームをやっている。

  頭の切替えが云々という解釈もできるが、
  あまりにも露骨なので、浅ましい、
  なんて単語が脳裏をよぎりったりよぎらなかったり。

  国民性かね?
  なんて便利に手軽に片付けたくもなるが、
  他の中国人技術者はそうでもないので、
  どーにも難しいところである。

  ま、いいや。

     ミ★

  話を戻す。

  パン、おにぎり、サンドイッチ。
  栄養のバランスよりも時間と手間を優先している。
  のんびり本を読むにはこれしかない。

  で、前者を気にすると、本人の性質上、
  残された選択肢は、そう、弁当である、手製の。

  視線を1時の方向へ向けると、
  プロジェクトリーダのPCが見える。
  デスクトップの壁紙は愛娘、確か2歳くらい。

  詳しくは知らないが、
  結婚して5年ほど、子供も元気だし、
  まぁ、とても幸せな時期に違いない。

  で、昼メシは、そう、弁当である、手製の、
  もちろんイワユル愛妻弁当ってヤツだ。

  ひっじょーに嬉しそうに にこやかに食べるので、
  この閑散殺伐としてついでに空気の悪いオフィス、
  彼の周囲だけは他とは異なった世界が展開している。
  話の都合上、愛妻弁当時空とでも名付けたいところ。

  それゆえ、月に2〜3回だろうか、
  寂しそうにカップめんを啜っているのを見ると、
  ふぅむ、何かあったらしいな、などと、
  遠目に勘繰って暇をつぶして、、、てのはともかく。

  弁当である、自前、手製。
  これこそが行列嫌偏栄養独身男的最終手段であろう。
  僕らの明るい未来へのキーワード、手製弁当。

  ……と。

  ここまで書いてきて、
  いや、文章の量は大したことはなくても、
  実際にはその数倍の量が脳ミソ内を飛び交っているわけで、
  つまり、なんだ、その、、、結論がみえみえで、虚しい。

  そんなヒマあるかいな。

  朝、ただでさえギリギリまで寝ているのだし、
  メシ抜きも珍しくない、というより常態に近い。

  ああ、冬の空は低いぜよ。

     ミ☆

  物事を考えるにはキッカケというものが要る。
  特に、このよーな雑文は、
  ネタらしいネタがないとどーにも筆が進まない。

  いや、キーボードが進まない、か?
  キーが叩けない、ってのも良いかな、それはともかく。

  こんなことを書くのだから、
  当然、この文章にもそのキッカケがあった、
  すなわち ――

  朝、近所のコンビニで昼メシを買い込んだ。
  財布の中に夏目さんがいらっしゃらなかった。
  新渡戸さんも不在だった。
  福沢さんと目が合った。

  小銭を探るのも面度なので、大御所に御出馬を願った。
  釣りは9千なんぼである。

  大きい方、千円札9枚ででも来ると思ったら、
  二千円札が2枚と千円札が5枚だった。

  みょーな構成だねぇ。

  ―― などと軽く首をひねったのがそれである。
  ま、そーゆーことさ。


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