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2000年の夏休み 地の巻


  さて。

  待ち合わせ場所は池袋駅、有楽町線のホームである。
  場所は無難にホームの端っこ。

  ケータイのお蔭であまり使わなくなったが、
  電車を使う場合の待ち合わせとしては、
  この端っことゆーのが実に有効なワザである。

  もしもの場合にどちらかが動くように決めておく。
  300m近く歩くことになるが、
  まぁ、ハチの銅像付近で血眼になるよりはマシ。

  それはそれとして。

  ここは和光市、目的地は新木場。
  ちょうど有楽町線の端から端である。

  で、池袋で一旦降りてホームで合流、
  その後はそのまま電車に乗り込めば良い。
  シンプル且つスマート。

  発案は私ではない、念のため。

     ミ☆

  慌てつつもほぼ予定通りに出発、
  うまい具合に出発直前の始発に飛び乗る。

  って、私はホームで手を振ってりゃ良かったのだが、
  強烈な不安の念にかられたので一緒に乗り込んだ。

  確かに目的地、即ち新木場へは勝手に辿り着けるだろうが、
  途中で合流できないことには大変なことになる。

  しかしなんと言っても、そう、これが肝心要のなんとやら、
  天然さんだから……(笑)

  ま、定期もあったし。

     ミ★

  皆の衆、驚け!
  待ち合わせの10分前に着いたぞ!
  奇跡だ!!

     ミ☆

  戻らなきゃならない。

  和光市止まりなら眠って行ける。
  終点で駅員さんが起こしてくれるから。

  が、どーゆーことだ、次は清瀬行き、
  その次は森林公園行きである。

  どちらも寝過ごすと大変なことになる。

  しかも、あろうことか手元の文庫本は君主論、
  マキャベリである、催眠系の書物である。

  ガラガラの電車の片隅、ドア付近に、立つ。
  埼玉の奥地でのんびりする訳にはいかない……。

     ミ★

  無事帰りつくことが出来た。
  と、マグロが4匹。

  アラームを設定し直し、5匹目と化すが、
  少しして誰かのケータイが鳴り、目が覚める。

  が、強烈な何かに阻まれて身体が言うことをきかない。
  金縛りではない、睡魔と疲労によるそれである。

  無理矢理上半身を起こし、一気に立ち上がる。
  と、おぉう、立ちくらみ、久しぶりっ。

  時計を見ると9時。
  1時間くらい眠ったらしい。

  今度寝たら二度と起き上がれないと確信、
  さてどーしたものかと考えること数秒、
  幸いにもてしかさんが起きていたので雑談開始。

  何を喋ったかは覚えていないが、
  てしかさんが机の下に潜り込んでいた事と、
  その直後の炸裂!うなぎキック事件は良く覚えている。

     ミ☆

  喋りつつコンビニおにぎりを引っ張り出すてしかさん。
  そのチョイスはうなぎ、税別で130円。

  最近めっきり小食になり、
  ついでに夏バテ気味の我が胃袋。

  おもわずゲンナリしたのは秘密だが、
  そこは人それぞれ、そもそも私が食べるわけではない。

  ぱく、と1口。
  面積にして親指の爪ほどだろうか、うなぎが顔を出す。

  お〜、うなぎうなぎ〜。
  てしかさんが目を輝かせたその瞬間。

  そのわずかに露出した部分に吸い込まれるように、
  どこからともなく伸びてきた物体が、うなぎを直撃。

  柳のようにしなやかに、
  恋人を愛でるかのように、優しく、ちょこん、と。

  つま先、たぶん親指。
  その持ち主は、おやっさん……。

  狙いすましたかのように、いや、
  狙って出来るよーなことではなかろうが。

  一瞬の間。

  呆然、爆笑、悲鳴、驚愕、狼狽。

  うなぎうなぎうなぎうなぎ、うなぎが〜っ!
  え? ええっ? えええええ?
  ひどい〜、ひどいよ、おやっさん〜。

  朝から大笑いさせてもらいました。

  それにしても、なんで足が?
  ま、天然さんはこれだから、ね、飽きないよ。

     ミ★

  さて。

  黒水鶏時空を操る水鶏さんがいない、即ち、
  時間に関しては安心してよい……と思ったのは、
  うーむ、我ながら甘過ぎた、不覚である。

  天然さんは1人ではなかったのだ。

  黒水鶏波動のカモフラージュ、いわゆる黒水鶏効果であろうか、
  それとも、いつの間にやら黒水鶏時空に引きずり込まれていたのか、
  他にカテゴリ超級の天然さんが2人も居るのを忘れていた。
  DEMさんと、おやっさんことおやぢん氏である。

  出発予定時刻。

  さぁて、そろそろ行きますか……って、へ?
  ちょっと待てい! なぜゆえまだ寝とる!!

  とりあえず天然スタックと名付ける。
  1人消えてもまた1人、次から次へと天然さん。

  天然さんは同時多発的には進行しないものらしい。

     ミ☆

  ところで、遠征組は5人である。
  このうち3人、敬称略でDEM、水鶏、おやぢんの三氏、
  彼らは自他共に認める天然さんである、しかもハイレベル。

  で、比較的普通と思われていた山口てしかぉ嬢だが、
  密かに、いや、やっぱりね、なのか、ま、とにかく、
  尋常でないことが判明、3ボケトリオに補欠登録される。

     # ださださなネーミングだなぁ

  残り1人は小しょうさん。
  因みに別に大しょうさんて人もいて、ややこしい。

  ある意味かなりの曲者と思われるが、
  現時点ではどうやら天然資源は開発されておらず、
  安心して会話ができる唯一の人であった。

     # どうやらそーでもないらしい、後日談

     ミ★

  というわけで、
  小しょうさんに全てを託し、今度はホームで手を振る。

  池袋に着いてから色々あったらしいが、
  それはまた別の場所で語られることになるだろう。

  つーか、行けない理由があったというのが実際である。
  11時からアパートの管理会社の人が来るのだ。
  火災報知器の定期点検。

  改札を抜け、
  ほっと一息ついてドアを開けると……ありゃ、ま。

  あいやー、しまった、これは、どうする?

  惨状。

  しかもコミケカタログとか転がってるし。
  あ、○○○氏購入の怪しげなブツも……。

  時計を見る。
  あと10分。

  間に合うか?

     ミ☆

  予定時間ピッタリに鳴るドアフォン。

  はい?

  点検に来ました〜。
  はいはい。

  ドアを開ける。

  お邪魔します〜。
  はいはい。

  台所。
  問題ないですね〜。
  はいはい。

  洗面所。
  問題ないですね〜。
  はいはい。

  部屋。
  微妙な、間。

  しかし、さすがはプロである。
  何事もなかったかのように作業を開始。

  問題ないですね〜。
  はいはい。

  とはいえ。

  なんだったんだろう、
  あの口元の微かなゆがみは?

     ミ★

  慣れというものがある。

  まさか説明の必要はあるまい、
  普通の意味で、慣れ、だ。

  極端に短い睡眠時間。
  9日の朝から数えてみると、現在12日の昼、
  合計でざっと6時間ほど眠ったらしい。

  ちょうど私の1日の目安と同じ数字である。
  つまり、通常の3分の1、平均すると2時間。

  ま、生きているので良しとするが、
  困ったことに、慣れてしまったらしい。
  眠らなくても平気という状態に。

     ミ☆

  もちろん、こんなことがいつまでも続く訳はない。
  イベント盛り沢山で張り詰めているからだろう。

  が、とにかく、
  そーゆー状態に陥ったのには間違いない。
  随分と睡魔に嫌われてしまったようだ。

  夕方には新宿に行かねばならない。
  出発予定を考慮すると、開いた時間、
  最優先で睡眠に充てるべきは4時間ほどである。

  が、眠れない。

  床の上に転がってみるが、一向に眠気が訪れない。
  しまいには誘眠系の曲を流してみたが効果無し。

  む〜。

     ミ★

  2時間ほど眠ったらしい。

  起きるのに苦労するかと思っていたが、
  以外や以外、充電完了リフレッシュ!
  ってな勢い。気分も悪くはない。

  ハイになってた訳でもなかったようだ。

  若いねぇ。

     ミ☆

  コミケに用事のない私としては、
  12日の夜がこの夏休みのメインイベントである。

  ま、つーても、
  みんなで集まって酒飲むだけだが。

  場所は新宿。

  東武東上線は嫌いなので、有楽町線か新線、
  どちらか先に来たほうに乗ればいい。

  ホームでぼーっとしていると優玲はんから電話。
  集合場所の調整。
  ほんと、ケータイは便利だ。

  どちらに乗ったかは忘れてしまったが、
  とにかく池袋へ。

  なにげに埼京線を使おうとも思ったのだが、
  出口の位置関係を思い出し、山ノ手線に乗る。

  判断力は正常らしい。

     ミ★

  某コナミ系のゲーセンで合流。
  おっと、F氏がいるじゃないの、書記長。

  しばし時間をつぶした後、会場へ向かう。
  ま、会場つーても普通の居酒屋だけど。

  基本的に、
  酒の席で何を喋ったかなんて覚えていない。

  ……というのは嘘だ。
  思い出せないだけだ。

  適当な刺激さえあればいくらでも湧いて来る。
  もちろん、言葉として認識した情報に限られてしまうが。

  ああ、それと、変な誇張が入る可能性はある。
  気にしちゃいけないぜ〜。

     ミ☆

  とりあえず、と注文した飲物が到着し、
  じゃぁ乾杯の音頭を〜、司馬さんに。

  へ? なに? わし?

  それなりに狼狽したらしい。
  誰が言ったのか覚えていない。

  ほんじゃ、えーと、お疲れさま〜♪

  が。

  お疲れさまの、さを発音したあたりでバシっと、
  しかも何人かから同時にツッコミが入る。

  おつ!、でしょ〜、云々。

  不覚である!
  確かにその通りである!

  おつ、それは柳井の方言でお疲れ様の略。
  このメンツでは公用語と言っても過言ではない。

  むむむむむ。

  どうやらこの辺りが私の限界らしい。
  みんな濃いからな〜。

     # 方言ってのは嘘です、悪しからず

     ミ★

  宴もたけなわ、ラストオーダーの声がかかる頃、
  ついに別件経由の大空団の団長・晴太はんが到着。

  おお、これから大いに盛り上がるのか?
  体力のプールはいかほどか?
  つーか、眠いんだけど?

  などととっさに色々考えたが、
  また今度ってことでお帰りに。
  確かにタイミングも悪かった。

  因みに。

  大空団、結成から数ヶ月、メンツは6人。

  その6人が顔を合わせたのは、
  実はこの時の、この数分間だけなのであった。

  って、過去形にするこたないな、
  ま、とりあえず蜀の五虎将軍は越えたか。

     # 関羽、張飛、趙雲、黄忠、馬超。
       この5人が揃って顔を合わせたという記録はない。

     ミ☆

  終電を気にしつつゲーセンへ移動。

  昨日、その奇声でもって大いに客を集めたDEMはんと
  おやっさんに期待が集まるが、残念ながら結果はイマイチ。

  ドジョウは1匹だったらしい。

     ミ★

  遠征組、今宵の宿は厚木である。
  優玲どんの自宅、人呼んでゆーれい屋敷。

  が、荷物も車も和光に置いてあるので、
  関係者一同、山ノ手線、有楽町線を乗り継ぎ、和光へ。

  このルート、飽きた。

     ミ☆

  唐突だが、父は長男である。

  盆や正月には主に父方の親類が集まり、
  それほど広くない母屋は賑やかな声で溢れる。

  それを始めて意識したのは、
  確か小学3年生の頃だったと思う。

  その短い、いわばお祭りが終わったあと、
  皆がぱらぱらと帰って行き、
  ついに元通りの生活に戻った時の、あの空白。

  変にだだっ広く感じられる部屋の片隅に立ち、
  しばらく何も考えずに、何も見ずに。

  ま、懐かしい。

     ミ★

  サクッと撤収できるようにしときましょうね〜。

  昨夜と今朝、一応クギを刺しておいた。
  正確には12日の2時頃と同日の9時頃である。

  小しょうさん合格、てしかさん合格、水鶏さん合格。
  DEMさんは、ま、よろしいでしょう。

  おやっさん……。あんたって人は…………。

  とまれ、引き上げ準備完了。
  厚木へのナビゲータ優玲氏はもはや おねむ の時間帯らしいが、
  一言で片付けるなら、認識が甘い、修行が足りない。

  平均睡眠3時間を誇るとゆーDEMさん、
  それに妖怪よふかしこと水鶏はん、
  その他は皆、どちらかとゆーと夜行性の生き物である。

  それに、昼間コミケ等で疲れているだろうから、
  なぁんて気遣いは全くもって的外れである、的外れであった。

  ったく、元気な人達だよね〜。

     ミ☆

  13日の予定は昼から東京駅である。
  待ち合わせの定番・銀の鈴に12時。
  巨大パフェを巡る冒険である。

  メンツは敬称略で、優玲、山口てしか、その妹みさな、
  そして副長こと自称新撰組副長土方歳三の5人。

  東京駅まで約1時間。
  11時に出る、10時に起きる。
  現在時刻は、4時、6時間ある。

  寝たるで〜。

つづく     


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