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湿度


  更新が滞るとかこーゆー雑文が増えるのは、
  要は文章が書けない状態が続いているということだ。

  世間一般ではスランプと言うらしいが、
  それほど立派なものでもない。

  それなりの作家や漫画家であるなら、
  スランプに陥っているという状態もそこそこサマになるが、
  雑草や野良猫の風情では世の失笑を買いかねない。

  などと、いきなり雑草、野良猫なんて喩えが出たが、
  普段から使っているという訳ではなく、
  上の行を書く直前にぽっと頭に浮かんできたものだ。

  なんとなく気に入った。

     ミ☆

  とまれ、書けない。
  どう書けないのか、なぜ書けないのか、よく分からない。

  逆に書ける時のことを思い出してみると、
  放っておいてもネタがひょいひょいと湧いてきて、
  労せずともそれらが適当に繋がり、流れていってくれる。

  川にたとえるなら、支流を集めつつ水嵩を増し、
  沿岸の色々を巻き込みながら大河を形成するといった具合。

  いや、大河というのはかなり大袈裟だな。
  小規模な大河……ってのも変か。ま、いいか。

  対して現在の状況は、乾季というほどひどくはないが、
  水溜まりが散在しているとゆーか、
  いっそ雨乞いでも試してみようか、といった風情。

  ただ、この喩えで進めると、
  日本人なら、放っておけばそのうち、となるかもしれない。

  乾燥する冬場でも月に1回や2回は雨が降るし、
  梅雨場なら高温多湿が保たれる。温暖湿潤気候万歳だ。

     # 関東の場合ね

  が、より乾燥した地域などでは、
  放っておいたらそのまま乾ききって天に召されることになる。
  生き残るためになんらかの行動をとらなければならない。

  とはいえ、とはいえ。
  縁遠くなっていると、ふいに、無性に書きたくなるのは確かだ。
  技術的には劣化して、語彙も貧弱になってしまっているが、
  勢いに任せていればそのうち普通に書けるようになる。

  が、しかし、と、あまり否定を反復させるのもなんだが、
  それは干上がった川が元の水量に回復するようなもので、
  ある基準の地点に戻っただけ、つまり進歩というものが少ない。

  水が澄むとか濁るとか、
  或いは甘くなるといった変化はあるかもしれないが。

     ミ★

  座して待つのは今の気分ではない。

  で、なにをするかというと、
  現在進行形である、この文章である。

  短めの文章をちまちま書いていって、調子を取り戻す。

  あの雑記のような、意図的に文体を統一しないあたりは、
  表現の可能性が刺激され、それなりに機能しているようだ。
  いや、そのつもり、なのだが。

     ミ☆

  実はもう1つ手段がある。

  北海道の話を書くことだ。
  2年経っても2週間しか進んでいないあれである。

  印象が強いとはいえ、年単位の時間が経過した記憶である。
  引っ張り出すにはそれなりに苦労するのだが、
  脳ミソを好ましい状態へと導いてくれる。

  古い記憶と戯れるのは楽しいし、
  現状復帰への手段としても効果的らしい。

  少々の懸念はある。
  あの年、北海道にいたのは40日ほどである。
  そう、有限なのだ。

  ネタが尽きたらどうしようか?

  だが、そう問うた直後、
  私の中のなにかが、即座にそれに返答した。

    またどっか行きゃぁ良いだろ?

  思わず頷いてしまった。
  確かに、反対する理由は見当たらない。
  少なくとも、今は。


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